参政党とは2020年に誕生した新政党で、教育・食と健康・安全保障に重点を置いた政策を掲げている。SNS発信や寄付中心の運営を特徴とし、神谷宗幣氏が党首を務める。
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近年、注目を集めている「参政党」。2020年に設立された新しい政党ながら、「自分たちで政治をつくる」理念のもと知名度を上げてきた。教育・食と健康・安全保障を柱に、既存の政党とは異なる路線を打ち出し、若年層や無党派層を中心に支持を集めている。
この記事では、参政党の基本情報から主な政策、党首や著名人との関係、評価や課題までをわかりやすく解説する。
参政党とは?簡単にわかりやすく紹介
参政党は、2020年に結成された比較的新しい政党だ。参政党は国民一人ひとりが政治に参加することを強く訴え、徐々に支持率を伸ばしている。ここでは参政党の基本的な情報や理念、他の政党との違いについて解説する。
■参政党の基本情報
参政党は「投票したい政党がないから、自分たちでゼロからつくる」を合言葉に、2020年に発足した新興政党だ。2022年の参院選では全国比例1議席を獲得し、2024年の衆院選では3議席を獲得。そして2025年7月の参議院選では、比例7議席、選挙区7議席、全部で14議席を獲得する大躍進を見せた。
動画や講演会、YouTubeなどでの露出にも積極的に取り組んでいることで、政治への関心が薄かった層にも影響を与えている。メディアを最大限に活用し、自民党や国民民主党などに不満を抱く保守派や若年層など、独自の支持層を築いている点が特徴だ。
■掲げる理念
参政党の活動の中心にあるのは「日本の国益を守り、世界に大調和を生む」という理念だ。特に、教育・食・安全保障を3つの重点政策として掲げている。生活に直結する課題に対して国民自らが関心を持ち、積極的に行動することの重要性を訴えている。
理念の根底には、国家の主権と個人の尊厳を守る強い意思があり、その実現のために、日々の暮らしと政治を近づける活動を行っている。
■他の政党との違い
参政党の最大の特徴は、既存の政治団体に見られる利権やしがらみに縛られない点だろう。企業や特定団体からの支援を受けず、個人の寄付やボランティアによって資金を集め運営されている。
選挙活動にもクラウドファンディングを活用し、資金の透明性を高めることで他政党とは異なる独立性をアピールする動きもある。さらに、YouTube動画の配信やSNSでの発信に力を入れているため、若年層にもリーチしやすいとされる。
参政党の党首は誰?著名人との関係性
参政党の代表には、神谷宗幣(かみやそうへい)氏が就任している。政治家の枠を超え、教育者・情報発信者としての顔も持つ人物が代表であることが、党の方向性に色濃く反映されている。ここでは、参政党の党首や著名人との関わりについて見ていこう。
■代表は神谷宗幣氏
参政党の代表を務める神谷宗幣氏は元大阪府吹田市の議員であり、市民運動にも長年携わってきた人物だ。2012年の衆議院選挙では自民党の公認を受け、大阪13区から立候補したが、落選となる。
その後は政治分野にとどまらず、情報発信や教育活動に力を入れるようになり、2013年にYouTubeチャンネルを開設。2018年にはオンラインと対面を融合させた学びの場「イシキカイカク大学」を始め、社会問題や歴史、教育など幅広いテーマで講座を行っている。
情報発信力には定評があり、難解な政治の話題を一般の人にもわかりやすく解説するスタイルが人気を集めている。
■武田邦彦氏など著名人との関わり
参政党は学者や専門家と協力関係を築き、政策への信頼性や発信力の強化を図っている。代表的な人物として知られるのが、元大学教授で『ホンマでっか!?TV』に出演していたことでも知られる武田邦彦氏だ。参政党の講演会や動画にもたびたび登場し発信を行っていたが、2025年現在は離党している。
参政党は医師や経済評論家、教育者などさまざまな分野の識者と積極的に交流し、テーマごとの理解を深める発信を行っている。こうした著名人との関わりも、情報の説得力や拡散力を高める要因だろう。
参政党の主な政策とその特徴
参政党は、大きな政党と比べて網羅的な政策ではなく、特定のテーマに絞った明確な主張を3つの重点政策として打ち出している。ここでは、教育・食と健康・安全保障の各分野の政策と特徴を紹介する。
■教育|“自分の国は自分で守る”という思想
参政党は、教育の改革を最優先課題と位置づける。「学力より学習力」をモットーに、知識を詰め込む管理教育ではなく、自国への理解を深める新しい教育を主張している。道徳教育や歴史教育を見直し、日本人としての誇りを持てるような教育を目指す。
他にも、学校ではなく生徒に予算をつける仕組みや、多様な教育環境の提供など、長期的な視点での政策を展開している。
■食と健康|自然食・オーガニックへのこだわり
参政党は、現代の食生活が健康に与える影響に強い危機感を持ち、農薬や添加物、遺伝子組み換え食品への依存を減らすべきだと訴える。
自然食やオーガニック食品の普及を推進し、医療に頼る前に日常の食生活を見直すこと。薬やワクチンに過度に頼らず、自己免疫力を高める健康な体づくりを目指す姿勢が重要だと主張する。さらに、食料自給率100%を掲げ、災害や有事に備えた強固な食の体制づくりにも注力する姿勢だ。
■憲法や安全保障|保守的価値観の主張
参政党は、国家の主権を守るために、外国勢力が日本の政治や経済に影響を与えない体制づくりを重視している。「日本が自国を自ら守れる体制を整えるべき」主張し、現行憲法の一部見直しや、安全保障における自衛権の明確化にも前向きな姿勢を示している。
また、移民政策よりも国内の雇用と所得向上を優先することを重視しているのも特徴。広がるグローバル化に抵抗し、地域経済の自立を支えるべきだとする、保守的価値観を前面に押し出している。
参政党の評価と課題

参政党はSNSを駆使した情報発信や、わかりやすい言葉を用いた政策説明によって注目を集めてきた。一方で、一部の過激な主張や運営体制に対しては批判も少なくない。ここでは、参政党が評価されている点と課題について整理する。
■支持されている点
参政党が評価されている理由の一つは、一般市民が主体的に政治活動に参加できる仕組みを重視する点にある。教育や食、健康など生活に身近なテーマに焦点を当てた政策は、誰でも政治に関われることを表している。SNSやYouTubeを活用した双方向的な発信も、若い世代や情報リテラシーの高い層から関心を得ている要因だろう。
■批判されている点
参政党には「政策が具体性に欠ける」という指摘や、一部の主張が極端と受け取られることもある。科学的根拠が不十分な意見が拡散されることへの懸念もあり、専門家から批判される場面も少なくない。さらに、組織運営や意思決定プロセスの透明性に不安を感じる声もある。今後も支持が広がる中で、政党としての成熟度や説明責任がますます問われていくだろう。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部