
国内旅行に行くならどこがいいのか? リクルートの観光に関する調査・研究、地域振興機関の『じゃらんリサーチセンター』(JRC)は、全国1万5586人の宿泊旅行者を対象に観光などを目的とした宿泊を伴う国内旅行(出張・帰省・修学旅行などを除く)の実態を調べた「じゃらん観光国内宿泊旅行調査 2025」の結果を発表した。
その調査では、2024年度(2024年4月~2025年3月)の都道府県総合満足度1位は香川県が選ばれた。さらに量より質を求める旅の変化を背景に、テーマ別では9部門のうち6部門で沖縄県が1位を獲得したという。
総合満足度1位は香川県!
1位は91.3%の香川県だった。前年度はトップ10圏外なので、2024年度に大きく躍進したといえる。2位は7ランクアップで沖縄県、3位の長崎県は3ランクアップだった。新たにランクインしたのは、5位の鳥取県、熊本県、8位の山梨県、三重県だった。九州からは4県がランクインしたが、北海道、東北、首都圏、関西では10位以内に入ったところがなかった。
地元ならではのおいしいものがあったのは高知県がトップ
「地元ならではのおいしい食べ物があった」では、高知県が1位だった。回答者の多くは「カツオのたたき」と回答したという。2位の長崎県は「ちゃんぽん」が一番人気で、ほかにも「佐世保バーガー」、「海鮮・魚介類」、「皿うどん」、「カステラ」、「レモンステーキ」など多彩な回答が挙がった。3位の山形県は「米沢牛」がもっとも多いが、「芋煮」、「そば」、「ラーメン」、「玉こんにゃく」などご当地グルメも多かった。7位の香川県は、多くの人が「うどん」と回答した。
1位はお菓子類と特産品が豊富な沖縄県
「魅力のある特産品や土産物があった」では、沖縄県が1位を獲得。「ちんすこう」、「紅芋タルト」、「サーターアンダギー」などの菓子類、「海ぶどう」、「もずく」、「マンゴー」などの特産品だけでなく、食品以外でも「シーサー」や「琉球ガラス」など工芸品も人気だ。2位の長崎県は回答としては「カステラ」が多く、「ちゃんぽん」や「角煮まん」など郷土料理も挙がった。3位の鹿児島県は、「さつまあげ」、「焼酎」、「かるかん」、「知覧茶」、「屋久杉工芸品」などの土産品が人気だったという。
リゾートエリアや温泉地の名所がランクイン
「魅力的な宿泊施設があった」の1位は、離島を含めたラグジュアリーホテルの名前が多く挙がった沖縄県だった。2位の大分県は、別府や由布院など有名温泉宿の名前が挙がった。3位の佐賀県は、唐津のリゾートホテルや嬉野温泉の旅館が人気だった。リゾートエリアや温泉を有するエリアがランクインしているが、10位の山梨県はキャンプ場やグランピング施設で人気を集めた。
地元民にホスピタリティを感じた1位は沖縄
「地元の人のホスピタリティを感じた」の1位だった沖縄県は、宿泊施設やマリンアクティビティのスタッフ、タクシー運転手や居酒屋の店員の対応の良さから親しみやすさを感じたなどのコメントが多かったという。2位の山形県は、温泉地を中心に宿泊施設のホスピタリティの高さ、3位の高知県は市場や居酒屋などの地元の人との会話や触れ合いなどが挙がった。
有名テーマパークが多い千葉県が1位
「子どもが楽しめるスポットや施設・体験があった」では、有名テーマパークを中心にプールや海、キャンプを推す声が多い千葉県が1位だった。2位の沖縄県は、水族館やビーチ、ホテルやテーマパークに加えてマリンスポーツも人気だ。3位の大阪府は、有名テーマパークやショッピングセンター、動物園もあるが、道頓堀やなんばなどの地名も挙がった。8位の香川県と10位の山梨県は、前年度トップ10圏外からランクインした。
上位3位は昨年と同じ結果に
「若者が楽しめるスポットや施設・体験があった」では、1位が千葉県、2位が沖縄県、3位が大阪府という結果になった。上位3府県は、前年度から順位が変わらなかった。1位の千葉県は、有名テーマパークに加えてショッピングモールや海も人気だった。2位の沖縄県は、マリンアクティビティや水族館、まち歩き、海の見えるカフェなどが人気だ。3位の大阪府もテーマパークが一番人気だが、なんばのお笑いライブや買い物、水族館や野球観戦など多様な楽しみ方も魅力なのかもしれない。
大人の人気は沖縄県がトップ
「大人が楽しめるスポットや施設・体験があった」の1位は、前年度2位からランクアップした沖縄。海や水族館が王道だが、居酒屋やショッピングセンター、首里なども人気だったという。2位の千葉県はテーマパークが圧倒的に人気だが、海水浴や潮干狩り、ショッピングモール・道の駅での買い物、お寺なども挙がった。3位の三重県は、神社や水族館、テーマパーク、サーキット、道の駅といった場所が大人の人気を集めた。
