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要介護状態になる前に!親世代の早めの覚悟が子世代の安心につながる理由

2025.08.02

実家への帰省や親族の集まりなど、身近な家族の老いにふと気づく場面があります。しかし、老後やいざというときの介護など、将来について具体的な話し合いはできているでしょうか。

「将来の備え」を早くから始めて困ることは何ひとつないと語るのは、介護現場歴30年以上、介護支援専門員、宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナーなどの資格を有する吉田肇さん。

最新著書『介護・老後で困る前に読む本 親子で備える知恵と早期の選択で未来を変える!』(NHK出版)では、具体的な事例を示しながら理想の未来から逆算して何を備えるべきかを丁寧に解説しています。

今回は『介護・老後で困る前に読む本 親子で備える知恵と早期の選択で未来を変える!』から親世代・子世代の関わり方をご紹介。病気やけがはいつ何時起こるかわからず、介護生活は突然始まります。備えや選択を先延ばしにしないためにも、親きょうだいと話し合う機会を積極的に持つことが第一歩といえそうです。

先延ばしにしないことが明るい未来につながる

私は今、自治体からのご依頼や、ミサワホームやマザアスと連携しながら、全国各地でさまざまなテーマのセミナーを開催しています。例えば、40~60代の子世代に向けた「ある日突然やってくる! 親が倒れる前に考えておくこと」というセミナーでは、親子間で早めに相談しておきたい暮らし方の選択肢や、自宅に住み続けるための必要な備えなどについて伝えています。60~80代の親世代に向けた「トラブル事例から学ぶ! 民間老人ホーム選びのコツとは?」というセミナーでは、老人ホームに関する「後悔」のほとんどが何の準備もない「バタバタ入居」である現実や、入居の予定がなくても、早めに「入居するならこんな施設がいい」と親本人が目星をつけ、家族に伝えておくことのメリットなどについて伝えています。

親・子両世代に向けた「住み続け派or住み替え派、早めに考えておきませんか?」というセミナーでは、自宅を改築する際のポイントや、住み替えに適した地域や環境などについて伝えています。同じく親・子両世代に向けた「今から知っておきたい『介護保険制度』の基礎知識」というセミナーでは、どんな介護サービスがあるのか、親の居住地域に頼れるサービスはどのくらいあるのかなどについて、介護が必要になる前に把握しておくことの重要性を伝えています。

セミナーの参加者から寄せられた声で特に多いものを次に挙げます。

「今すぐに対策するという決断がなかなかできないでいたが、〝もしものとき〟はいつ起こるかわからないことがよくわかった。親子でできることの方向性を探ってみたい」
「親の介護についてのみならず、自分たち50代夫婦の今後についても考えさせられた」
「自分に思い当たることばかりで、先延ばしにしている時間はないと感じた。ただ、親や兄弟と話し合う機会がなかなか持てないのが現状」
「在宅療養支援診療所については全く知らなかった情報であり、非常に参考になった」
「高齢者の死亡事故は、交通事故よりも、入浴時や転倒などによる事故がはるかに多いことに驚いた」
「室内温度がたった2度上昇するだけで要介護年齢が3歳程度延びるという話を、自宅の改築の参考にしたいと思った」
「亡くなった夫の資産は自分名義になっている。今は元気に暮らしているが、それが一生続くわけではないので、財産管理や相続について考える機会になった」

それぞれ事情は異なりますのでピンとくる内容も人それぞれですが、共通しているのは、「選択や備えを先延ばしにしないことが、親にとっても子にとっても明るい未来につながることがわかった」というご意見です。

本書では、セミナーでお話ししている内容についてもひとつひとつ紐解き、将来に向けて親子で早めに選択し、備えることがなぜ重要なのかを紹介していきたいと思います。

画像はイメージ

ひとりでふたり、ふたりで4人を介護する時代

超高齢社会に向けての親子の悩みは、少子化が進むほどにより深刻になっています。例えばひとりっ子の方は、ひとりで両親ふたりの介護を担う可能性があります。ひとりっ子同士の夫婦は、ふたりで両家の両親4人の介護を担う可能性があります。セミナーの参加者からも、「ひとりっ子なので親の介護に備えたい」「兄弟姉妹が近くにいないため、自分が親の面倒を見ることになりそう」といった声をよく聞きます。

