
今、ペットの首輪のデザインバリエーションは本当に豊富で、各メーカーがそれぞれ独自に素晴らしい商品を開発、リリースしている。
飼い猫の首輪えらび。最優先すべきは安全性!
犬用で言えば、夜間の散歩をより安全にするために、光る機能を搭載した首輪が急激に認知度を高めている。
一方、猫の首輪もまたさまざまな種類が存在するが、立体的な移動を得意とする猫の場合、首輪選びは犬以上にデリケートでなければならない。
飼い猫を外に出すという飼い方が一般的だった頃には、首輪をした猫が首と首輪の間に木の枝などが挟まってしまい、そのせいで死亡事故に至るというケースがごくまれに発生したという。
時代は変わって現在は室内飼育が推奨されるようになったが、たとえ室内であっても、ふとした拍子に首輪と体の隙間に何かが挟まってしまった場合、これが原因で怪我をすることが考えられる。
万が一の事故を防ぐには、丈夫であることはもちろん、大事に至る前に外れてくれる首輪でなければならない。
筆者は長年、あるお店の首輪を愛用している。それが西荻窪に実店舗を構えるネコソダテの販売している首輪だ。
デザインがかわいいのも嬉しいが、ここの首輪は着脱が簡単で、万が一首輪が何かに引っかかった場合、ある程度の負荷が掛かったら破損することなく外れてくれる。
もしもの事態が発生しそうになったら、最悪の結果を防ぐことになるので、これだけでもかなり安心できる。飼い主が外出中の悲劇を防ぐことにも繋がるのだから。
今回は、そんなネコソダテの代表を務める満間さんに連絡し、インタビューをさせていただくことができた。
丈夫で安全で、デザインも楽しいネコソダテの首輪がどうやって誕生したのかについて触れられているため、首輪にもこだわりたい愛猫家のみなさんは是非、読んでいただきたい。
ネコソダテ誕生の原点は、飼い猫のための着け心地のよい首輪作りにあった
松本 今回はインタビューに応じていただき、ありがとうございます。
まずはじめに、いつ頃ネコソダテを立ち上げたのか。そのきっかけ、経緯について教えてください。
満間さん 立ち上げは2013年10月。きっかけは保護団体さんから生後2カ月の子猫の譲渡を受けたことでした。譲渡の条件のひとつが「首輪、迷子札をつけること」。先住猫とともに市販の首輪を利用していましたが、両者ともに着け心地が悪そうで。ほどよい首輪がなく頭を悩ませていました。
ふと思い立って、当時縫製の内職をしていた妹に首輪の試作を頼んでみたところ、まずまずの出来栄えで仕上がってきました。聞くと、内職の単価は驚くほど安い。「内職よりもやりがいのある仕事を用意したい」そして「ご家庭などの事情で外に働きに出られない方にお仕事が作れたら……」と事業化を視野に活動を始めました。
こうして、私たち姉妹2人による「ネコソダテ」が誕生しました。当初はイベント出展とネット販売のみでの活動でしたが、2016年6月に東京・西荻窪にショップをオープン、2022年2月に法人化して現在に至ります。
現在は妹のほか、リモートで数名の方にお仕事を依頼、また、急ぎやオーダー品でない在庫商品のラッピングを就労継続支援B型事業所さんにお願いしています。
事故防止はもちろん、猫の習性に寄り添って作られる、猫に誠実なネコソダテの首輪
松本 ネコソダテさんの首輪は、うちの猫たちもかれこれ7年ほど愛用しております。破損もなく、着脱部分の劣化もなく重宝しております。首輪づくりについてのこだわりについて教えてください。
満間さん いつもありがとうございます! 長らくご愛用いただき本当にうれしいです。
まず、「猫は首輪を嫌がる」という視点から、軽量かつ肌にやさしくお手入れしやすいコットンを素材として選びました。バンダナ風の形状は、逸走時、早期の保護につながる目印としての機能を持ちます。ストレートタイプもご用意していますが、これはバンダナタイプで培った技術を活かしています。いずれもバックル部分は負荷がかかると外れるセーフティバックルを使用、首吊り防止に役立ちます。
豊富な柄行は、また、個体識別を容易にする役割も果たしています。
首輪づくりの上で大切にしているのは、「徹底して猫に誠実」であろうとすることです。
例えば製作面では「自分が猫だったら……?」と、猫目線で「爪が引っ掛かりそう」、「擦れて気持ちが悪そう」、「バンダナが汚れそう」などなど、徹底検証し、設計に落とし込んでいます。
お客様のご要望ももちろん大切にしていますが、猫が快適・安全に過ごすことを阻害するご要望についてはお断りしています。
各イベントへの出展もさかんなネコソダテ。出展の苦労とやりがい
松本 数年前に一度、東京ドームシティで開催されていたイベント(恐らくネコ市ネコ座だったと思うのですが)でもネコソダテさんの出展をお見掛けした記憶があります。
近年も精力的にブース出展という形でイベントにも参加されておりますが、こういった実店舗外での活動についての苦労話や、やりがいに繋がった出来事などございましたら、お聞かせいただけませんか?
