
人生100年時代。年齢を重ねることは、経験と知恵が深まる素晴らしい旅です。でも、一方で記憶力や集中力の低下に不安を感じることがあるかもしれません。
そんな中、脳科学者・西剛志氏が提案するのは、「脳の若さ」を保つためのシンプルな習慣。実際に、80歳を過ぎても好奇心を持ち続け、学びを楽しむ人たちが実践していることとは?
この記事では、書籍『増量版 80歳でも脳が老化しない人がやっていること』から、脳を元気に保つヒントを抜粋・再編集してわかりやすくご紹介します。
年齢に関係なく、今から始められる「脳のメンテナンス」を一緒に学びましょう。
「自由な人」は老化しにくく、「まじめな人」は老化しやすい
スーパーエイジャーたちに共通する法則はほかにもあります。それは、自由で、好きなことをしているということです。たとえば食べ物は、好きなものを食べている人が多い。ほかのことでも、自分に「制約」をかけず、好きなことをしている人が多いのです。
「これをしたらいけない」「ここは我慢しないといけない」、そういう制約を自分にかけていない人のほうが長生きしやすい傾向がある人です。
なぜなら、私たちの脳は制約をかけると状態が下がってしまい、やる気のホルモンであるドーパミンが出にくくなってしまうからです。
逆に言えば、次のような人たちは自分に制約をかけやすいので、気をつけたほうがいいと思います。
● まじめ過ぎる
● ガンコ
● 自分にきびしい
● 新しいことを始めない
自分への制約は、脳には悪いことばかりです。実際にスーパーエイジャーたちを見ても、好きなものを食べたり、高齢になってから新しいことを始めたり、適度にお酒なども楽しむ人が多いことに気付きます。アメリカで最高齢だったサラ・ナウス(没年119歳)は、嫌いな野菜は食べなかったそうです。イギリスの最高齢記録をもつ元軍人のヘンリー・アリンガム(没年113歳)は、タバコとウイスキー、女性とユーモアが好きだったそうです。ストレスは脳の老化を早めることがさまざまな研究でわかっているので、できる限り脳にストレスを与えないようなことを選択できたほうがよいのです。
日本人2万人を調査した研究でも、人は自分で決定できる自由な環境にいるとき、健康や人間関係について最も幸福度が高まることがわかっています。
また、好きなことをしていると、さまざまな刺激があることも脳にとってプラスです。
たとえば、好きなものを食べているときの「おいしい!」という感情は、味覚への刺激だけでなく、嗅覚、視覚などさまざまな刺激になります。
「この歳になったら、これは食べないほうがいい」などと自らを制約するのではなく、「好きなものは自分の体が欲しているもの」くらいの感覚で、自由に「好き」を優先して暮らすことが脳の若さを保つコツです(ただし、ほかの病気などで制限がある場合はそのことも考慮してください)。
☆ ☆ ☆
未来の自分のために、今日からできることを!
年齢に関係なく、脳も心も、日々の習慣で変えていけます。小さな一歩が、未来の自分を大きく変えるかもしれません。ぜひ、今日からできることをひとつ、始めてみませんか?

『増量版 80歳でも脳が老化しない人がやっていること』
著者西 剛志
発売日2022年8月13日
価格1400円(税別)
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いくつになっても脳が若いままの人と、老化が進んでいく人の差はどこにあるのか?脳科学者が伝えたい「老人脳」にならないための方法を伝授!スーパーエイジャー(高齢になっても超人的な認知・身体能力を持つ人)たちの脳の使い方をひも解き、いつまでも若々しく幸せなシニアライフを送るコツを届ける一冊です。
(著者情報)
西剛志(にし・たけゆき)
脳科学者(工学博士)、分子生物学者。T&Rセルフイメージデザイン代表取締役。1975年、宮崎県高千穂生まれ。東京工業大学大学院非常講師や特許庁を経て、2008年に企業や個人のパフォーマンスをアップさせる会社を設立。 子育てからビジネス、スポーツまで世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、大人から子どもまで才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めて1万人以上をサポート。テレビなどの各種メディア出演も多数。著作は『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』(アスコム)をはじめとして累計発行部数10万部を突破。
構成/DIME編集部