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加熱する外国人投資家によるマンション投資、参政党の躍進が与える影響は?

2025.07.29

第27回参議院議員選挙では、参政党が14議席を獲得して大躍進を遂げました。多くの支持を取りつけた背景には、「日本人ファースト」のキャッチコピーに裏打ちされる外国人問題を主張したことがあります。

参政党は海外投資家による不動産の取得も問題視してきました。課税の強化など、外国人の不動産取得に制限が課されれば、過熱する都心マンションの熱を冷ます可能性もあります。

及び腰だった政府も参政党の勢いを前に外国人問題の解決に乗り出す

参政党の吉川りな衆議院議員は、5月14日の法務委員会で国会質疑を行い、外国人による不動産取得の現状とその影響を問題視しました。都心の新築マンションの2~4割が外国人の購入であり、前年と比べて外国人の購入件数は4割増加。投資需要が拡大している一因になっていることに言及したのです。

日本は外国人による不動産取得に対する制限がほとんど設けられておらず、住宅を必要とする人々の手に届かなくなると主張しました。

これに対し、中野洋昌国土交通大臣は住宅市場における居住の実態やニーズの変化などの把握にしっかりと努めてまいりたいと答弁しています。

当初、参院選の争点は物価や賃上げなどの経済対策が中心になると見られていました。そのため、政府や与党は外国人問題を積極的に取り上げようとはしなかった節があります。大臣の答弁も実態調査をすると言うに留まっており、焦りが見られません。

しかし、参政党が大躍進して争点が外国人問題に移ると、政府は慌てて対策を打ち始めました。

国民健康保険の踏み倒し対策や、外免切替制度厳格化の具体案を発表したのは投票日を控えた7月に入ってからでした。

もはや、政府は外国人問題を無視できなくなったのです。

一部の野党も参政党に追随しています。国民民主党は7月2日に追加公約を発表。外国人による不動産取得が、不動産価格上昇の一因を招いているとし、外国人の居住目的ではない投機目的の不動産取得に対して追加の税負担を求める「空室税」の導入を検討するという内容でした。

空室税は住民登録のない空き部屋に対して課税するというもの。神戸市などがすでに導入を検討しており、国民民主党は海外投資家にターゲットを絞りました。国民民主は参院選で17議席を獲得しており、野党内では立憲民主党に次ぐ勢いのある政党。政府が海外投資家の不動産取得制限に踏み込む公算が高まりました。

見かけ上の価格高騰は円安で相殺されるに等しく…

都心のマンション価格の過熱感は高まるばかりです。

不動産経済研究所の「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年6月」によると、東京23区の平均価格は1億3205万円で、前年同月比で13.1%上昇しました。㎡単価も10.6%増の205.6万円まで上がっています。今や23区のマンションは億を超えるのが当たり前。2014年ごろは6000万円台で推移していたため、現在は2倍以上の価格で取引されていることになるのです。

価格が高騰している背景には、建設費の上昇による価格転嫁や人口の東京一極集中が進んだ結果の需要増、共働き夫婦が増えたことで住宅ローンの組み方の自由度が上がったことなど、様々な要因があります。しかし、海外投資家による投資目的のマンション購入も一因としてあるのは間違いなさそう。

三菱UFJ信託銀行はマンションを開発する事業者にアンケート調査を行っています(「2024年度下期デベロッパー調査」)。その中で、都心における外国人取得者の割合を尋ねており、千代田区·港区·渋谷区での外国人取得者割合は、「20%以上30%未満」、「30%以上40%未満」がそれぞれ30.8%を占めていました。

都心のマンションは値崩れがしづらく、安定的な資産であることは海外投資家に広く知られています。しかも、今は空前の円安。その効果は絶大で、例えば2014年の23区のマンション価格は6000万円でしたが、このころは1ドル101円程度で取引されていました。現在は150円前後です。マンション価格が1億3000万円に上昇したとしても、為替相場を加味すれば(ドルで取引をすれば)8700万円程度で買えることになるのです。

安全資産かつ相対的に割安で、外国人による不動産取得の制限が薄いとなれば、日本の不動産投資は魅力的に映るでしょう。

規制がないに等しかった日本

しかし、「空室税」などの課税強化となれば、話は違ってきます。投資意欲が減退する可能性もあるでしょう。

もともと、日本は海外投資家の不動産取得に対して規制が緩いと言われてきました。アメリカは軍事施設周辺の土地取引を厳しく制限しており、オーストラリアは新築物件の半数以上の外国人の購入を許可していません。ニュージーランドは居住ビザのない外国人の中古不動産の購入を禁止しています。カナダは外国人の住宅購入を禁止し、空き家に空室税を課しています。

日本人の所得水準からすると、都心のマンション価格の高騰ぶりは異常とも言えるもの。庶民には手の届かないものになりました。外国人の購入規制はこの熱を冷ます可能性があります。購入者のローン返済負担を減らすことは、手取りを増やすことの一助にもなり、今の国民の意識にも合致するでしょう。

思わぬ形でマンションバブルが崩壊する未来も見えてきました。

文/不破聡

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