
2025年末で従来の健康保険証は原則廃止され、マイナ保険証へ移行します。紙やプラスチックの保険証は2025年12月1日(後期高齢者・国民健康保険は2025年7月31日以降順次)で期限切れに。有効期限の確認と更新を怠ると、高額な医療費を全額自己負担するリスクがあるため、自身の保険証の種類に応じた期限確認と更新手続きが重要です。
目次
「えっ、健康保険証って有効期限があったの?」そう思ったあなた。もしかしたら、引き出しの奥に眠っているその保険証、すでに期限が切れているかもしれません。
2025年末というタイムリミットが迫る中、マイナンバーカードと一体化する「マイナ保険証」への移行も進み、保険証の扱いが大きく変わろうとしています。
もし有効期限が切れていたらどうなるのか? 高額な医療費を全額負担することになるのか? そんな不安を解消し、スムーズに医療を受けられるように、健康保険証の有効期限の確認方法から、もしもの時の対処法まで、今知っておくべき情報をギュッと凝縮しました。
健康保険証の有効期限:知っておきたいこと
2025年末に向けて、従来の健康保険証の扱いは大きく変化します。
はじめに健康保険証の有効期限に関する基本知識をしっかりと押さえておきましょう。
■健康保険証の種類
普段、何気なく使っている健康保険証には、大きく分けて二つの種類があります。
1つは、これまで多くの人が使ってきた「従来の紙やプラスチック製の健康保険証」です。