現地での観光情報は沖縄県が高評価
「現地で良い観光情報を入手できた」の1位は沖縄県、2位は鹿児島県、3位は山形県だった。おすすめのお店や穴場スポットなどについては人を介して教えてもらったケースを挙げる人が多かった。ガイドや宿泊施設のスタッフなどのタッチポイントは、企業と旅行者の接点となる場合が多いという。旅行者は、タクシー運転手や地元の人から直接聞いたケースも多く、道の駅で聞いた地元のスタンプラリー情報や夜しか開催しないイベント情報など旬でお得な情報が高評価につながりそうだ。
体験・アクティビティでも沖縄県が強かった
「ご当地ならではの体験・アクティビティが楽しめた」でも1位は、マリンスポーツが圧倒的に人気の沖縄県だった。2位の大分県は、温泉や地獄めぐり、公衆浴場などの地元の温泉施設も人気だった。3位の北海道は、温泉、スノーアクティビティ、野球観戦やキャンプなど幅広く挙がった。5位以下では、8位の和歌山県以外が前年度トップ10圏外から新しくランクインした。
JRC主席研究員の森戸香奈子さんは、今回の調査について次のようにコメントしている。
「総合満足度1位の香川県は、日本人の延べ宿泊旅行者数が2024年度138万人(JRC推計値)で、前年度の149万人よりも減少しており、観光地としても決して規模の大きいエリアではありません。一方、食と子どもが楽しめるスポットにおいてトップ10入りしており、このふたつの観光資源が強みになっています。
旅行費用も全国平均と比べて安く、お得感も後押ししていそうです。そして50代来訪者のシェアアップやひとり旅の増加、ホスピタリティ満足度の向上、「地域らしさを感じられるものを選ぶ」といった旅行者の地域志向の高まりなどの結果が出ています。訪日外国人が増え、人気観光地を中心に混雑や物価高の影響を受けやすいなか、日本人が求めるスローでローカルな旅先として評価されたのではないでしょうか。有名な地域でなくても、地域らしさを軸に旅人を満足させることができる、新たな旅の可能性を示していると言えるでしょう」
今後の国内旅行先については、今回のランキング結果を参考にすれば満足度がアップするかもしれない。
「じゃらん観光国内宿泊旅行調査2025」概要
調査方法:インターネットによる調査
■1次調査
調査目的:全国の国内宿泊旅行実施者を抽出することに加え、性・年代別の宿泊旅行実施率を知るために実施
調査時期:2025年4月1日~2025年4月22日
調査対象:全国18歳~79歳の男女(マクロミルの登録モニター)
配信数:75万7852件
調査内容:2024年度(2024年4月~2025年3月)1年間の国内宿泊旅行(出張・帰省・修学旅行などを除く)実態
回収数:6万8547件(回収率9.0%)
集計対象者:2万件
※2次調査において都道府県別、性・年代別の割り付けに合った回収が得られるように配信
・配信数と割り付けについて
2次調査のセル別目標回収数は、「令和2年 国勢調査」の都道府県別、性・年代別の人口におおむね従うように47都道府県を8ランクに分け
サンプル数を割り付けて配信した
ランクごとに7:6:5:4:3:2:1:0.8の割合で合計約1万5400件の回収が目標
・2次調査の配信数について
ウエイトバック値のバランスをなるべくそろえるために県別に均等割り付けではなく、ランクを設けて割り付けを行った上で、1次調査の旅行実施者3万2850件を都道府県ごとに分配し、サンプル数を割り付けて配信
※回収された6万8547件のうち都道府県別、性・年代別に割り付けを行い2万件を抽出
性・年代別宿泊旅行実施率を算出
■2次調査
調査目的:全国の国内宿泊旅行実施者に対して、国内宿泊旅行の内容を知るために実施
調査時期:2025年4月10日~2025年4月22日
調査対象:3万2850件
1次調査において「昨年度1年間に国内宿泊旅行をした」と回答した人:3万2850件
配信数:3万1095件
※配信数は対象者の中から都道府県別、性・年代別の割り付けに合わせてランダムに抽出
調査内容:昨年度1年間に実施した全ての国内宿泊旅行(出張・帰省・修学旅行などを除く)の行き先と回数について、またひとり最大3件までの個別国内宿泊旅行について、
具体的な内容を調査
回収数:1万5619件(回収率50.2%)
有効回答数:1万5586件(旅行件数ベース3万16件)
https://jrc.jalan.net/news/2025/07/15/6538/
https://www.jalan.net/
構成/KUMU