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ストレスに「食」で立ち向かう!40代のためのセルフケア栄養術

2025.08.02

部下、上司、家庭のはざまで振り回される40代!「食習慣」で作る、折れない自分

40代は社会人として責任が重く、部下の育成や業績向上、家庭では子育てや親の介護など、あらゆる場面で“中間管理職”の役割を担います。ある調査(※1)では「最もストレスを感じているのは課長級」との結果も出ています。また、仕事と家庭の両立が困難になるため昇進したくないとの回答が30~40代が高く、心身ともに極度のプレッシャーがかかりやすい年代です。

この世代の方には、「寝ても疲れが取れない」「以前より回復が遅い」と感じる方も多いのでは、さらに今年も既に連日の猛暑です。この暑さにより睡眠の質の低下や、食欲不振による栄養の偏りといった“夏特有の体調不良”が重なることも見逃せません。これらが、更に、心身ともに体調不良の原因となり、回復力がますます損なわれる悪循環となるリスクがあります。
(※1)https://hrzine.jp/article/detail/5891

40代を襲うストレスによる疲労の正体とは

これまでと同じように健康に気をつけた生活をしているのに、疲れやすい、なんとなく不調が続く、と感じている方。それは加齢による代謝の低下と栄養不足による影響かもしれません。40代を迎えると基礎代謝は1年ごとに年平均0.7%ずつ低下するとされエネルギー消費が落ちる一方で、脂肪は蓄積しやすくなります。さらに、テストステロンという男性ホルモンが減少、それに伴い筋肉合成も低下し筋肉量が減少します。すると、エネルギー不足や疲労感の蓄積につながるのです。

一方、筋肉が減少すると姿勢も崩れやすくなり血行不良や消化管の下垂による消化不良により、栄養素の吸収が落ちるといった悪循環が起きます。

代謝の低下、筋肉量の減少、栄養不足が引き起こす悪循環は、まさに『かくれ栄養失調』の落とし穴ともいえます。それを断ち切るには体の変化に気づき、栄養と生活習慣を見直すことが欠かせません。次に、その改善法について詳しく紹介します。

食べて変わる!ストレスと夏バテに負けない体と心を作る「栄養戦略」

エネルギー産生と神経機能の維持に不可欠なビタミンB群、鉄分、亜鉛といった栄養素が慢性的に不足すると、脳の働きが鈍くなり、うつ的な気分や集中力の低下も招きます。また、オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)の不足も脳内の炎症反応を助長し、感情のゆらぎや不安定さを増すことがわかっています。

Brain foods: the effects of nutrients on brain function:Nat Rev Neurosci. 2008 Jul;9(7):568-78

また、「食事は二の次」になりがちなこの年代こそ、忙しい中で意識的に栄養補給し、パフォーマンスを高める習慣が必要です。特に夏場は、食欲が落ちて冷たい麺類や炭水化物に偏りがちです。また、寝苦しい熱帯夜が続けば、睡眠の質も低下します。重要なのは単に食事量を増やすのではなく、「質」と「栄養素の選び方」に注目することです。ここでは、心と体を支える代表的な栄養素と、その効果的な摂取法を紹介します。

◎ビタミンB群
ビタミンB群は、糖質や脂質、たんぱく質の代謝を助けるエネルギー産生の要であり、特に脳内で神経伝達物質をつくる過程に欠かせません。B1(チアミン)は疲労回復に、B3(ナイアシン)、B6はセロトニン合成に、B12は神経の修復に関与します。不足すると疲れやすくなり、イライラや集中力低下、うつ状態を招きやすくなります。摂り方としては、納豆に雑穀ごはん、味噌汁、卵焼きを組み合わせることで主要なビタミンB群を効率よく摂取できます。また、アルコールを多く摂取する人は、体内でビタミンB群が消費されやすいため、意識的な補給が大切です。

◎ビタミンD
ビタミンDは、睡眠ホルモンの原料である、セロトニンとオキシトシンの合成に深く関わっています。ただでさえ寝苦しい夏の猛暑の時期に、ビタミンDの摂取はとても大切です。ビタミンDが不足することで、睡眠の質が低下するだけでなく、特に暑い時期、イライラしやすかったりと精神的に不安定になる可能性があります。

◎オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)
オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)は、脳の神経細胞膜の柔軟性を保つうえで重要な栄養素で、炎症を抑え、気分の安定にも役立ちます。特にEPAには抗うつ効果、DHAには記憶力や集中力の維持に関与することが報告されています。現代の食生活では不足しやすいため、意識的な補給が必要です。ツナ缶やサバ缶、しらす干しを常備し、レタスやカットキャベツにトッピングして、アマニ油をドレッシング代わりにかけると、手軽にオメガ3を摂れる簡単なEPAランチが完成します。

◎鉄分
脳や身体に酸素を運ぶ重要な役割を果たし、不足すると疲労感、めまい、頭痛を引き起こしやすくなります。また、脳内の神経系ホルモンであるセロトニンの合成にも関わっており、鉄不足は抑うつ症状の一因になることもあります。特に女性は月経や出産後に慢性的に不足しやすいため、積極的な補給が必要です。なお、鉄は吸収率が低いため、ブロッコリーやレモンなどビタミンCを含む食品と一緒に摂取するのがおすすめです。

