人生100年時代。年齢を重ねることは、経験と知恵が深まる素晴らしい旅です。でも、一方で記憶力や集中力の低下に不安を感じることがあるかもしれません。
そんな中、脳科学者・西剛志氏が提案するのは、「脳の若さ」を保つためのシンプルな習慣。実際に、80歳を過ぎても好奇心を持ち続け、学びを楽しむ人たちが実践していることとは?
この記事では、書籍『増量版 80歳でも脳が老化しない人がやっていること』から、脳を元気に保つヒントを抜粋・再編集してわかりやすくご紹介します。
年齢に関係なく、今から始められる「脳のメンテナンス」を一緒に学びましょう。
65歳からのスマホとの付き合い方
スマホの普及率は、70代でもすでに60%を超えています(2023年調べ)。
スマホと関わる時間は生活の中でどんどん増えているのですが、使い方を間違えると、脳にとってマイナス効果になることもあります。
ここでは、プラス面とマイナス面を考えながら、脳にマイナスにならないスマホとの付き合い方を紹介します。
まずはプラスの面ですが、一番は最新のテクノロジーに触れて新しいことをやってみることは、脳を活性化させる最高の方法のひとつです。またパソコンの趣味がある人は認知症になりにくいというデータもあります。インターネットで検索したり、パソコン上で写真を整理することは認知機能を高める効果があるのです。
また、SNSを利用すると世代や男女間を超えてつながれるため、知り合いができやすくなったり、つながりを感じやすくなったりするメリットもあります。
ただ、気をつけたいのは、何事もやり過ぎると害があるということです。たとえばスマホを片時も離せなくなるようだと、やはりいろいろマイナス面が出てきます。
マイナス面のひとつが「通知」です。SNSやネットニュース、LINEなど、さまざまな通知がしょっちゅう来ますよね。通知が気になり、意識が散漫になったり、人と話しているときでも話に集中できなくなったりすることは、スマホを持っている人なら誰でも経験しているのではないでしょうか。こういうことは、実はストレスになっているのです。自律神経のバランスが崩れる原因にもなり、リラックスできずに体内で炎症を起こしやすくなる可能性もあります。
「通知」の設定はやめたほうがいいですし、特に睡眠中や休息中は音が出ないようにしておくことをおすすめします。
ほかにも「脳の短絡化」が起きる可能性があります。情報がなんでもすぐにスマホで入手できることで答えがすぐにわかってしまい、試行錯誤をすることが少なくなってしまいます。試行錯誤することは、脳を活性化していることとイコールです。ストレスがかかりすぎる試行錯誤はマイナスですが、健全な試行錯誤とでも言うのでしょうか、そういったことは脳の働きを高めます。逆にすぐ答えがわかってしまうと脳はラクをして、働かなくなるのですね。脳には怠けグセがあるからです。ですから、すぐになんでも調べられるのはいい面もありますが、マイナス面もあるのです。
たとえば、漢字を書こうとしたときに思い出せないことがあります。これはメールなどで文章を書いていると、勝手に漢字に変換されてしまうため、思い出すというプロセスが省略されてしまうことで起きています。脳には負荷がかからないので、脳を使わない状態になっていて、脳の老化が進むのです。
また、寝る前にスマホを見ると睡眠の質が下がることもわかっています。睡眠は脳と密接に結びついていて、睡眠の質が悪いと認知症のリスクが大きく上がることはこれまで何度も伝えてきた通りです。
スマホの普及によって、人が1日に得る情報量は加速度的に増えています。これは別の見方をすれば「いらない情報に翻弄されている」とも言えます。イメージしてみてください。あなたが昨日得たさまざまな情報の中で、きょうになっても覚えているものはどれくらいありますか? さらには、覚えている中で自分にとって有益とハッキリ言える情報がどれくらいありましたか?
実は、ほとんどの情報は不要だったということが、イメージするとわかるのではないでしょうか。
ですから、寝るとき以外でも、「スマホ断ち」する時間を設定してみてください。目につくと、ついつい見たくなるので、家のどこかの引き出しに一時的にしまってしまうのは有効です。人の脳は面白くて、ひと手間を加えるとやらなくなりやすいのです。
たとえば、机の上にお菓子があるとついつい食べすぎてしまうので、ダイエットをしたければ、どこか見えないところにしまっておく。それだけで、衝動的に食べてしまうという行為が起きにくくなります。
「プライミング効果」をご存じでしょうか。先に何か刺激を受けると、あとの行動にその影響が出てくるというものです。つまり、お菓子を見てしまうと、あとでお菓子を食べたくなる。スマホを見てしまうと、スマホを見たくなる。見たものがそのあとの行動に影響を与えているのですね。
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未来の自分のために、今日からできることを!
年齢に関係なく、脳も心も、日々の習慣で変えていけます。小さな一歩が、未来の自分を大きく変えるかもしれません。ぜひ、今日からできることをひとつ、始めてみませんか?

『増量版 80歳でも脳が老化しない人がやっていること』
著者西 剛志
発売日2022年8月13日
価格1400円(税別)
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いくつになっても脳が若いままの人と、老化が進んでいく人の差はどこにあるのか?脳科学者が伝えたい「老人脳」にならないための方法を伝授!スーパーエイジャー(高齢になっても超人的な認知・身体能力を持つ人)たちの脳の使い方をひも解き、いつまでも若々しく幸せなシニアライフを送るコツを届ける一冊です。
(著者情報)
西剛志(にし・たけゆき)
脳科学者(工学博士)、分子生物学者。T&Rセルフイメージデザイン代表取締役。1975年、宮崎県高千穂生まれ。東京工業大学大学院非常講師や特許庁を経て、2008年に企業や個人のパフォーマンスをアップさせる会社を設立。 子育てからビジネス、スポーツまで世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、大人から子どもまで才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めて1万人以上をサポート。テレビなどの各種メディア出演も多数。著作は『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』(アスコム)をはじめとして累計発行部数10万部を突破。
構成/DIME編集部







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