
2023年秋のジャパンモビティショーでコンセプトカーが初公開され、2025年1月の東京オートサロン2025の「Honda SPORTS プレスカンファレンス」にて、2025年秋に発売予定であることが発表されたのが6代目となる新型ホンダ・プレリュード。
昭和の若い男女、女子大生を熱狂させた1台
音楽用語の「前奏曲」を意味するプレリュードの初代が発売されたのは1978年。2代目、3代目は2ドアクーペスタイルのスペシャルティカーとしてだけでなく、元祖デートカーとしても一世風靡。昭和の若い男女、女子大生を熱狂させた1台だった。そして2025年。ひとまずプレリュードの歴史に幕を閉じた5代目の終売が2001年だから、約24年ぶりのプレリュードの復活ということになる。
そんな令和の新型プレリュードはすでにそのスタイリングなどが公開されているが、現時点で詳細なスペックは公表されていない。開発陣に直接伺っても、それは「正式発売までのお楽しみ」ということになる。
しかしながら、今回、ツインリンクもてぎの青空の下、新型プレリュード(プロトタイプ)に触れることができた。現行シビック(type-R)をベースにしていることが予想され、パワーユニットは2Lエンジン+2モーターの新世代のハイブリッドシステム、e:HEVの採用が決まっているため、市販車をある程度は予想することができた。
流麗な2ドアクーペスタイルはすでに2023年のジャパンモビティショー、2025年1月の東京オートサロン202でのコンセプトカーでお披露目されているから、そのカッコ良さについてはここでは触れないが、ボディサイズに関しては、シビックtype-Rに基づけば(全幅1890mm)、全長4300~4500mm、全幅1860mm、全高1300mmと予想する。全幅に関してはもっとも幅広い部分が大きくフレアしたリヤフェンダーであり、シビックtype-Rのタイヤサイズが265/30ZR19で、新型プレリュードが235/40R19サイズを採用していることから-30mmと予想。全高は初代プレリュードがこだわってきた低全高パッケージ、全高1300mm以下だったことから、1300mmを守り抜くと考えた。
そして、確定しているのが、2024年12月にホンダが正式にリリースした、e:HEV用の次世代技術「Honda S+Shif」の搭載だ。実際、プレスリリースには「Honda S+ Shift」は、2025年に発売予定の「PRELUDE(プレリュード)」を皮切りに、次世代e:HEV搭載の全機種に順次搭載していく予定」とある。
新開発された「Honda S+ Shift」はe:HEVの特性を生かしつつ、さらにドライバーとクルマの一体感を際立たせる、操る喜びを追求した新機能であり、すでにあるホンダのリニアシフトコントロール進化版と言っていい技術。その特徴をホンダの説明から紹介すると・・・。
(1) 聴覚と視覚に訴えかける新システム
2つの大出力モーターとアクティブサウンドコントロールシステムを連動させることで、エンジン回転数に応じた迫力あるサウンドでドライバーの高揚感を掻き立てるとともに、鋭いシフトフィーリングを実現。メーターもアクティブサウンドコントロールと連動し、クルマとの一体感を増幅する。
(2) リニアなレスポンス性
現行e:HEVモデルに適用するリニアシフトコントロールを進化させ、Honda S+ Shiftでは全車速域において運転状況や走行環境に応じた変速(アップシフト、ダウンシフト)を実施。またシフトホールドが作動する状態では運転状態に合わせた最適なエンジン回転数を維持し、再加速時におけるエンジン発電電力を最大限駆動力へ活用。これにより、アクセルを踏んだ際のモーター初期応答時間を大幅に短縮させ、ドライバー操作と直結した、リニアなレスポンス性を発揮。
(3) エンジンとモーター制御による有段変速フィーリング
メカニカルな変速機構を持たないe:HEVにおいても、Honda S+ Shift作動時にはパドル操作による変速も行い、まるで有段ギアを変速したようなドライブフィールを実現。エンジンと大出力モーターの協調がもたらすリニアな変速レスポンスによって、ドライバーの操作にダイレクトに呼応する操る喜びの提供を目指している。
Honda S+ Shiftの名称には、S600やS2000、TYPE Sなど、Hondaの操る喜びの根源となるスポーツスピリットを表すモデル・技術に冠する「S」に加え、「Synchronize」「Special」「Sensational」など、本機能がもたらす新たな価値を「+(プラス)」し、ヒトとクルマを新たな世界に「Shift(シフト)」させていくという思いが込められている・・・という。
令和のプレリュード、何が変わった?
今回、実際に新型プレリュードのプロトタイプに乗車(停車状態)することができたのだが、昭和のデートカー経験者から令和のスポーツクーペファン、ホンダファンを熱狂させるコクピット感ある前席、インパネのデザイン、長いバックドアを持つ、後席格納でゴルフバッグも楽々収納できるラゲッジルームの使い勝手、ちょっぴりポルシェっぽい横一線のリヤコンビランプとHONDAとpreludeのロゴエンブレム周りのデザイン以外にも、開発責任者の方に教えられ、気づかせてもらったことがある。
一つ目は、2+2の後席について。実際、身長172cmの筆者がアクロバティックな乗降姿勢で、ごく低く太いサイドシルをまたいで乗り込んでみると、頭上方向にはまったく余裕なし、というか、頭がつかえてしまう。しかしながら、膝周り方向では、例えばボルシェ911より余裕がある。開発陣によれば、身長145cmまでの人なら乗車できるとのことだった。
二つ目は、やはり乗降性で、こちらは前席について。2ドアクーペゆえにドアの全長が長く、狭い駐車スペースではドアを全開にできないケースもありがちだが、実はそこもちゃんと考えられていた。具体的には、フロントドア下端の真ん中あたり、足が通過する部分がえぐられていて、足さばき、足の通過性が楽になっているのだ。さらに、こうした低全高、低ドライビングポジションのスポーティモデルの前席乗降では、サイドシルに手を添える動作も必要になったりするものだが、前席部分のサイドシルの半分より後ろ、つまり手を置く位置になるカバーのみ、樹脂に滑り止め加工が施されている配慮まであるのだから気が利いている!!実際、手の置きやすさ、滑りにくさを確認することができた。
そんな、正式発表、発売が待ち遠しい令和のホンダのスペシャルティスポーツ、デートカー!?として復活する、2ペダルで乗れる、”グライダーをイメージ”したという6代目新型プレリュードの詳細については、判明次第、その都度、この@DIMEで報告させていただきたい。
文/青山尚暉
写真/ホンダ 青山尚暉