クリーニング代行は親不孝に当たらない?
次に気になるのが「宗教的見地」だ。さんざんスネをかじらせて頂いた親の墓掃除を業者さんに頼むのは親不孝にあたったりしないのだろうか? ――と思ったが、ここは簡単に解決した。
霊園を運営するお寺・宗教法人が公式サービスとして「お墓のお掃除を代行しますよ」と案内している場合も散見されるから、問題あろうはずがない。
また、筆者の父が眠るお寺の和尚さんに話を聞くと「お墓が荒れてしまうのがご先祖様にとって一番悲しいこと」「ご自身で来られない場合は、代行サービスを利用されるのも供養の形ですよ」とのことだった。
「ずっと見られている気がする」
最後に気になるのは、やっぱりこういう仕事をしていると、不思議な体験をすることもあったりして? ミツモアに登録している『アスターアップ』の藤原さんのコメントを紹介します。
「作業中に常に誰かが見ているような感覚を覚えることがあります。一人で作業をしているときでも、お墓に入られている故人の方々が喜んで見守ってくださっているのかな、という気配を感じることがよくあります」
実際に何かを見たり声を聞いたりするわけではないが、こういった感覚を持つのは様々なクリーニングを行う中でも、墓石クリーニングならではだそう。
「お墓に到着したときは、まず一番最初に手を合わせ、作業が終わった最後にも再度手を合わせることを習慣にしています。これだけは絶対に欠かしません」(藤原さん)
霊界のことは誰もわからないが、作業する側も、「故人が見てる」と感じるくらいの気持ちを持ってくれているんだろうな。
いいじゃないですか、墓石クリーニング。故人をしのびながらお盆に汗水たらして自分でゴシゴシするのもいいけど、現代風にプロの手を借りたご先祖様孝行もアリなのでは?(いつか自分も入るしね。)
取材・文/夏目幸明
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