プロンプトを上手く使いこなすことができれば、生成AIはあなたの頼れる相棒になる。本記事では、プロンプトの基本から実践的な使い方までを解説し、AI活用を一歩進めるヒントをお届けする。
目次
ChatGPTの台頭により、生成AIの活用がビジネスや日常生活のさまざまな場面で求められる時代となった。しかし「そもそもプロンプトとは何か」「どうすれば理想的なアウトプットが得られるのか」を理解している人は多くない。
本記事では、プロンプトの基本的な意味から生成AIでの役割、さらに目的に応じた例文をわかりやすく解説する。プロンプトの理解が一歩深まることで、AIとの対話がよりクリエイティブに、実践的になるはずだ。
プロンプトとは何か?
近年、生成AIの性能向上にともない、プロンプトの設計がますます重要視されている。まずは、プロンプトの基本的な知識から押さえていこう。
■プロンプトの定義と語源
プロンプトとは、生成AIやコンピュータとの対話において、ユーザーが入力する指示や質問のこと。もとは英語の「prompt」に由来し、「促す」「きっかけ」といった意味を持つ。
ChatGPTなどの生成AIにおいては、ユーザーがAIに具体的な応答や処理を求めるための問いや命令文となる。生成AIはこのプロンプトをもとに回答を生成するため、内容によって結果が大きく変わる。
■IT分野・AI分野における使われ方の違い
プロンプトは、IT分野とAI分野で異なる意味合いを持つ。IT分野においては、プロンプトは主にコンピューターがユーザーに入力を促すための表示や合図を指す。
コマンドプロンプトでは「C:\Users\名前>」のように「>」という記号が表示される。これは、コンピューターが「ここに命令を入力してください」と合図しているものだ。「>」の直後にコマンドを入力し、実行することでパソコンを操作できる。つまり、IT分野におけるプロンプトとは、ユーザーに入力を促す表示そのものである。
一方、AI分野ではプロンプトは生成AIへの指示や問いかけを意味する。例えばChatGPTに「おすすめの旅行先を教えてください」と入力する場合、この文章自体がプロンプトとなる。
■生成AIにおけるプロンプトの役割と重要性
生成AIにおいてプロンプトは、AIに対する指示や要望を伝えるための「入力文」として重要な役割を担う。プロンプトの内容や表現方法によって、AIが生成する文章やコード、画像などのアウトプットの質と方向性が大きく左右される。
特にChatGPTのような対話型AIでは、プロンプトによってAIがユーザーの意図をどれだけ正確に理解できるかが決まるため、業務活用や情報収集の成果を左右する決定的な要素といえる。
プロンプトの種類と活用例
プロンプトの種類ごとに特徴を理解し、適切に活用することで、AIから引き出せる成果が大きく変化する。以下、代表的なプロンプトのタイプと業務での活用例について整理する。
■指示型プロンプト
指示型プロンプト(命令文形式)とは、AIに対して「〇〇してください」といった具体的なアクションを求める命令文のこと。生成AI活用の基本的なプロンプト形式であり、ユーザーの意図や目的を明確に伝えられる点が特徴だ。
例えば「次の文章を要約してください」「表形式で出力してください」など、求める出力や条件を端的に指定することで、期待した結果が得られやすくなる。
■補完型プロンプト
補完型プロンプトとは、ユーザーが文章やフレーズの一部を入力し、その続きをAIに予測・生成させる形式のプロンプトを指す。文章の冒頭やタイトルだけを入力し、AIに自然な流れで続きの内容を作成させる場面で活用される。ビジネス文書や提案書、キャッチコピー、ストーリーの続きなど、さまざまな用途に対応しやすいのが特徴だ。使用例は、以下の通り。
入力プロンプト | 生成される出力例 |
豊臣秀吉 | 豊臣秀吉は、戦国時代の天下人で、太閤検地を実施したことで知られる。 |