ちなみに親子向けセミナーに参加される方々は、子が娘さんの場合は、娘さんのほうから「一緒に行ってみない?」と親御さんを誘って参加されるケースが多い傾向にあります。息子さんの場合は、親御さんの方から誘って参加されるケースが多い傾向にあります。総体的には「親×息子」よりも「親×娘」の組み合わせが多い印象です。

現実として、老人ホームや介護施設への入居率が高いのは、「子どもは男ばかり」という方々です。息子さんが「仕事の都合で十分な介護ができない」「自分の肉親の世話を妻にも負担させるのは気が引ける」といった理由で、親御さんの入居を希望されるケースがほとんどです。一方で親御さん本人が「お嫁さんの手を借りるのは遠慮がある」「折り合いの悪い嫁に面倒を見てほしくない」などの事情から、入居を希望されるケースもあります。そうした現実とどう向き合い、適切な判断ができるか、ということにおいても、本書が一助になればと考えています。

画像はイメージ

親の強がりは子どもの迷惑。親が覚悟を決めれば子どもも覚悟する

私が携わってきた高齢者施設や在宅介護サービスでは、認知症のケアや看取りまで可能な介護・医療体制を整えています。この30年余りの間に、介護期間を経て亡くなった方々のご葬儀に何度となく立ち合ってきました。そうしたときに、残されたご家族から「親が要介護になる前に、お互いの希望を伝え合っておけばよかった」「親についてわからないことだらけで、認知症が進行する前にちゃんと聞いておけばよかった」など、後悔の念を聞くことが少なくありません。

厚生労働省の「2022年国民生活基礎調査」によると、介護が必要になる原因で多いのは、認知症、脳血管疾患、骨折・転倒、関節疾患などです。病気やけがはいつなんどき起こるかわからず、介護生活はある日突然に始まります。しかも、日々アクティブに活動し、「自分はまだ元気。周りは余計な心配をしなくていい」と矍鑠としていた方ほど、介護が必要になったときの落ち込みようは激しく深刻です。十分な備えがなく介護生活に突入するため、ご本人もご家族もストレスを抱えることになりがちです。

そこで非常に重要なのが、「自分が突然倒れるかもしれない」という将来を見据えた親自身の覚悟です。親がいつまでも覚悟を決めず、子どもから介護の備えについて聞かれても、「自分に何かあったらそのときはそのときだ」と強がったり、「縁起でもない」とはぐらかしたりして課題を先送りにしていると、何の準備もさせてもらえなかった子世代が慌てる事態になります。そればかりでなく、親本人にとっても不本意な老後生活や介護生活を送ることになりかねません。

どんな老後生活を送りたいのか、自分にもしものことがあったときに子どもたちにどうしてほしいのか、どんな介護生活を送りたいのか──。親本人が覚悟を決めなければ、家族も覚悟ができません。言い換えれば、親本人が覚悟を決めて選択することで、家族もまた覚悟ができて将来に向けた具体的な準備ができます。親世代の早めの覚悟が、自身が納得のいく満ち足りた人生と、子世代の安心や幸せにつながるのです。

☆ ☆ ☆

『介護・老後で困る前に読む本』
著者/吉田肇
NHK出版 1,760円(税込)

<著者> 吉田肇(よしだ・はじめ)
株式会社マザアス(ミサワホームグループ)特別顧問。一般社団法人高齢者住宅協会理事、一般社団法人全国定期巡回・随時対応訪問介護看護協議会理事、訪問診療ネットワーク医療法人なごみ会理事、社会福祉法人さくら会西五反田事業部長、一般社団法人全国介護事業者連盟千葉県支部幹事、有料老人ホーム・介護情報館取締役、一般社団法人住宅生産団体連合会成熟社会居住委員会WG座長。介護支援専門員(ケアマネジャー)、宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)、一般社団法人高齢者住まいアドバイザー協会(高齢者住まいアドバイザー)、一般社団法人終活カウンセラー協会“ エンディングノートの書き方セミナー講師養成講座”の資格を持ち、介護保険制度前の平成3 年より介護事業に携わる。30 年間に亘る在宅介護から介護施設、ホスピス住宅等の運営現場経験を基に、最近では介護を必要とされる前のシニア層に向けた「高齢期の早めの住まい方・暮らし方選択」についての “ 早めの備え” に関する講演活動が人気。

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