従来の健康保険証には、会社員の方が加入する「被用者保険(例:協会けんぽ)」と、自営業の方などが加入する「国民健康保険」といった保険証があります。
そして、普及が進んでいるのが、「マイナンバーカードを健康保険証として利用登録したもの」、通称「マイナ保険証」です。
従来の健康保険証は、2024年12月2日以降、新規発行されなくなりました。
■有効期限の確認方法:どこに記載されている?
従来の健康保険証は、券面のどこかに有効期限が書かれていることが多いです。
また、後期高齢者医療制度や国民健康保険の加入者(被保険者)が持つ、従来の健康保険証は、2025年7月31日以降順次、有効期限を迎えます。
そして、上記以外の場合も、従来の健康保険証は、2025年12月1日まで。以降は有効期限切れとなります。
マイナ保険証の場合、マイナンバーカードそのものの有効期限(18歳以上の場合は、発行日から10回目の誕生日まで、18歳未満は5回目)とは別に、「電子証明書」の有効期限が存在します。
この電子証明書の有効期限は、年齢を問わず発行日から5回目の誕生日までと定められています。
有効期限切れで困らないために
期限切れの保険証は、通常の保険診療を受けられないのが原則です。ただし、国もこの問題に対し、混乱を避けるための暫定的な措置を講じています。
ここでは、有効期限切れの保険証が引き起こす具体的なトラブルと、それを回避するために知っておきたい医療機関での対応、そして万が一の際に必要となる「資格確認書」について解説します。
■有効期限切れの保険証が引き起こすトラブル
健康保険証の有効期限が切れてしまうと、どのような問題が起こるのでしょうか?
最も心配されるのは、医療機関を受診した際に高額な医療費を全額(10割)自己負担しなければならないかという点でしょう。
また、マイナ保険証の場合、電子証明書が有効期限切れを迎えた場合も注意が必要です。「マイナ保険証としての利用」「マイナポータルへのログイン」「コンビニでの住民票等交付サービスの利用」といった一部の機能が利用できなくなるからです。
■医療機関や薬局での対応について
本来、医療機関は患者の受給資格をその都度確認することが基本であり、マイナ保険証での電子資格確認、または資格確認書や有効期限内の健康保険証の提出が必要となります。
ただし、2025年8月1日以降、多くの自治体で国民健康保険の健康保険証が順次失効していくため、厚生労働省は2026年3月末までの「暫定措置」を講じています。
患者が有効期限切れの健康保険証や「資格情報のお知らせ」のみを持参した場合でも、医療機関は被保険者番号などを使ってオンライン資格確認システムに資格情報を照会し、患者の保険給付を受ける資格があることを確認します。
その上で、患者には3割などの一定の負担割合を求めて、レセプト請求(医療費の請求)を行うことが認められています。
ただし、これはあくまで「暫定的な対応」です。医療機関からは次回以降、マイナ保険証や資格確認書を持参するよう協力が求められます
■受診時に必要な確認書:取得方法
マイナ保険証を持っていない人や、マイナ保険証が利用できない状況の場合でも保険診療を受けられるよう、いくつかの確認書類が用意されています。
まず、「資格確認書」です。これは従来の健康保険証と同じプラスチックカード型(色は黄色)で、マイナンバーカードを持っていない人や、マイナ保険証の利用登録をしていない方のために、保険者から無償で交付されます
新規加入者の場合、資格取得届などによる申請に基づいて交付されます。また、既存加入者には、2025年12月2日以降、従来の健康保険証の使用期限が切れる前に、マイナ保険証を持っていない方などに申請によらず発行される予定となっています。
次に、「資格情報のお知らせ」です。これは紙製カード型で、被保険者資格等の基本情報が記載されています。
この「資格情報のお知らせ」は、単体では保険証として機能しませんが、医療機関にカードリーダーがない、または故障中などでマイナ保険証が使えない場合に、マイナ保険証と合わせて提示して、本人確認の上で資格情報を伝え、保険診療を受けることが可能になります。
有効期限切れ時の対処法
健康保険証の管理は私たちの健康と財産を守る上で、ますますその重要性を増しています。
マイナ保険証の普及が進む中で、その便利な機能や、万が一の際の救済措置を理解しておくことは、いざという時の安心感に直結するはずです
■有効期限の確認手順
従来の紙やプラスチック製の健康保険証は、カードの表面に記載された有効期限をチェックしましょう。記載されていない場合は、2025年7月までか、12月1日までかを確認しましょう。
次に、マイナンバーカードを健康保険証として利用している、またはこれから利用する予定のある人は、電子証明書の有効期限の確認が不可欠です。
電子証明書の有効期限はマイナンバーカードの券面には記載されていません。マイナポータルにログインして確認するのが最も確実な方法です。
1.マイナポータルにログイン後、「登録状況の確認」から「健康保険証」の設定を確認

2.「登録済」となっていれば利用可能です。

さらに、電子証明書の有効期限が近づくと、有効期限の2~3か月前を目途に「有効期限通知書」が自宅へ郵送されるほか、マイナポータルにログインした際に「マイナンバーカードの電子証明書を更新してください」というアラートが表示されるので、これらの通知を見逃さないように、定期的に確認しましょう。
■再発行・更新の手続きガイド
もし健康保険証が有効期限切れになってしまったら、あるいは電子証明書の有効期限が迫っている場合は、速やかな手続きが必要です。
従来の健康保険証の更新や再発行は、自身が加入している健康保険組合や市町村の窓口に問い合わせるのが確実です。
また、会社員であれば、まずは勤務先の担当部署に相談しましょう。
マイナンバーカードに搭載されている電子証明書の更新・再発行については、注意が必要です。というのも、オンラインでは手続きできないからです。住んでいる市区町村窓口で手続きを行う必要があります。
有効期限の2~3か月前に通知が送られてきますが、通知が来ていなくても有効期限の3か月前から更新手続きが可能ですので、余裕を持って早めに手続きを行いましょう。
もし有効期限が切れてしまっても、市区町村窓口で手続きできるので再発行が可能です。
マイナンバーカードそのものの有効期限は電子証明書より長いですが、更新には「交付時に来庁が必要」とされています。事前に申請をして交付時に来庁すれば、その場で新しいマイナンバーカードと交換できます