朝起きて窓を開けると、 | 朝起きて窓を開けると、爽やかな風とともに小鳥のさえずりが聞こえてきた。 |
補完型プロンプトは、AIによる文脈理解や継続的な表現力を活かすことで、効率的かつ自然な文章作成を支援する役割を持つ。
■実演型プロンプト
実演型プロンプトとは、AIに対して「こういう風に答えて欲しい」という具体的な例やルールを一連のやり取りとして示し、そのパターンをもとにAIに推測や分類をさせる手法のこと。
例えば「会議=社内」「商談=社外」といった実際の例を複数提示した上で、「研修は?」とAIに尋ねると、AIは与えられた例からルールを読み取り「社内」と答える。はじめにいくつかの実例を提示し、その規則性やパターンをAIに理解させてから新たな質問を投げかけ、推察させる。
実演型プロンプトは、FAQの自動作成や専門的な分類作業、独自文体での出力が求められる場合など、AIに一貫性や特殊なルールでの回答を求めるシーンで特に有効なプロンプトだ。
良いプロンプトを作成するコツ
プロンプトの内容が具体的で明確であるほど、AIから期待通りの質の高いアウトプットが得られる。生成AIを有効活用するために、良いプロンプト作成のコツを押さえておこう。
■要点を明確に伝える
プロンプトは曖昧な表現を避け、情報を具体的かつ簡潔に記述することが重要だ。例えば、「詳しく教えてください」ではなく「初心者にもわかりやすいように、三つのポイントにまとめて説明してください」と要求内容を明確に指定する。以下のようなフォーマットを活用すると、意図が一層伝わりやすくなる。
要素 | 記載例 |
行動 | 「要約してください」「改善案を提案してください」 |
条件 | 「300字以内で」「小学生向けに」 |
形式 | 「箇条書きで」「表形式で」 |
追加情報 | 「以下の文章を基に」 |
何を・どこまで・どのように出力してほしいのかを具体的に示すことで、AIの出力精度を高められる。
■参考情報や背景を伝える
生成AIに的確な出力を求めるために、プロンプトに参考情報や背景を具体的に盛り込むのも有効だ。必要な文脈や前提条件を明確に示すことで、AIは目的や意図を正しく理解できるようになり、期待通りの内容を生成しやすくなる。
例えば、商品紹介文を依頼する場合は「商品の特徴」「ターゲット層」「活用シーン」などを列挙し、業務マニュアルの作成を求める場合は「対象者のレベル」「実施する手順」「注意点」などを併記するのが望ましい。
■フィードバックでプロンプトを改善する
プロンプトの精度を高めるには、AIから得られた回答をもとに継続的にフィードバックを行い、プロンプト自体を調整・改善していくことが欠かせない。期待した内容と実際の回答にズレがある場合、どの部分の指示が曖昧だったかを見直し、要件や条件を追記することで精度が向上する。
【例文】業務活用ですぐ使えるプロンプト例

ここでは、すぐに使えるプロンプト例を用途別に紹介する。業務効率化に役立ててほしい。
■アイデア出し
ビジネス企画、商品開発、マーケティング戦略立案のアイデア出しに生成AIを活用すれば、従来のブレインストーミングより効率的に質の高いアウトプットが期待できる。
<アイデア出しのプロンプト例>
●新規事業のアイデアを5つ挙げてください。各アイデアには、想定されるターゲット層、競合との差別化ポイント、主な用途を含めてください
●既存商品の「〇〇」を、現状のビジネスパーソン以外にも販売したい。学生・シニア層など新規ターゲットを想定し、それぞれどのような販促施策・販売チャネルが有効か、具体的に3案提示してください
プロンプトの粒度を細かくし、テーマや観点(例:収益化視点、UX視点など)を具体的に指定することで、より実践的かつ独自性のあるアイデアが得られる。
■商品・サービス紹介文