◎亜鉛
細胞の成長や修復、免疫機能の向上、味覚や嗅覚の維持に欠かせない重要なミネラルです。食生活の乱れや加工食品の多用、ストレスの影響で消耗しやすく、不足すると免疫力の低下やうつ症状、認知機能の低下を引き起こす可能性があります。また、セロトニンの合成にも関与し、ストレス耐性を高める役割も果たします。摂取の工夫としては、牡蠣のシーズンには意識的に摂るほか、牛肉やレバー炒めを日常の食事に取り入れるのがおすすめです。
Zinc in depression: From development to treatment: A comparative/ dose response meta-analysis of observational studies and randomized controlled trials. General Hospital Psychiatry Volume 74, 110-117

◎トリプトファン
セロトニンやメラトニンの前駆体として知られる必須アミノ酸で、睡眠の質を高め、ストレスへの耐性や幸福感の向上に中心的な役割を果たします。ただし、トリプトファンの代謝にはビタミンB6、鉄、ナイアシンといった補酵素となる栄養素が必要なため、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。

今日からできる!時間帯別「栄養の選び方」ガイド

忙しい40代の皆さんが、毎日の生活で栄養戦略を実践するには、“無理なく、手間なく、継続できる”、この3つがポイントです。ここでは、時間帯ごとのおすすめ実践法を紹介します。

【朝ごはん】

朝のエネルギーチャージと腸内リズムの起動を意識したメニュー構成が重要です。まずは、起床時にカーテンを開けて、朝日を浴びましょう。そうすると脳内でのセロトニン活性が高まり活動モードにスイッチが入ります。

雑穀米+納豆+ゆで卵+味噌汁(発酵食品+たんぱく質+B群)
サイドメニューとして、バナナ+プレーンヨーグルト+黒ごま+ハチミツ(腸活&トリプトファン+マグネシウム)

【昼ごはん】

外食やコンビニを利用する機会も多いことでしょう。そこで、メニューや食品の選択の工夫がカギとなります。

◾️外食編

焼き魚定食+野菜のつけ合わせ+雑穀ごはん
※定食を選ぶなら可能なら青魚を、ご飯は白米でもO K

◾️コンビニ編

サラダチキン+玄米おにぎり+野菜スープ
※弁当を選ぶ際は、「たんぱく質10g以上/糖質30g未満」のラインを目安に

【午後の間食】

午後3時前後は血糖値が下がりやすく、軽食をとることで脳へのエネルギー供給を安定させ、作業効率を高めることができます。

ミックスナッツ(無塩)+カカオ70%以上のチョコレート
抗酸化物質とマグネシウムの補給ができます。

無糖ヨーグルト+チーズ
腸内環境とたんぱく質強化に最適です。

【夜ごはん】

1日の終わりに体と心を整える夕食は、翌日のパフォーマンスや睡眠の質に大きな影響を与えます。腸内環境を整え、夜間のセロトニンを安定させることで、心身の回復や深い眠りを促すメニューを意識して取り入れるのがおすすめです。糖質を控えたり、発酵食品をプラスしたりして腸内環境を整えることで夜間のセロトニンの安定に役立ちます。また、寝る3時間前までに夕食を済ませることや、冷たいものの摂りすぎを避けることも、夏場の睡眠環境を整えるカギになります。

雑穀米(少量)+味噌汁+オクラ+もずく+納豆
鶏むね肉+蒸し野菜(ブロッコリー、人参、カボチャ)

【週末のリセットごはん】

一汁三菜メニューを「金曜夜」または「日曜夜」に取り入れ、週明けへのリズムを整えましょう。

「無理なく」「飽きずに」「楽しむこと」で未来の自分へ健康投資

「朝だけ」「週末だけ」など、まずは無理のない範囲から始めるのがおすすめです。また、同じメニューを繰り返すと飽きてしまい継続が難しくなるため、曜日ごとに違うテンプレートメニューを用意するとよいでしょう。ご家族がいる場合は、一緒に食事を楽しむことで続けやすくなります。さらに、残った食材は翌日のお弁当に活用したり、冷凍保存できるおかずを工夫することが、無理なく続けるためのコツです。

40代は、仕事、家庭、社会の中で多くの役割を担う重要な時期です。そのぶん心身への負荷も大きく、放置すれば健康を損ねかねません。体調管理の基盤となるのは、やはり日々の「食」。必要な栄養素を意識し、無理なく続けられる習慣を積み重ねることで、ストレスに負けないしなやかな体と心を育てられます。まずは今日の一食を見直すこと。それが未来の自分を守る第一歩です。

文/梶 尚志
かじ・たかし。梶の木内科医院 院長・七夕医院総院長。総合内科専門医、腎臓専門医、家庭医、日本抗加齢医学会専門医、健康スポーツ医。1989年、富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業。2000年、岐阜県可児市に梶の木内科医院開設。年間約5万人の患者を診察する中で、通常の診察では解決できない不調が多いことに危機感を感じ、改善策を模索。分子整合栄養医学との出会いをきっかけに、不調の原因が栄養状態にあることを確信する。2025年7月、新たに栄養療法に特化した七夕医院名古屋分院を開設。大人から子どもまで栄養学的なアプローチで治療と生活指導を行い、不調の改善に取り組んでいる。

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