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「ゾス」の秘密を国語学者が解説!〝ビジパ〟が自然と連呼したくなる理由

2025.07.29

「ゾス」——この奇妙なあいさつが、なぜビジネス界の猛者たちに受け入れられているのか。

朝も昼も夜も、挨拶も謝罪も承諾も、すべてが一言で済んでしまう不思議なことばは、体育会系のカルチャーで知られる光通信社の社内用語としてうまれた。

一見するとノリで作られた省略語、造語に見えるが、実は企業の枠を超えて定着し、令和の現在に見直される必然性があった。

国語学者の小野正弘先生に、独特の切り口で解説してもらった。

●小野正弘
国語学者。明治大学文学部教授。専門は国語史。日本語の歴史、語彙、意味の変化を研究する。「三省堂現代新国語辞典 第七版」の編集主幹。著書に『オノマトペがあるから日本語は楽しい』(平凡社)、『日本語 オノマトペ辞典』(小学館)、『ケーススタディ 日本語の歴史』(おうふう) 、『感じる言葉オノマトペ』(角川学芸出版)、『くらべてわかるオノマトペ』(東洋館出版)など。

「ゾス」ってなに?

筆者:グローバルパートナーズの代表で、「ゾス」を一般に広めた立役者でもある山本康二氏は、その変遷を語ります。創業期から光通信に在籍し、「ゾス」の変遷をよく知るという山本氏は、「はじめは『お疲れ様です』だった」と語っています。ただ、スピードの速い業界で、あいさつを選ぶ時間も、ことばを発する時間も惜しかったそうです。「お疲れっす」「チェッス」と短縮されて、あらゆるあいさつを「ゾス」に集約するようになったと言います。

山本氏によれば、社内で交わすことばの9割は「ゾス」。「ゾス」にも色々あって、熟練すると、それだけで意思疎通ができるようになるそうです。

また、UUUMの創業者で、光通信で役員を務めた鎌田和樹氏は、「諸説ある」としながらも、「ゾス」は「オス」の上位互換だと言っています。はじめは恥ずかしかったそうですが、そのうち当たり前になり、何でも「ゾス」の社内文化に染まっていったと言います。そんな体験を「一緒に過ごした一体感は生まれるんだな」と振り返り、連帯の象徴として「ゾス」を語っています。

あいさつに意味はいらない?

小野先生:典型的な「非敵」アピールですね。あいさつに実質的な意味はないと思われるかもしれませんが、最大の意味は「敵でない」ことを、相手に伝えることです。

「ゾス」のように限定性も大事です。「お疲れ様です」は全国どこでも使いますが、「オス」は会社では珍しいし、「ゾス」になると、もう完全にオリジナルになるわけです。インパクトのあることばで、連帯が深まるということは大いにあります。

筆者:高校の部活を思い出しました。私はサッカー部だったのですが、どのチームにも独特の掛け声のようなものがありますよね。私の学校では「ショウ!」でした。

小野先生:仲間同士だけで通じる「合言葉」のようなものです。集団の中で特別なことばを共有することで、一種の高揚感も得ることができるでしょう。

そうなると、ことばの意味は関係なくなります。山本氏の言うように、「お疲れ様です」だけでなく、「すみません」も「わかりました」も、朝でも昼でも、何でも「ゾス」で済んでしまいます。

筆者:仲間であることをアピールし、さらに意識を高めるための暗号のようなもの――。ことばには、そんな役割もあるのですね…。

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