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無印良品も採用!コットンの8分の1の軽さを誇る注目素材「カポック」が起こすアパレル革命

2025.08.03

近年は自然由来の衣類生地として、バナナやパイナップルなど新たな素材への注目が集まっている。これは環境への負荷を減らすことや、廃棄物の再利用など環境に配慮した理由もあるが、機能面でもメリットが大きい。

2025年に注目したい素材が、「カポック」だ。日本では観葉植物として広く流通しているが、いまその実をほぐし、繊維にして衣類などへの活用が広まっている。

無印良品も導入アイテム数を拡大中!環境負荷の低さと着心地の軽さは大きなメリット

今年の春夏ものに多くカポックを素材に使用している無印良品によると、綿や麻に比べて実を採取し、そのなかのワタを使うので木や枝を伐採する必要がないこと。さらに1本の木は70年ぐらいのサイクルで残り、必要な水も少なく、CO2も多く吸収するため環境負荷も低いことから使用製品を増やしている。

「カポックは天然素材の中で一番軽いと言われていて、コットンのおよそ8分の1の軽さです。この秋冬シーズンでは、布帛のデニムのジャケットやパンツといったコットン100%だと重いものに対してカポックを使用し、より軽くて柔らかい風合いを出していこうとしています。

新しい素材感としては、ちょっと肉厚なモールスキンの素材感でワークテイストなデザインなどラインナップを増やしていこうと思っています」(良品計画 衣料・雑貨部 アパレル紳士担当部長 立石学氏)

無印良品の2025年秋冬ものでは、紳士6品目、婦人4品目、キッズ3品目、雑貨2品目の計15品目で使用。ジャケットではカバーオールやデニムブルゾンで使用しているが、オーガニックコットンと混紡し、綿100%のものよりも軽くやわらかに仕上がっている。

「紳士 木の実から作ったカポック混モールスキンカバーオール」ダークブラウン(写真左)と「紳士 木の実から作ったカポック混デニム ブルゾン」ブルー(写真右)で、価格は各7990円。店頭には8月下旬に並ぶ予定だ
見た目での差はほとんどないが、実際に手にしてみると見た目の印象で想像したよりもかなり軽く、肌触りもやわらかい

カポックはまだ衣類の素材としての活用が広まる途上の“未利用資源”だが、良品計画としては「無印良品らしい素材」だと考え、今後も布帛だけでなく、様々な商品での活用を考えている。

カポックの特性に合わせた技術とデザインでダウンの中綿に!favi mercatoの挑戦 

カポックは魅力的な素材だが、一方で軽量ゆえに空気中に舞い上がりやすく、また玉状にかたまりとなってしまうため、従来の機械では均一な吹き込みが困難という特性がある。綿などと混紡した糸やワタを作ったり、シート状に加工するなどして扱いやすくする方法があるが、ファッションブランド「favi mercato」は新たなアプローチに挑戦。創業150年以上の歴史を持つ大阪の繊維専門商社と協業し、新たな吹き込み技術を活用した新しい生産体制を構築。カポックの特性を生かしながら、安定した品質でダウンの中綿として充填して使用している。

favi mercatoの2025年秋冬シーズンのスタイル。「カポックダウン ダブルジャケット」9万7900円(写真左)、「カポックダウン カーディガンジャケット」(写真右)7万7000円

favi mercatoのデザイナー・満汐国明氏によると、カポックとの出会いは前職のブランドに勤務していた5年前。そこから自身のブランド「favi mercato」を設立し、旬の素材を使い、シーズンに合った機能性や新しさ、発見がある素材を使ったデザインの服作りを行っている。

木の実になるダウンと呼ばれているカポックにはダウンのような吸湿発熱性があること。さらに、最近の検査では防虫性があることも判明。植物由来でありながら機能的でケアもしやすい魅力的な素材であるカポックを使い、新しい植物由来のダウンジャケットづくりに挑戦した。今回は充填の技術に加え、デザインでも素材特性をふまえた工夫を行っている。

「とても繊維が短く、保存や吹き込み時に均等に吹き込むのが難しく、また天然由来ゆえに殻の破片やたねなどを除去することも難しいです。綿と比べると、繊維が短いので、糸にするのが難しい繊維です。そのため弊社では不織布にして中綿にしたり、ダウンパックに吹き込む加工をしています。。デザイン上では通常の中綿と同じですが、重たくて肩が凝るアウターになってはいけないのでデザインで重くならない配慮を心がけています」(favi mercatoのデザイナー・満汐氏)

顧客からの反応も上々で、衣類が重くなりがちな冬でも軽やかに過ごせると好評だという。また、従来のダウンでは汗をかくと蒸れて不快だったが、カポックは吸湿性が良くて一日中快適に過ごせるという。

今回確立した生産体制はまずは自社ブランドのノウハウを生かしたODM/OEM生産へと展開。

さらに日本発の環境配慮型アパレルの新基準を確立し、グローバル市場への展開を目指していく。

冬物衣類の素材といえば、ヒートテックなど最新の化学技術を駆使した研究の結果生まれた素材での衣類が人気となっている。真逆の天然素材であるカポックを活用した衣類に対し、店頭でどのように反応があるのか、注目したい。

文/北本祐子

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