
2025年7月20日に実施された第27回参議院選挙の確定投票率が総務省から発表された。それによれば、全国の投票率は3年前の前回を6.46ポイント上回る58.51%で、投票者数は6061万4876人だった。
また比例代表選挙については、自由民主党が1281万票を獲得して1位となったが、獲得票は前回より545万票減らしている。2位は前回より566万票増の743万票を得た参政党で、立憲民主や国民民主と並ぶ7議席を獲得した。
そんな今回の選挙結果が市場に及ぼす影響について、三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩 氏から分析リポートが届いたので概要をお伝えする。
与党は参院過半数割れで、国民民主と参政が躍進、石破首相は記者会見で続投を正式表明
参議院選挙は7月20日に投開票が行なわれ、翌21日に125議席(改選124+非改選の欠員補充1)の各党獲得議席数が確定した。
与党は47(自民党39、公明党8)となり、非改選の75を合わせても過半数の125に3届かず、石破茂首相が勝敗ラインとした「非改選と合わせて参議院過半数」を確保できなかった。一方、野党は立憲民主党が22と横ばいだったが、国民民主党17、参政党14と両党は躍進した。
国民民主の獲得議席数は非改選と合わせて22となり、予算を伴う法案の提出権(20以上)を確保した。また、参政は非改選と合わせて15となり、予算を伴わない法案の提出権(10以上)を確保している。
なお、石破首相は7月20日夜、比較第1党としての責任は重く、賃上げや地方創生などの政策を実行していく責任があるとして、首相を続投する意向を示していたが、21日の記者会見で正式に続投を表明した。
■想定内の選挙結果と石破首相続投の確認で、21日のドル円は持ち高調整のドル売り・円買いに
参院選が公示された7月3日以降、与党苦戦の情勢が報じられるなか、与党が政権を維持するため、財政拡張的な政策を掲げる野党への譲歩が進むとの見方が浮上した。
このような思惑が一因となり、国内金融市場では、超長期を中心に国債の利回りが上昇(価格は低下)、円は対ドルで減価、日経平均株価は節目の4万円を前に足踏みといった動きもみられた。
週明け7月21日の外国為替市場において、ドル円はドル安・円高で反応した(図表1)。参院選前にドル高・円安が進んでいたこともあり、選挙結果がおおむね想定内となったことや、石破首相の続投が確認されたことで、いったん投機筋などの持ち高調整が進んだとも考えられる。

また、大阪取引所の日経225先物は、3万9000円台後半で方向感なく揉み合う展開となった。
■焦点は与党の政権運営や政策方針、財政悪化懸念が和らぐ内容か否かで市場は異なる動きに
石破首相は21日の記者会見で、公明党との連立政権を維持する方針を示したが、衆議院に続き参議院でも少数与党となったため、国会運営の停滞が懸念される。
与党は公約に掲げた給付金などの財源を裏付けるため、秋に召集予定の臨時国会で、2025年度補正予算案を提出する見込みだ。ただ、野党の主張を取り込むなどして賛同を取り付けなければ、補正予算の成立は難しくなる。
今後、与党が連立拡大を模索することも想定されるが、立憲民主、日本維新の会、そして国民民主、参政とも、現時点では与党との連立に否定的な考えを示している(図表2)。

市場はこの先、与党の政権運営や政策方針(野党公約の消費税減税などの扱い)を見極めることになると思われ、それらが財政悪化懸念を和らげるか、さらに強めるかによって、金利、為替、株価の方向性は大きく異なると推測される。
構成/清水眞希