
連日とにかく暑い。外出時に眩暈がするような強烈な日の光を浴びる度に、ニュースなどでよく耳にする「命にかかわるような暑さ」という表現が誇張ではないと実感している人は多いことだろう。
では、この厳しい暑さはいったいいつまで続くのだろうか?
ウェザーニューズはこのほど、8~10月の暑さ傾向を示す「猛暑見解2025」を更新して発表した。
平年よりも気温が高い予想で、厳しい残暑の見込み
6月と7月の日本の平均気温は速報値で昨年を上回り、それぞれの月で最も気温が高く、過去最高の記録を更新した。特に7月30日には兵庫県丹波市柏原で国内観測史上1位となる41.2℃を観測するなど、最高気温が40度に達した地点があり、命に関わるような危険な暑さの日が続いた。この暑さの原因は、太平洋高気圧とチベット高気圧による“ダブル高気圧”だ。この2つの高気圧が上空で重なり合うことで、非常に背の高い一つの高気圧のようになり、厳しい暑さをもたらした。
8月に入ってからも西日本を中心に各地で厳しい暑さが続いているが、この先10月にかけても全国的に気温は平年より高く推移し、残暑の厳しい日が多くなりそうだ。8月中旬は前線や寒気の影響で天気がぐずつき、本州付近の厳しい暑さは一旦落ち着く。
しかし、8月下旬になると、フィリピン近海の対流活動が活発化することで、太平洋高気圧の勢力が強まる。また、偏西風の蛇行によってチベット高気圧が本州付近への張り出しを強めるため、再び“ダブル高気圧”となり、暑さが一層厳しくなるタイミングがある見込みだ。例年であれば9月以降になると、太平洋高気圧が次第に日本の南東に後退し、涼しい空気を運ぶ偏西風が南下してくるが、今年は太平洋高気圧の勢力が強く、偏西風帯の南下が平年より遅れ、涼しい空気が日本に届きにくくなるため、10月にかけて全国的に気温が高い状態が続く見込みだ。
昨年9月は記録的な猛暑だった2023年に次いで歴代2位の高温となった。これは、太平洋高気圧が平年よりも強い状況が続いたことに加え、偏西風が平年よりも北寄りを流れ、日本付近は強い日射や暖かい空気に覆われやすかったことが影響したとみられる。また、地球温暖化などの長期的な気候変動や日本近海の海面水温が記録的に高かったことなども影響したと考えられる。今年の9月も昨年と同じくらいか上回る可能性があり、長引く残暑に注意が必要だ。
2つの高気圧の見解
(1)太平洋高気圧:本州付近への張り出しが強まる
8月から9月は、太平洋高気圧の日本付近への張り出しは平年より強い見込み。このため、全国的に暖かい空気に覆われやすく、気温は全国的に高くなりそうだ。ただ、8月の中旬は前線や上空の寒気が入りやすくなる影響で不安定な天気になり、暑さが和らぐ日もありそうだ。
(2)チベット高気圧:8月下旬から9月に日本付近への張り出しが強まる時期がある
チベット高気圧とは、北半球の夏季にチベット付近を中心に広範囲に広がる上空の高気圧だ。8月下旬から9月に、太平洋高気圧の勢力が強まるのと同時期にチベット高気圧も日本付近に張り出しを強め、残暑が厳しくなる時期がある見込みだ。
出典元:株式会社ウェザーニューズ
構成/こじへい