
静岡県静岡市在住の筆者は、周囲にプラモデル産業に携わっている友人や知人を抱えている。
もっとも、筆者がプラモデラーになった経緯は地元とは関係ない。というのも、筆者は生後1ヶ月から18歳まで神奈川県相模原市で暮らしていたからだ。両親は共に静岡市出身、要は里帰り出産の子である。
そうした経緯はあるにせよ、プラモデルが己の趣味になったことは人生におけるかけがえのない幸運と解釈している。
その上で、令和の今ではどういうわけかプラモデルが見直されるようになっている。何と、DIME本誌の2025年9・10月合併号で「”赤い“USBリューター」なるものが付録として同封されているではないか!
プラモデルづくりの質を向上させる「リューター」とは?
まず、リューターとは一体何か?
これは一言で言えば、片手で保持できるサイズの精密グラインダーである。頭の部分(ビット)は多くの場合ヤスリになっていて、これでプラモデルには絶対に発生する「切れ端」を綺麗に削り取る。
プラモデルというものは、部品を枠(ランナー)から切り取らなければならない。このランナーと部品を接続していた部分が、まるでへその緒のように残ってしまう。部品によっては、切れ端が残っていると他の部品との結合が上手くいかない場合も。
「そんなことはわざわざリューターを買わなくとも、紙ヤスリでできるんじゃ?」と言われそうだが、紙ヤスリだけではどうしても「その部分だけを削り取る」といった精密さを必要とする作業では難儀してしまう。ピンポイントでしっかり削れるリューターがあれば、プラモデルづくりも格段にはかどるのだ。
程よいパワーで確実に削る
DIMEの「”赤い“USBリューター」には、5種類の金属ビットと3種類×2のヤスリを被せるタイプのビットが用意されている。「付録」と呼ぶにはあまりにも豪勢というか、本気度が段違いというか……。DIMEって、一体何の雑誌だったっけ?
驚くべきは、金属ビットの内訳。太い円筒形から、先端が細く中央が太い魚雷型、そして針状のものまで用意されている。単に切れ端や不要な角を削り取るだけでなく、プラモデルの表面に溝を刻んだり穴を開けたりすることもできるというわけだ。
というわけで、実際に使ってみよう。ちょうど筆者の手元に、まだ作っていないガンプラが一つだけある。
ワイヤーをつなげ、ビットを設置し、スイッチオン。回転速度はダイヤルで調整することができるが、筆者は早速ながらこのリューターの「程よいパワー」に目が行った。
このテのリューターの中には、パワフル過ぎてむしろ使えない製品というものも存在する。金属を削るわけではない。プラモデルの小さな部品を削るのだ。けたたましいモーター音と共に一瞬でプラスチックの表面を抉り取ってしまうほどのパワーは、全く求めていない。
切れ端を数秒かけて慎重に除去することが、DIMEの「”赤い“USBリューター」の主任務である。
「量産機」という概念
『機動戦士ガンダム』という作品シリーズが、静岡県と静岡市に巨額の税収をもたらしている事実をしっかり認識している静岡市民は、割合としてどれだけいるのだろうか。
「静岡市民はみんなプラモデルを作ったことがある」というのは、大きな誤解である。行政が「プラモデルのまち静岡市」を大々的にPRするようになったのは、ほんの最近のことだ。静岡市民の多くは、他の地域と同様「『機動戦士ガンダム』は、ガンダムという巨大ロボットが活躍するアニメ」というおぼろげなイメージしか持っていないのではないか。
この作品の本当の主役はガンダム以外の量産機であり、それ故にガンプラは恐るべき数のバリエーションを誇る商品群になり得たのだ。
『機動戦士ガンダム』の主人公アムロ・レイは、あるきっかけでたまたまガンダムという名の人型兵器(作中ではモビルスーツと呼ばれる)に乗ってしまった少年である。このガンダムは、どちらかといえば試作機の色合いが強い兵器で、製造コストが非常に高い。したがって、ガンダムを簡素化した設計のジムという量産型モビルスーツも登場する。そして、このジムには第一次生産型や陸戦型、指揮官型、寒冷地型、宇宙型、火力支援型といったように様々なバリエーションが存在し、それらを全て挙げたらキリがないほど。
こうした設定が、さらなる設定を次々と生み出す。ジムの武装は多くの場合ビームサーベルとビームスプレーガンで、バズーカも用意されているが一年戦争ではバズーカの生産は後回しにされていた。そこでジオン軍から大量に鹵獲したザクバズーカを装備するジムも存在した……という自分なりの設定を思案し、それをガンプラで表現することもできるのだ。
そうした「設定の連鎖」が、結果として静岡市に一大産業を確立させている。
今年の夏はプラモデルづくりだ!
リューターが1本あることで、我々は既成のガンプラに改修を加えて新たなモビルスーツを作ることもできるはずだ。
「程よいパワー」と上述してしまったが、このおかげで部品を削る際も慎重に、少しずつ確実に作業を進めることができる。失敗する可能性が少ないリューター、と言えばいいか。プラモデルづくりが楽しくなることは間違いないだろう。
今年の夏は、このリューターを片手にプラモデルを作ってみよう!
文/澤田真一
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最近のプラモデルは精度が高く、パーツ同士がピタッと合わさる。説明書どおりに制作すれば、きれいに出来上がるものばかりだ。そのため、ランナーという枠からパーツを切り離し、その跡をきれいにすることは、より重要になっている。そんな昨今のプラモデル制作に役立つのが「〝赤い〟USBリューター」だ。
先端の金属ビットまたは紙ヤスリが高速回転し、パーツを切り離した跡が簡単に整う。溝を深くして立体感を強めたり、電飾の配線用に穴を開けたりといった作業にも手間取らず、プラモデル制作がもっとラクに楽しくなるはず!
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