満間さん はい、ネコ市ネコ座、ニャンフェスなどの猫がテーマのイベントや、デザインフェスタなどの大きめのイベントにも一部抽選のものもありますが出展しています!
苦労は……陳列ですね。毎回同じ展開をしているように見えて、配置や人の流れ、アイテム構成により微妙に陳列を変えているので、イベント開始前に疲労困憊。
「設営だけで5歳老けた」「いや10歳老けた」と知り合いの出展者さんと笑い合うこともあります。
イベントの醍醐味としては、やはり普段の活動では考えられないほどたくさんのお客様とお話できるということ。ネコソダテをご利用いただいたことがある方、ない方ともにお悩みや首輪の使用感など、たくさんのヒントをいただける貴重な機会で、お話をきっかけに生まれた商品も多数あります。
「ネコソダテの首輪じゃないとダメなんです」や「おかげで首輪ができるようになりました」など、あたたかいお言葉をいただけるのもうれしいですね。
首輪嫌いの猫が意外とすんなり受け入れるネコソダテの首輪。装着のコツは?
松本 最後になりますが、まだネコソダテの首輪を未使用で、現在猫ちゃんの首輪選びに難航している方に向けてメッセージをいただけますでしょうか!
満間さん 首輪のチャレンジで大切なのは、タイミングと無理強いしないことです。もしまだご自宅に嫌がられてつけなくなってしまった首輪があるなら、鈴やチャームなどを外し、寝ているときにそ~っと着けてみてください。それでもうまくいかなかったらぜひネコソダテの首輪をご検討ください(笑)。
「うちの子のことは私が一番知っている」と思ってしまいがちですが、ネコにもその時々の気分やブームがあり、未知の領域がたくさんあります。ぜひ先入観を捨てて、首輪のみならず安全に配慮したさまざまな猫用品にチャレンジしてみてください!
丈夫で安全、長持ち。度重なる洗濯にも耐えるネコソダテの首輪。お宅の猫ちゃんに1本いかが?
ということで、今回はネコソダテ代表の満間さんにお話を伺うことができた。
そもそも最初は市販の首輪にしっくりこなかった飼い猫たちのために、ということで誕生したプロトタイプが、今では実店舗やネット通販、イベント出展を通じて全国の飼い猫たちの元に届いているわけだが、実際にユーザーの1人として考えても、これは凄く妥当な結果と感じている。
とにかく、首輪が苦手な猫もネコソダテの首輪は着用を嫌がらないケースが多く、我が家には猫が4頭いるが、一時期は4頭ともネコソダテの首輪を着用していた(現在は3頭が着用しており、残り1頭の首輪は親族が飼っているチビという猫のために良い首輪を探しているというので「ここの首輪いいよ」と試しに貸し出したところ、そのままチビの常用コーデになってしまった…)。
使ってみると分かるが、セーフティロックがちゃんと機能するから事故防止になるし、着脱が簡単ということは手入れもラクということ。
定期的に水だけで洗濯しているが色落ちもない。
が、欠点もないわけでなく。
それはあまりに丈夫なので、差し迫った買い替えの必要性がない点。
前述のとおり、うちでは少なくとももう7年はネコソダテの首輪をつけた猫がいるが、首輪がいつまでも健在なので「こんなに丈夫だと、儲かるのかな」と余計な心配をしてしまう。
さらに、魅力的なデザインの首輪も多数発売されているだけに、「今の首輪がダメになったらこの図柄に買い替えよう」と思っても全然その時が訪れない!
それぐらいここの首輪は劣化しにくい。
今は猫ファーストでグッズを制作しているメーカーもかなり増えてきたが、ネコソダテは首輪部門にかけてはその先駆けのようなお店。
西荻窪のお店は遠いという方も、各種イベントやネットショップで気軽に購入できるので、ぜひ愛猫に似合う色、デザインの首輪を1本調達してみてはいかがだろうか。
【取材協力】
ネコソダテ®日本で唯一のまじめな首輪®専門店
ネコソダテ西荻
〒167-0042 東京都杉並区西荻北3-8-9
◇営業時間
火・水 16:30-19:30
金・土 13:45-19:30
日・祝 13:45-18:00
文/松本ミゾレ