衆議院・参議院で過半数を占める政党が異なる「ねじれ国会」。その仕組みや原因、過去の事例を通じて、ねじれ国会の影響と意義を解説する。
目次
法案の審議や予算の決定など、国の根幹を支える重要な議論が日々行われている国会では、「ねじれ国会」と呼ばれる現象が起きることがある。ねじれ国会は法案の成立が滞る懸念がある一方で、急進的な政策を抑制し、より多様な民意を反映できる利点もある。
この記事では、ねじれ国会の意味や仕組み、発生する原因、過去の代表的な事例までをわかりやすく解説する。
ねじれ国会とは?意味と仕組み
ねじれ国会が発生する背景には、二院制や選挙制度の構造がある。まずは、ねじれ国会の意味や仕組みを確認しよう。
■ねじれ国会の意味
ねじれ国会とは、衆議院と参議院で与党と野党の勢力が逆転している状態を指す。衆議院では与党が過半数を占めていても、参議院では野党が多数派となっているケースなどが該当する。このような状況では、政治の停滞や対立が顕著になり、国会運営に大きな影響を与える可能性がある。
■衆議院と参議院の役割と違い
日本の国会は衆議院と参議院の二つの議院で構成されており、衆議院と参議院はそれぞれ独自の選挙制度と任期を持つ。衆議院は4年間の任期中でも解散する可能性があるため政権の動きと連動しやすく、民意を反映しやすいとされる。
一方、参議院は任期の6年間の間は解散がない(半数は3年ごとに改選)。そのため、長期的な視点で政治に関われるのが特徴だ。二院制を採用することで政治的なバランスを保っている一方で、ねじれ国会の発生を招く構造にもなっている。
■衆議院の優越の仕組み
日本国憲法では、衆議院に対して一定の優越が認められている。予算の議決や内閣総理大臣の指名、条約の承認などは、参議院が異なる議決をした場合でも衆議院の議決が国会の議決になる仕組みだ。
法律案については、衆議院で可決し参議院で可決に至らない場合、衆議院の出席議員の3分の2以上が賛成すれば再可決すれば成立する。ただし、参議院の同意が必要な案件も多く、ねじれが続くと政権が滞る状態を招く可能性がある。
ねじれ国会が起きる原因とその背景
衆議院と参議院では異なる選挙制度が採用されており、それぞれの選挙結果が大きく異なることも珍しくない。ここでは、衆議院と参議院の選挙制度の違いや、ねじれ国会の原因として見逃せない要素について説明する。
■選挙制度の違い
衆議院と参議院は、それぞれ選挙制度が異なる。
・衆議院の選び方(政党+候補者の両方が重視される)
小選挙区制:全国を細かく分けた選挙区ごとに1人だけ選ぶ。候補者の名前を書いて投票。
比例代表制:政党に投票。政党の得票数に応じて、あらかじめ決められた名簿順で当選者が決まる。
両方に立候補できるので、小選挙区で落ちても比例で「復活当選」することがある。
・参議院の選び方(地域性や個人の人気が反映されやすい)
選挙区制:都道府県ごとに複数人を選ぶ。候補者の名前を書いて投票。
比例代表制:政党名または候補者名で投票。得票数の多い順に当選者が決まる。
議院では比例復活はなし。候補者個人の得票がそのまま当落に直結する。
衆議院は「政党の力」が強く出やすく、参議院は「個人の魅力」や「地域の声」が反映されやすい。この選挙制度の違いが、衆議院と参議院の議席配分にズレを生じさせる要因の一つになっている。
■衆議院の解散と参議院の任期のズレ
衆議院の任期は4年間と定められている。しかし、実際には内閣の判断によって任期中に解散されることが多く、選挙のタイミングが流動的だ。一方で、参議院の任期は6年間となり、3年ごとに半数を改選する。つまり、衆議院と参議院の選挙時期が重なることは少ない。両院の任期のズレによって民意が反映されるタイミングに差が出るため、ねじれ国会の状態が生まれやすくなる。
■与野党の勢力と政策の対立
与党と野党の勢力が拮抗している状況では、政策ごとの対立が鮮明になりやすい。特に、年金制度や消費税、外交や安全保障などの重要政策について基本的な立場に大きな違いがあると、議論は平行線をたどる。参議院で野党が多数を占めると、法案審議が停滞したり否決されたりする場面が起こりやすい。
ねじれ国会になると何が起きる?メリットやデメリットとは
ねじれ国会が発生すると、国会運営にさまざまな影響が生じる。特に重要なのが、国会審議の停滞や政策実現の難しさだ。しかし、ねじれ国会にはマイナスの要素だけではなく、民主主義的な観点からは一定のメリットも存在する。ここでは、ねじれ国会のメリットとデメリットを整理しよう。
■メリット|民意が反映されやすくなる
ねじれ国会の最大のメリットは、与党による一方的な政策決定を抑えやすくなる点だ。異なる立場の政党が互いに牽制し合うことで、急進的な政策が抑制される効果がある。
また、参議院の存在によって少数派や地域の声も取り入れやすくなるため、多様な視点が政策に活かされる。幅広い意見が交わされることで多角的な検討が進み、国民の意見をより広く政策に反映しやすくなる。
■デメリット|法案成立が停滞する
ねじれ国会の最大のデメリットは、法案の成立や政策実行の停滞だ。衆議院で可決された法案が参議院で否決されることで、国政の重要課題への取り組みが進まない状況が生まれる。
再可決などの手続きを経ることで衆議院の可決とすることは可能だが、かなりの時間と労力がかかり、スムーズな政権運営は難しい。景気対策や外交案件など、迅速な判断が求められる場面でも重要な意思決定が遅れることで、「決められない国会」という批判につながることもある。
ねじれ国会が発生した事例

ねじれ国会はこれまでに何度も発生し、政権の意思決定や政策実行力に大きな影響を与えてきた。以下では、ねじれ国会が起きた代表的な事例として2007年と2010年を取り上げ、発生の経緯やその後の政治への影響を紹介する。
■【2007年】自民党が惨敗、ねじれ国会に
2007年の参議院選挙では、当時の安倍政権を率いる自民党が歴史的な大敗を喫した。年金記録問題や閣僚の不祥事が相次ぎ、国民の不満が高まっていたことが背景とされている。この選挙で民主党が参議院第一党となった。自民党は結党以降初めて参議院第一党から降りることとなり、ねじれ国会が誕生した。これにより、法案の成立が困難となり、内閣支持率が低迷したことで安倍首相は退陣を決断することになった。
■【2010年】民主党が惨敗、ねじれ国会に
2010年の参議院選挙では、2009年に政権交代を果たしていた民主党が大きく議席を減らした。当時の鳩山首相の辞任や政治資金問題、消費税を巡る発言が混乱を招いたことが、支持低下の要因と考えられる。結果、与党である民主党と国民新党は過半数割れとなり、参議院で野党が主導権を握るねじれ国会が発生した。
■【2025年】参院選で自民党が惨敗し、衆参少数与党に
2024年の衆議院選挙では、自民党率いる与党が過半数を割り込む「逆ねじれ国会」と呼ばれる状態となった。さらに、2025年7月の参議院選挙においても与党は過半数を確保できず、結果として衆参両院で与党が少数派に。この状況では政権運営は一層困難となり、法案の成立には野党との協調、いわゆる連立政権が不可欠となっている。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部







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