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東急ハーヴェスト、エクシブなど再び注目を集める「リゾート会員権」は投資か?それとも負債か?

2025.08.07

リゾート会員権にかかるコストを詳解。「資産」か「負債」かを分ける3つの論点

リゾート会員権の価値を判断するのに、コスト構造の理解が欠かせない。「入口・継続・出口」の3フェーズに、判断のための論点がある。

・【入口】物件価格の2倍弱が初期費用としてかかる

購入時には、名義変更料(数十万円)、不動産取得税(所有権型)、仲介手数料といった諸経費が初期費用として発生し、購入価格の10%以上になることも多い。販売価格だけを見て判断せず総コストで判断したい

・【継続】年会費は利用の有無に関わらず毎年かかる固定費

リゾート会員権が負債化する最大要因である。利用の有無にかかわらず毎年発生する年会費・管理費は、年間5万~30万円程度が相場。10年間所有した場合に、数百万円の固定費がかかることを認識せねばなるまい。

・【出口】売却するか?相続するか?のコストとリスクがある

ライフスタイルの変化で、手放したくても買い手がつかなければ売却できずに、年会費だけを払い続ける塩漬け状態になるリスクがある。さらに相続が発生した場合、受け取った子どもが、処分に困り、年会費を払い続けるケースもある。

シミュレーション:「もし所有権共有制の施設の中古会員権を200万円で取得したら」

まず入口として、物件価格の2倍弱が初期費用としてかかる。会員権の購入時には、物件価格以外にも複数の諸経費が発生する。これらを見落とすと、資金計画が大きく狂ってしまう。

●初期費用シミュレーション

物件価格200万円の会員権を手に入れる初期費用は、合計で約354万円にもなる。名義変更料だけで100万円を超えるケースも珍しくなく、物件価格の安さだけで判断してはいけない。

そして、年会費は利用の有無に関わらず毎年かかる固定費として継続していく。これがリゾート会員権が「負債」化する最大の要因である。

年会費が15万円だとして10年間保有した場合、コスト総額は、500万円以上になる。10年間でコストに見合うだけの「利用価値」を会員権から得られるだろうか?利用回数で割り算してみて元が取れるだろうか?

これらの問いが、資産か負債かを分ける最初の分岐点となる。

そして、売却時のコスト。仮に10年後、幸運にも購入時と同じ200万円で売却できたとしよう。しかし、売却時にも仲介手数料(約13.2万円)や各種手続き費用が発生する。そして何より、10年間で支払った年会費150万円は、当然ながら戻ってこない。

より深刻なのは、買い手が見つからないケースだ。市場は常に変動しており、将来的に需要がなくなれば、売却できずに年会費だけを払い続ける「塩漬け」状態に陥る。

これは、まさに「負のループ」である。

もし所有者が亡くなった場合、この会員権は相続財産となる。権利だけでなく年会費の支払い義務も引き継ぐことになる。子どもや親族が価値を見出せなければ、負の相続となり、家族間のトラブルの原因になりかねない。

このように、入口・継続・出口のすべてのフェーズで、リゾート会員権には無視できないコストとリスクが潜んでいる。これらをすべて理解した上で、それでもなお「利用価値」を見出せるかどうかが、厳しく問われるのだ。

令和の新しい選択肢「NOT A HOTEL」や別荘サブスクとの違い

出典:ADDress

サブスクの普及で、「所有」の概念そのものが変わりつつある今、リゾート会員権の競合は他の会員権ブランドだけではない。

例えば、「NOT A HOTEL」のように、自身が利用しない期間はホテルとして貸し出し、収益を得られる「資産運用」の側面が強いもの。別荘サブスクのように、所有権を完全に手放し、低コストで多拠点生活できる「体験」特化型のものがある。

これらに対し、伝統的なリゾート会員権は、これらの中間に位置し、「特定の場所との深い関係性」に価値を見出す人向けだともいえる。

■NOT A HOTEL・別荘サブスクとの比較表

金銭では測れない「利用権」の真価と、法人所有という活路

コスト面のリスクを理解した上でなお、リゾート会員権に価値を見出す人がいる。その人たちは、金銭的リターンではなく、別の価値に投資している。

●繁忙期での「優先予約権」: GW、お盆、年末年始。一般予約では不可能に近いシーズンの客室を確保できる価値が大きい。「お金で良質な時間を買う」ビジネスパーソン的な視点、時間価値観に合致している。

●家族との「時間」価値という資産形成: 「毎年必ず家族と過ごす場所がある」という半強制的な仕組みが、家族とのコミュニケーションを生み出している。子供の成長を同じ場所で定点観測する体験は、金銭に換算できない「エモーショナルな資産」といえる。

●法人戦略として節税と福利厚生を両立: 法人契約での活用は、リゾート会員権の価値最大化の一つの解である。年会費や利用料を経費計上しつつ、社員のエンゲージメント向上やワーケーション施設、取引先の接待などに活用し、ビジネス面で有利に立ち、コスト以上の価値を見出す。

リゾート会員権は「投資」ではなく、人生を豊かにするための「消費」である

リゾート会員権について、仕組みやメリット、リスクなどを解説した。

会計的な観点から見れば、原則として『負債』であるので、以下3つの理由で所有には相当の覚悟が必要であるというのが本記事での結論である。

(1) 利用の有無にかかわらずキャッシュを流出させ続ける年会費
(2) 売却したい時に売れない可能性がある流動性のリスク
(3) 購入価格を上回る値上がり益が期待しにくい

一方、以下の3つの問いに一切の迷いなく「YES」と答えられるのであれば、リゾート会員権は最高の「資産」となるだろう。自分の中長期的なライフスタイルとよく相談してほしい。

文/久我吉史

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