
今年の夏も猛暑が予想されている。厳しい暑さを乗り切るためにSNSで密かに話題を集めているのがサントリーの「サントリー天然水 冷凍PET」だ。発売は今年の4月。35年間も続く「サントリー天然水」ブランドから初めて発売された”冷凍された水”である。「サントリー天然水」は2024年は過去最高売り上げとなり、年間販売数量は1億4千万ケースを突破。国内清涼飲料水市場で7年連続売り上げ1位のブランドだ。「サントリー天然水」が冷凍した天然水を商品化したのには理由がある。実は、「サントリー天然水」は冷凍NGなのだという。
「サントリー天然水」の冷凍は非推奨
「サントリー天然水」を販売するサントリー食品インターナショナルのブランドマーケティング部の担当者・中塚さんは「近年、『サントリー天然水を凍らせてもいいですか?』との問い合わせが増えています」と言う。
背景には、毎年のように「⚫︎年に一度の猛暑」などの言葉が飛び交うほどの夏の暑さ。より長時間、冷却効果を感じたいとの理由から、ペットボトルの水を凍らせたいとの需要の高まりがある。しかし、サントリー食品インターナショナルとしては「『サントリー天然水』を凍らせることは推奨していない」とのこと。なぜだろうか?
「『サントリー天然水』のペットボトル容器は、環境配慮のために軽量のペットボトルになっています。他のドリンクのペットボトルに比べて、『サントリー天然水』のペットボトルが柔らかく感じるのはそのためです。柔らかく、軽い反面、圧力には弱い。水は凍らせると体積が膨張しますので、形状変化や破裂の恐れがあります」
同社は、冷凍してもいいドリンクには「冷凍OK」の記載をしている。
「天然水シリーズでは『サントリー天然水 うめソルティ』や『サントリー天然水 ヨーグリーナ 贅沢仕上げ』、スポーツ飲料では『GREEN DA・KA・RA』が冷凍OKとなっています。暑い日にはぜひ凍らせて楽しんでください」(同上)
「サントリー天然水」よりも少し量も少なく、少し高い『サントリー天然水 冷凍PET』
『サントリー天然水 冷凍PET』は、約1年をかけ専用のペットボトルを開発し、発売された。
「中身は『サントリー天然水』とまったく同じです。凍らせているかどうかの違いになります」(同上)
ちなみに、『サントリー天然水』は550mlで希望小売価格170円(税別)なのに対し、『サントリー天然水 冷凍PET』は500mlで希望小売価格180円(税別)となっている。実際には多くのコンビニでは、『サントリー天然水』は120〜130程度だが、冷凍PETは130〜140円程度で購入できる。いずれにせよ、『サントリー天然水 冷凍PET』の方が量が少なく価格が高い。つまり、この10〜十数円は”凍らせている”ことへの付加価値というワケだ。
ちなみに、筆者が飲んだ感想としては「キンキンに冷えた水」以上の感想はなかった。SNSを見ると「ありそうでなかった」「ずっと待っていた」との声が多いようだ。
『サントリー天然水 冷凍PET』は炎天下でも冷たさは持続するし、漏れ出す冷気は保冷剤としても優秀だ。暑さを少しでも凌げるなら、このたかが10〜十数円の違いは安いと感じる人も多いだろう。
これからも茹だるよう暑さが続く。この夏を乗り切るための救世主になることに期待したい。


取材・文/峯亮佑