
デジタル庁のマイナンバーカード専門チームは、新マイナンバーカードの発行に向けて複数回の議論を行い、いくつかの改善事項を取りまとめた。本記事では、次期マイナンバーカードの変更内容や申請方法を紹介する。
目次
2016年に発行された多くのマイナンバーカードは、2026年に有効期限を迎える。デジタル庁では、新しいマイナンバーカードの発行に向けてタスクフォースと呼ばれる専門チームを発足し、新マイナンバーカード改善のための議論を重ねてきた。
本記事では、2025年10月時点で検討されている、新マイナカードの6つの改善事項を紹介する。また、申請方法や導入のタイミングにも触れているので、気になる方は参考にしてほしい。
新マイナカードとは
現マイナンバーカードの有効期限は10年間となっており、2026年に新マイナンバーカードへの切り替えが必要となるユーザーも多い。まずは新マイナンバーカードの概要を簡単に紹介しよう。
■新マイナカードの概要
デジタル庁は、デジタル社会の実現に向けた計画の中に「安全・安心で便利な国民の生活や事業者の活動に向けた重点的な取組」の施策を盛り込んでいる。その取り組みの一つとして挙げられるのが、新マイナンバーカードの機能拡充だ。
新マイナンバーカードではカード券面に記載する事項の変更や、カード発行体制の改善など、さまざまな改善事項が検討されている。
そのような大規模な改善を見据え、カードの発行から10年となる2026年に次期マイナンバーカードを導入するのは、合理的な判断といえるだろう。
■2016年発行のカードは2026年に有効期限を迎える
2016年に現マイナンバーカードを発行したユーザーは、2026年に更新を迎える。
2024年12月には従来の健康保険証の新規発行が停止となり、マイナ保険証への切り替えが進むなど、マイナンバーカード普及の動きは積極的だ。今後、新マイナンバーカードがなければ、不便に感じる場面が出てくる可能性もある。
新マイナカードで検討されている主な改善事項6つ
デジタル庁が公開している「次期個人番号タスクフォース」の最終とりまとめ案をもとに、新マイナンバーカードで検討されている主な改善事項を6つ紹介する。
■カード券面への記載事項
まず、カード券面に記載される項目から「性別」欄が排除となる。性別はICチップ内に記録され、国が開発予定のアプリで読み取れるようにする予定だ。
氏名、生年月日、住所、顔写真、マイナンバーは現行通り券面に記載される。また、氏名のフリガナ表記や希望者に対するローマ字表記なども検討されており、本人確認時の時間短縮につながることが期待される。
■電子証明書の有効期間
オンライン上での本人確認や、データ改ざんの防止に使われる電子証明書。現在の有効期間は5年間だが、10年間へ延長される方針だ。また、有効期間の延長に伴い、データの暗号方式をより強固なものへ移行する。
ただし、18歳未満の次期マイナンバーカードについては、これまで通りの有効期間となる予定だ。
■暗証番号の入力方法
現在、マイナンバーカードで設定が必要な暗証番号は4種類存在する。
・署名用電子証明書用
・利用者証明用電子証明書用
・住民基本台帳用
・券面事項入力補助用
重要なデータを安全に管理するためとはいえ、異なる4つの暗証番号を管理するのは負担が大きい。そこで、次期マイナンバーカードでは、電子証明書や券面事項入力のためのアプリケーションを4つから2つに再編成することが検討されている。
これにより、必要な暗証番号も4つから2つへ減り、ユーザーの負担軽減が期待できる。
■カードの発行体制
新マイナンバーカードでは、有効期限の1年前から更新が可能となる方針だ。
現行のマイナンバーカードでは有効期限の3ヶ月前から更新可能となっているが、忙しいユーザーにとっては、猶予期間がやや短いと感じることもあるだろう。1年前からカードの更新が可能となれば、自分のペースでスムーズに更新ができる。
また、新マイナンバーカードの有効期限は、更新忘れを防ぐため、カード発行から10回目の誕生日の1ヶ月後に設定される予定となっている。
■その他の検討事項について
その他にも、以下のような検討事項が議論されている。
・新マイナンバーカード切り替えに伴う端末利用機関への配慮
・ICチップ読み取り時の顔写真のカラー化
・暗証番号がロックされた際に利用できるPIN UNLOCK KEYの採用
・個人番号カードの呼称変更
など
マイナンバーカードは、一般的な身分証明書として広く普及することが予想される。利便性と安全性を両立した運用が進むことで、マイナンバーカードの信頼性はさらに高まっていくだろう。
■カードデザインの刷新
新マイナンバーカードでは、よりシンプルにわかりやすく、日常生活に溶け込むような魅力的な外観を目指し、カードデザインの刷新が検討されている。
具体的には、色、柄、レイアウト等にこだわり、情報が読みやすいだけでなく、「持ちたくなる」デザインを目指す。デザインイメージは、デジタル庁が公開する資料「次期個人番号カードのデザイン(イメージ)」にて確認できるため、気になる人はチェックしておこう。
新マイナカードのよくある質問

ここでは、新マイナンバーカードに関わるよくある質問と回答をいくつか用意した。
・新マイナカードの申請方法は?
・新マイナカードはいつから導入が始まる?
・新マイナカードを作らなかったらどうなる?
気になる項目があれば参考にしてほしい。
■新マイナカードの申請方法は?
有効期限通知書に「申請書ID」が記載されている場合は、申請書ID右側のQRコードを利用することで、スマホによるオンライン申請や証明写真機での更新申請が可能だ。カードの読み取り可能なスマホがない場合は、証明写真機や市区町村の窓口を利用しよう。
申請書IDの記載がないときは、有効期限通知書とマイナンバーカード、または本人確認書類を持って市区町村の窓口にカード更新の旨を伝える。
なお、マイナンバーカード更新時は、あわせて電子証明書の更新も必要となる。住民登録のある市区町村窓口で手続きを行おう。
■新マイナカードはいつから導入が始まる?
次期個人番号カードタスクフォースの最終とりまとめ資料によると、2026年を一つの視野に入れているとのことだが変更の可能性もある。
(デジタル庁:次期個人番号カードタスクフォース 最終とりまとめ(案)概要)
■新マイナカードを作らなかったらどうなる?
現時点でマイナンバーカードの発行は義務ではないため、カードを作らなくても深刻な影響を受けることはない。例えば保険証はすでに新規発行が終了しているが、資格確認書があればこれまで通り医療機関の受診は可能だ。
しかし、デジタル化が進む昨今においては、マイナンバーカードを持っていることで手間と時間が省ける手続きも増えている。行政手続きのほか、サービス申し込み時の本人確認においても、マイナンバーカードを持っていればスマホでスピーディーに完了するケースが多い。
日常の中で、マイナンバーカードを持っていないことに不便を感じる場合は、新マイナンバーカードの導入を機に、発行を検討してみるのも良いだろう。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部