筆者が住む近畿地方は、6月下旬から最高気温が30度を超え、周囲では早くも夏バテする人が出始めた。
夏バテとは、高温多湿で自律神経が変調をきたし、疲労感や睡眠障害などが起きる症状を指す。医学用語ではなく、熱中症の陰に隠れて見過ごされやすいが、放置していいものではない。
対策はいくつかあるが、食生活からのアプローチを提唱するのは、管理栄養士の渥美まゆ美さん。日々の食事にちょっと気をつけるだけで、夏バテは予防・回復できるという。
具体的な話をうかがった。
1日3食しっかり食べる
――夏バテになりやすい人に、いの一番に伝えたいアドバイスはなんでしょうか?
基本中の基本は、1日3食をしっかり食べることです。これは一番重視してほしいですね。
食欲がわかないからと食事を抜くと、さらに疲れて、なおさら食欲もなくなる悪循環に陥ってしまいます。
暑い夏は、どうしても水分や塩分が注目されますが、必要な栄養補給があってこそと、お考えください。
冷やし中華のような具だくさんがいい
――そうめんと麦茶で、暑い1日を乗り切るというのはダメですか?
それだけでは、三大栄養素のなかでも炭水化物に偏ってしまい、たんぱく質は不足しますし、ビタミンやミネラルもあまり摂れません。
特に、たんぱく質は意識して摂るようにしたいです。
一品料理でおすすめを1つ挙げるなら、冷やし中華です。野菜、卵、肉と、具がいっぱい乗っていますよね。それだけで、まんべんなく栄養素が摂れます。
ご飯に具を乗せた冷や汁もいいですね。お米は、意外と水分やミネラルの補給にもなります。
水分については、3食の食事からだけで約1リットル摂れます。それにプラスして飲み物を飲むようにします。「1日にコップ6杯は飲みましょう」とよく言われます。食事の分とあわせて、大体2.2リットルぐらいの水分を補給するようにしましょう。
何を飲むかについては、それほど神経質になる必要はないです。ただ、コーヒーのようなカフェイン飲料は利尿作用があるので、これだけにしないほうがいいでしょう。
卵は優秀なたんぱく源
――たんぱく質重視とのことですが、特におすすめの食材はありますか?
卵は優秀です。たんぱく質とともに、ビタミンC以外のビタミン、ミネラルがバランスよく含まれ、消化吸収も良く、手軽にパッと食事に加えられますし。
もちろん、肉や魚もいいですし、さば缶のような缶詰もおすすめです。ただし、そればっかりにならないように、注意はしてください。
キムチは意外な夏バテ対策食
――ほかに夏バテに効く食材はありますか?
意外に思われるかもしれませんが、キムチは素晴らしいです。
その理由の1つは、唐辛子です。食欲を増すとともに、胃酸の分泌を促進して消化を助け、血流も良くします。辛さで発汗したら、体を一時的に冷やす働きもありますし。
さらに、発酵食品でもあるので、腸活にもなります。同じ発酵食品であるヨーグルトと組み合わせた、ヨーグルトキムチスープは意外に美味しいですよ。
ただ、塩分の取り過ぎを避けるため、食べ過ぎないように注意し、食事のアクセントとして取り入れるようにします。ご飯や肉料理に、ちょこっと乗せたりですね。
キムチはどれも同じ……ではない
――スーパーの売り場を見ると、様々なキムチが販売されています。どれか、おすすめというのはありますか?
美山(みやま)という食品メーカーから出ている「いちおしキムチ」です。美山独自の乳酸菌「ミヤビスLB」が、1パックあたり1440億個も入っているのが、おすすめポイントです。
実は、売っているキムチは、みんな同じように見えますが、乳酸菌の種類も違えば含まれる数も違うのです。そして、ちゃんと発酵させているキムチは、そう多くはないのが実情です。
そのなかで、「いちおしキムチ」は、よく発酵されて作られており、効能が立証されている乳酸菌が非常に多く含まれています。風味も、魚介と昆布の旨味があって、ただ辛いだけではないですし。それに、旨味の成分は、食欲を増す役割もあるので、食欲のわきにくい夏にぴったりだと思います。

本格料理にも使えて便利
――このキムチを使った、おすすめ料理はありますか?
シンプルにご飯に乗せるとか、納豆と混ぜるのでもおいしいですが、冷や汁に加えるのもいいですね。個人的には、ヨーグルト、キムチ、きゅうりの輪切りをミックスしたものが好きです。
もう少し本格的な料理ですと、美山のホームページに「レシピ紹介」のコーナーがあるので、そこから選んでみるといいでしょう。例えば今の時期ですと、「スタミナ満点豚キムチ」、「たこ・いかキムチ」、「冷やしキムチうどん」をおすすめしたいです。手早く作れて、夏バテ解消にも効果的ですよ。

■お話を伺った方:渥美まゆ美さん

(株)Smilemeal代表取締役。管理栄養士、フードコーディネーター、料理家、フードプロデューサー。健保組合、大手料理教室の講師を経てフリーランスで活動後、2016年に(株)Smilemealを設立。健康につながる料理の提案、「売れる食品」作りのサポート、従業員の食生活改善のサービスを提供する。テレビなどメディア露出多数、著書も数多く出しており、最新作は『無理なく、おいしく使い切る! 野菜たっぷりレシピ』(池田書店)。
公式サイト:https://www.smile-meal.com/
取材・文/鈴木拓也
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