商品・サービス紹介文をAIに作成させる場合、プロンプトの工夫が成果を左右する。例えば「ターゲットは子育て世帯。新発売の家事代行サービスの魅力を、親しみやすい言葉で200文字以内に紹介してください」のように、対象や目的、文体、文字数を具体的に示すと良い。
具体的に指定することで、AIは期待するユーザー像や訴求ポイントを理解しやすくなり、効果的な紹介文を生成できる。
<商品・サービス紹介のプロンプト例>
ターゲット:「ビジネスパーソン」
商品:「要約書籍アプリ」
特徴:「1冊10分で読める」
文体:「端的でわかりやすく」
出力例:「忙しいあなたに、1冊10分で読める要約書籍アプリ。通勤時間にもサクッと知識を手に入れ、毎日の学びを効率化しよう」
このように、文章ではなく細かな条件を指示しても良い。詳細を詰めるほど、よりターゲットに刺さる紹介文を出力できる。
■Excel関数作成
ややこしいExcel関数も、プロンプトを活用することですぐに生成できる。
<Excel関数作成のプロンプト例>
#お願い
生徒点数一覧の「合否」列に“合”または“否”を自動入力するExcel関数を作成してください
#情報
合否判定の条件は次の2つ
・国語、数学、英語の合計点が160点以上
・30点以下の科目がない
#ルール
シンプルで理解しやすい関数とする
この条件のもと、ChatGPTなどの生成AIに指示を出すと、IF関数とAND関数を組み合わせた式を提案してくれる。例えば次のような式となる。
=IF(AND(SUM(B2:D2)>=160,MIN(B2:D2)>30),”合”,”否”)
生成AIを使ったExcel関数作成は、複雑な業務ロジックや大量データにも柔軟に対応できる点が強み。業務効率化やヒューマンエラーの低減も期待できる。
■ビジネスメール作成
ビジネスメール作成においては、プロンプトを的確に設計することが生成の質を左右する。まず、メールの目的や伝えたい内容、相手への期待行動を明確にする。さらに、立場やシチュエーションを指定すると、より実務に即した表現が得られるだろう。例えば、営業担当として新サービスを案内したい場合には、以下のようなプロンプトが役立つ。
<ビジネスメール作成のプロンプト例>
例文:「あなたは自社の営業担当者です。既存顧客に新サービス(6月開始、効率化が強み)の案内を行います。新サービスに興味を持ってもらい、資料請求に促すメールを400字程度で執筆してください」
■求人票の文章作成
求人票の文章作成においては、AIに与えるプロンプトの工夫が成果に直結する。「あなたは経験豊富な人事担当者です。以下の会社情報と募集要項をもとに、求職者に魅力的な求人票を作成してください」と明記し、具体的な条件を箇条書きで指示することで、実用的かつ訴求力のあるアウトプットが得やすい。
<求人票の文章作成のプロンプト例>
#命令書
あなたは経験豊富な人事担当者です。以下の会社情報と募集要項をもとに、求職者にアピールできる求人票を作成してください。
#会社情報
・地域密着型のカフェチェーン
・従業員数20名
・未経験者歓迎、研修制度あり
・働きやすいシフト制
・スタッフ割引制度あり
#募集内容
・カフェスタッフ
・アルバイト
・時給1,200円
#出力形式
・募集背景
・仕事内容
・職場の雰囲気
・応募方法
■文章要約・校正
文章要約や校正にも生成AIは活躍する。
<アイデア出しのプロンプト例>
●次の文章をわかりやすく100字以内で要約してください
●以下の文章の誤字脱字と文法ミスをすべて指摘して修正して
●該当の文章をより丁寧な敬語表現に書き直してください
●より〇〇の魅力が伝わる文章にしてください
出力された内容がイマイチだったときは、「〇〇がわかりづらいので、もっと嚙み砕いて説明してもらえますか」とフィードバックを伝えることでより精度が高まる。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部