
人生100年時代。年齢を重ねることは、経験と知恵が深まる素晴らしい旅です。でも、一方で記憶力や集中力の低下に不安を感じることがあるかもしれません。
そんな中、脳科学者・西剛志氏が提案するのは、「脳の若さ」を保つためのシンプルな習慣。実際に、80歳を過ぎても好奇心を持ち続け、学びを楽しむ人たちが実践していることとは?
この記事では、書籍『増量版 80歳でも脳が老化しない人がやっていること』から、脳を元気に保つヒントを抜粋・再編集してわかりやすくご紹介します。
年齢に関係なく、今から始められる「脳のメンテナンス」を一緒に学びましょう。
人が変われば「あたりまえ」も変わる理由
脳の特性の違いが「わかり合えない」を生むケースは多数あります。
たとえば、価値観の違いです。
「価値観の違いで離婚しました」
芸能人の離婚会見でこんなコメントを聞いたことがありますが、価値観のズレは確かに「わかり合えない」という感覚を生みだしています。
たとえば、時間に対する価値観のズレ。
「時間を守るのはあたりまえか、そうじゃないか?」
この質問に対して、あなたはどう答えますか。
時間を守るのはあたりまえのこと。そう考える人が多いかもしれません。
でも、これはみんなに共通する価値観ではありません。
訪日外国人に日本のどこがすごいかというインタビューをすると、よく出てくるのが「日本の交通機関は時間通りに動いていてすごい」という話です。
これは裏を返せば、世界の交通機関では、「時間通りに動かないのがあたりまえ」ということです。
実際に私も以前、ローマからナポリまで旅行したときに、ローマのテルミニ駅で待てども待てども電車が来ませんでした。何かトラブルがあったのかと心配になりましたが、その後、あたりまえのように電車が遅れてきました。こんなに遅れが出て、どうやって交通網が成り立っているのか、不思議に思ったことがあります。
これは世界と日本の比較ですが、同じ家族、同じコミュニティの中でも、価値観の相違は起きています。
「時間を守らなければいけない」と強く思っている人と、そうでない人が一緒にいるとやっかいです。
時間を守らなければいけないと思っている人は、「時間内にやるべき」という判断基準です。
一方で、時間をそこまで守らなくてもいいと思っている人は「いまやらなくてもいい、遅れてもいい」という判断基準です。どちらも自分にとって「正しい」こと。
この「正しいこと同士」のぶつかり合いが争いを生んでいきます。
価値観はその人が生きてきた中で獲得してきた考え方です。なので、正確に言えば価値観が同じ人は一人もいません。100人いれば、100通りの価値観があります。
でも、私たちはついつい、自分の価値観を相手に押し付けてしまうことがよくあります。なぜそんなことが起きるかというと、自分の価値観が「正しい」と思ってしまうからです。
でも、正確に言えばその価値観は「正しい」のではありません。ただ、自分にとって「好きだな」と思える価値観、「しっくりくる」価値観だったりします。
× 自分の価値観 = 正しい価値観
〇 自分の価値観 = 好きな価値観、しっくりくる価値観
正しい価値観だと思っている人同士は対立するため、お互いに争いに発展しやすくなります。しかし、お互いにそれぞれが好きな価値観を持っていると思える同士だと、そこまで争いを生みません。言ってみれば、
「ハンバーグが好き」VS「カレーが好き」
みたいな争いは生まれにくいということです。
ハンバーグが好きなのも、カレーが好きなのも、好みだし、人それぞれって思えますよね(でも、時々好きなものが同じでも争いが生まれることもありますが。たとえば、好きなスポーツチーム同士とか)。
これが、「俺が正しい」「私が正しい」の価値観の相違になると、ぶつかり合いが生じます。
世代間のギャップ、夫婦間のギャップ、ご近所付き合いのギャップなどもこれが原因だったりするのです。
☆ ☆ ☆
未来の自分のために、今日からできることを!
年齢に関係なく、脳も心も、日々の習慣で変えていけます。小さな一歩が、未来の自分を大きく変えるかもしれません。ぜひ、今日からできることをひとつ、始めてみませんか?

『増量版 80歳でも脳が老化しない人がやっていること』
著者西 剛志
発売日2022年8月13日
価格1400円(税別)
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いくつになっても脳が若いままの人と、老化が進んでいく人の差はどこにあるのか?脳科学者が伝えたい「老人脳」にならないための方法を伝授!スーパーエイジャー(高齢になっても超人的な認知・身体能力を持つ人)たちの脳の使い方をひも解き、いつまでも若々しく幸せなシニアライフを送るコツを届ける一冊です。
(著者情報)
西剛志(にし・たけゆき)
脳科学者(工学博士)、分子生物学者。T&Rセルフイメージデザイン代表取締役。1975年、宮崎県高千穂生まれ。東京工業大学大学院非常講師や特許庁を経て、2008年に企業や個人のパフォーマンスをアップさせる会社を設立。 子育てからビジネス、スポーツまで世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、大人から子どもまで才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めて1万人以上をサポート。テレビなどの各種メディア出演も多数。著作は『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』(アスコム)をはじめとして累計発行部数10万部を突破。
構成/DIME編集部