
人生100年時代。年齢を重ねることは、経験と知恵が深まる素晴らしい旅です。でも、一方で記憶力や集中力の低下に不安を感じることがあるかもしれません。
そんな中、脳科学者・西剛志氏が提案するのは、「脳の若さ」を保つためのシンプルな習慣。実際に、80歳を過ぎても好奇心を持ち続け、学びを楽しむ人たちが実践していることとは?
この記事では、書籍『増量版 80歳でも脳が老化しない人がやっていること』から、脳を元気に保つヒントを抜粋・再編集してわかりやすくご紹介します。
年齢に関係なく、今から始められる「脳のメンテナンス」を一緒に学びましょう。
老人の「ポジティブバイアス」が事故を引き起こす原因にもなる
「高齢者ドライバーの免許返納」は近年話題になっているテーマです。都市部であればともかく、移動手段が少ない地域では、車は生活の足でもあるので、ある年齢に達したからといって免許返納をするかどうかの判断はなかなか難しいと思います。また、高齢者が運転することで外に出る機会をつくれるなど、返納しないメリットも大きいという意見もあります。
実際に、高齢者ドライバーの事故が突出して多いわけではないのも事実です。
ただ一方で、事故を起こしてはいないけれど、事故になる寸前の危ない思いをしたという高齢者ドライバーも多くいるそうです。
この問題は、どうすべきかなかなか難しいのですが、ひとつだけ忘れないでほしいことがあります。それが、ここまで話してきたポジティブバイアスです。
「まだまだ自分の運転は大丈夫だろう」「自分が事故を起こすはずがない」、こういった思いの裏にはポジティブバイアスがかかっている可能性があります。バイアスがあると認識したうえで、自分の運転を冷静に見つめ直し、事故になりそうなことがこれまでなかったかなど、バイアスを外す努力をして判断してください。
「ポジティブバイアス」は、不安を解消したい気持ちから生まれることもあります。「ポジティブ」と聞くと、活発的で脳にいい影響しかないように聞こえるかもしれませんが、実は「ポジティブに考えたほうがラクだから」と脳が判断している部分もあるのです。
リスクに備えてネガティブに考えることはかなりの労力がいるので、脳には、ラクで、安心感もあるポジティブな方向の選択をしたくなるという性質があります。
ですから、ポジティブバイアスが「新しいことへの挑戦」を遮る原因になることもあります。結局は、ポジティブバイアスとネガティブバイアスが存在し、そのどちらかに寄りすぎるのはよくないということなのですね。
バイアスが存在していることを認識しているだけでも、自分の考えや行動をいい方向に戻してくれるので、まずはそのことに気付くことが一番のバイアス対策になります。
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未来の自分のために、今日からできることを!
年齢に関係なく、脳も心も、日々の習慣で変えていけます。小さな一歩が、未来の自分を大きく変えるかもしれません。ぜひ、今日からできることをひとつ、始めてみませんか?

『増量版 80歳でも脳が老化しない人がやっていること』
著者西 剛志
発売日2022年8月13日
価格1400円(税別)
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いくつになっても脳が若いままの人と、老化が進んでいく人の差はどこにあるのか?脳科学者が伝えたい「老人脳」にならないための方法を伝授!スーパーエイジャー(高齢になっても超人的な認知・身体能力を持つ人)たちの脳の使い方をひも解き、いつまでも若々しく幸せなシニアライフを送るコツを届ける一冊です。
(著者情報)
西剛志(にし・たけゆき)
脳科学者(工学博士)、分子生物学者。T&Rセルフイメージデザイン代表取締役。1975年、宮崎県高千穂生まれ。東京工業大学大学院非常講師や特許庁を経て、2008年に企業や個人のパフォーマンスをアップさせる会社を設立。 子育てからビジネス、スポーツまで世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、大人から子どもまで才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めて1万人以上をサポート。テレビなどの各種メディア出演も多数。著作は『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』(アスコム)をはじめとして累計発行部数10万部を突破。
構成/DIME編集部