
2025年夏以降に生産を開始し、クライメート・ニュートラル電力で生産される新型EVのES90は、ボルボ・カーズがサステナビリティを念頭に設計した1台として市場に送り出される。この事実は、ES90の新たな「ライフサイクルアセスメント(LCA)レポート」に反映されており、このレポートでは、どの素材や工程が車両のライフサイクル全体を通じたカーボンフットプリントの削減に貢献しているかが示されている。
ES90のカーボンフットプリントの総量は、欧州のエネルギーミックスを使用して充電した場合、31トンとなる。ES90の充電に風力エネルギーを使用した場合、この数値は26トンに減少。欧州のエネルギーミックスを使用した場合、ES90のカーボンフットプリントは、同クラスのS90のマイルドハイブリッド車より約50%低くなり、プラグインハイブリッド車よりも30%低くなる。また、より小型のEVであるEX40やEC40よりも低い数値となっている。
これは、ES90がこれまでのボルボ車の中で最も低いカーボンフットプリントを実現したモデルのひとつであることを意味している。また、EVがユーザーと気候の両方にとって良い選択であることを示している。
実は第三者機関によって検証されたLCAレポートでは、この車のカーボンフットプリント削減に大きく貢献している素材と工程が特定されている。温室効果ガス排出量に焦点を当てたこのレポートは、原材料の採掘と精製から、車両の廃棄まで、車のライフサイクル全体をカバーしている。
ボルボ・カーズのグローバル・サステナビリティ責任者であるヴァネッサ・ブタニ氏は、次のように述べている。
「私たちは既存の法規制をはるかに上回る取り組みをおこない、明確な目標を設定しています。なぜなら、それは私たちにとって重要なことだからです。私たちは2040年までに温室効果ガス排出量ネットゼロを達成することを目標にしており、電動化におけるリーダーを目指すことは、その目標にむけた更なる1歩です。ES90は、循環型経済、クライメート・ニュートラルな製造、責任あるビジネスを含む、サステナビリティに対する包括的なアプローチを体現しています」
求められる基準を超えた包括的なアプローチ
ボルボ・カーズは、2019年に最初のEVを発売した際、グローバルで発売するすべてのEVモデルのLCAレポートを公開することを約束した初の自動車メーカーとなった。レポートを公開することで、ユーザーが次のEVを選ぶ際に、十分な情報に基づいて判断できるようにすることを目的としている。これまでに、EX40、EC40、EX30、EX90、そして今回のES90の5モデルについてLCAレポートを公開している。
ES90は、テールパイプからの排出ガスゼロのEVであることに加え、サステナビリティに対する包括的なアプローチに基づいて設計されている。例えば、ボルボ初の800ボルト電気システムを搭載。コンポーネントの軽量化により車の総重量が軽減され、充電とエネルギー効率の面でメリットがもたらされる。車のデザインも効率に貢献しており、空気抵抗係数(Cd値)0.25を実現しており、これは、ボルボ・カーズ史上最も優れた値となる。
さらにES90は、リサイクルアルミニウム29%、リサイクルスチール18%に加え、リサイクルポリマー16%や、キャビン内のFSC認証の天然木などバイオベース素材が使用されている。内装では、ペットボトルなどのリサイクル素材やバイオ由来素材から作られたノルディコ仕様のシートオプションを選ぶことができる。また、ES90にはボルボ・カーズが世界で初めて導入したバッテリーパスポートも搭載されている。これはブロックチェーン技術に基づくもので、原材料の原産地やバッテリー全体の健康状態を追跡することができるようになっている。
最初のES90は、今年の夏に生産ラインから出荷される予定となっている。現在、オーストリア、ベルギー、チェコ、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国で注文可能。そのほかの市場については、今年後半および2026年に順次展開される予定となっている。なお、日本での導入時期は、2026年以降の見込み。
関連情報:https://www.volvocars.com/jp/
構成/土屋嘉久