
人生100年時代。年齢を重ねることは、経験と知恵が深まる素晴らしい旅です。でも、一方で記憶力や集中力の低下に不安を感じることがあるかもしれません。
そんな中、脳科学者・西剛志氏が提案するのは、「脳の若さ」を保つためのシンプルな習慣。実際に、80歳を過ぎても好奇心を持ち続け、学びを楽しむ人たちが実践していることとは?
この記事では、書籍『増量版 80歳でも脳が老化しない人がやっていること』から、脳を元気に保つヒントを抜粋・再編集してわかりやすくご紹介します。
年齢に関係なく、今から始められる「脳のメンテナンス」を一緒に学びましょう。
コレステロールと老人性うつの関係性
最近注目されているのが、老人性うつとコレステロールの関係です。老人性うつは65歳以上の人が患ったうつ病のことで、その数は全体のうつ病患者数の4割にも及んでいます。
やる気が起きない、興味や関心がわかなくなる、何をしても喜びを感じられない、気分がどんよりする、そんな症状が続きます。老人性うつになると脳の状態が下がってしまい、認知症まで発症しやすくなります。
昔はコレステロールを摂ることは心筋梗塞のリスクを高めるため、体によくないとされていました。これは正しくて、食事や薬物療法でコレステロール値を減らすと、心筋梗塞のリスクは減ります。しかし、コレステロールを減らすと、同時に老人性うつなどの自殺・事故死などが78%も増加し、結果として全体の死亡率まで7%も上がることがわかっているのです(がんの死亡率も43%増えます)。
コレステロールはもともと細胞膜の大切な材料で、全体の3分の1が脳や神経系に存在します。少なくなると細胞膜が不安定になって、幸せホルモン・セロトニンをうまく取り込めなくなり、幸せを感じにくい体質になります。その結果、老人性うつになることが指摘されています。
カルフォルニアで70歳以上の男性を調べた調査では、コレステロール値の低い人は高い人に比べて、うつの発症率が約2・7倍も高くなってしまったそうです。
高齢になってコレステロール値が低くやせている人は、幸せを感じにくく、少し太っていたほうが幸せになれる。
私も驚きましたが、これが真実のようです。
60歳以降になると体でつくられるコレステロール量は減っていくため、高齢者ほどコレステロールが豊富な食材(卵、肉、魚、乳製品など)を摂ることが大切です。スーパーエイジャーも卵や肉、乳製品が好きな人が多いのですが、とても納得です(ただし、摂りすぎには注意してください)
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未来の自分のために、今日からできることを!
年齢に関係なく、脳も心も、日々の習慣で変えていけます。小さな一歩が、未来の自分を大きく変えるかもしれません。ぜひ、今日からできることをひとつ、始めてみませんか?

『増量版 80歳でも脳が老化しない人がやっていること』
著者西 剛志
発売日2022年8月13日
価格1400円(税別)
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いくつになっても脳が若いままの人と、老化が進んでいく人の差はどこにあるのか?脳科学者が伝えたい「老人脳」にならないための方法を伝授!スーパーエイジャー(高齢になっても超人的な認知・身体能力を持つ人)たちの脳の使い方をひも解き、いつまでも若々しく幸せなシニアライフを送るコツを届ける一冊です。
(著者情報)
西剛志(にし・たけゆき)
脳科学者(工学博士)、分子生物学者。T&Rセルフイメージデザイン代表取締役。1975年、宮崎県高千穂生まれ。東京工業大学大学院非常講師や特許庁を経て、2008年に企業や個人のパフォーマンスをアップさせる会社を設立。 子育てからビジネス、スポーツまで世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、大人から子どもまで才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めて1万人以上をサポート。テレビなどの各種メディア出演も多数。著作は『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』(アスコム)をはじめとして累計発行部数10万部を突破。
構成/DIME編集部