
今年の夏もいよいよ本番を迎えた今、猛暑でうんざりしている人がいる一方、投資家たちは静かにチャンスを探っている。気温の上昇が、特定の企業の株価を押し上げるためだ。
これは、単なるアノマリー(経験則)ではなく、猛暑という社会的課題が、消費需要を生み、企業の業績に直結するためだ。
そこで、本記事では、猛暑をキーワードに、資産形成の助けになるであろう「サマー関連銘柄」を10銘柄選んでみた。
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「季節性」要因を戦略的に活用したい
株価は天候や気温だけで決まるほど単純ではないが、夏の消費動向が企業の第2、第3四半期決算に与えるインパクトは大きく「季節性」要因と言われる。
季節性とは、猛暑などの気候変動が人々の消費行動を大きく変え、企業の業績、ひいては株価に明確な影響を与える現象のことである。
例えば、夏の気温上昇で、清涼飲料水やエアコンの売上が伸び、その関連企業の株価が市場平均を上回る傾向など。多くの機関投資家もポートフォリオにこの季節性を組み込んでおり、個人投資家にとっても戦略的に活用できる要素だといえる。
サマー関連銘柄は、消費者の「猛暑対策ニーズ」に応じて分類すると調べやすく、以下の表のとおり7つのカテゴリーに分類してみた。
単純に涼を求めるニーズに加えて、猛暑という厳しい環境下で、「いかに快適に、健康的に、そして楽しく過ごせるか」という付加価値の視点をもっておきたい。
サマー関連銘柄の7カテゴリー分類
この視点を踏まえ、選んだ10銘柄の企業について詳しく見てみよう。
なお、本記事は、特定の気象条件が企業活動に与える影響をビジネスの観点から分析した。特定の金融商品の購入を勧誘、推奨するものではない。
(1) 【直接冷却・空調】ダイキン工業(6367)

サマー関連銘柄の筆頭であるともいえる世界的な空調メーカー。家庭用エアコン「うるさらX」に代表される高い技術力と省エネ性能で国内トップシェア。猛暑や、コロナ禍を経た換気意識の高まりが、高性能エアコンへの買い替え需要を強力に後押しする。インドやアフリカといった、これから空調の普及が本格化する新興国市場での成長ポテンシャルも高い。環境規制が厳しい欧州では、同社の持つヒートポンプ技術が暖房需要にも応えることで、「夏だけの会社」ではない通年での成長ストーリーを描ける魅力もある。
(2) 【飲料・食品】伊藤園(2953)

夏の喉の渇きを潤す清涼飲料水の中でも伊藤園は、「お~いお茶」ブランドを武器に、外出先での水分補給インフラとして、全国で展開する自販機網に強みを持つ。また、熱中症対策の重要性認知拡大に伴い、外出時の飲料購入が「習慣」から「必須行動」へと変化したことが、同社の安定した収益基盤を支えるといえる。さらに、キャッシュレスやスマホアプリと連動した自販機が若年層やインバウンド観光客という新たな顧客層を取り込む。
(3) 【飲料・食品】アサヒグループホールディングス(2502)
日本のビール市場でトップシェアを誇るアサヒグループは、「スーパードライ」ブランドでその地位を確固たるものとしている。気温の上昇とビールの消費量には強い正の相関があり、猛暑はビールメーカーにとって最大の追い風となる。また、缶の蓋を開けると店で飲む生ビールのようなきめ細かい泡が楽しめる「生ジョッキ缶」は、新たな飲用体験を提供し大ヒット商品となった。
(4) 【飲料・食品】森永製菓(2206)

夏のデザートの王様アイスクリームは、厳しい暑さを乗り切るための手軽なクールダウン手段でもあり、日常生活の中でのささやかなご褒美でもある。森永製菓は、この領域で圧倒的なブランド力と商品開発力を誇り、猛暑の恩恵を最も分かりやすく受ける企業の一つ。気温が25℃超でアイスクリームの売上が伸び、30℃超で「アイスボックス」のような氷菓やかき氷タイプの需要が急増すると言われ、同社の商品はその需要受け皿として的確に機能している。
(5) 【機能性アパレル】ワークマン(7564)

かつては「作業服の店」というイメージが強かったが、高機能・低価格なプライベートブランドで消費者から支持を得るリテール企業に。夏の主力商品は、着る扇風機であるファン付きウェアや、接触冷感素材「EXTREME ICE」を使用したTシャツなどがヒットを続ける。プロの現場で培われた過酷な環境に耐えるためのノウハウを応用した製品が、その機能性の高さから、一度使うと手放せないという熱狂的なファンを増やしている。