
長らく続く物価高に、日本人の主食である米の価格高騰、訪日外国人観光客の増加に伴うインバウンド需要の拡大など……様々な事象が起こる中、今年の上半期はどんなものが特によく売れたのだろうか?
インテージはこのほど、全国約6,000店舗より収集している小売店販売データ、SRI+(R)(全国小売店パネル調査)をもとに、日用消費財の中で何がより売れたかを、推定販売金額の伸びから振り返る「2025年、上半期売れたものランキング」を発表した。
1位は米。前年同時期に比べ2倍近い伸び。価格高騰の影響大きく、米飯類も8位
2023年頃から本格化してきた物価高。昨夏頃から価格が高騰し、生活者に大きな影響を与えてきた米が1位となった(図表1)。昨年上半期は9位、昨年全体では3位と順位を上げてきていたが、今年上半期では前年同期比で184%、2位以下に60ポイント以上をつけている。
スーパーから米が消え、ついには備蓄米の放出が行われるなど、国民の最大の関心事の1つにまでなっている。米関連では8位にもパックご飯などの米飯類が115%で入った。
では米は、いつ頃から大きく販売金額が伸びていたのだろうか?価格の大幅値上がり前の2023年同月を基準に、販売金額の動きを月別で見ていく。2024年は年初から100%を上回っていたが、米不足が大きな話題となった8月頃に1つのピークに(図表2)。
新米が流通する秋に向けて落ち着くと見られたが、9月から再度上昇が続き2025年2月には2倍超、5月には231%に達し、今後も目を離せない状況が続きそうだ。
2位~4位は化粧品。コロナ禍初期は口紅などカテゴリー全体が大きく落ち込んだが復活
2位に入ったのはおしろい(120%)。年々強くなる紫外線に対応したものや、化粧の上から塗りなおせるものが人気を集めて、コロナ前の2019年に比べると136%と4割近い増加となった。
3位・美容液(119%)は、アンチエイジングなどをうたった高価格帯の商品の伸びが寄与して、こちらもコロナ禍前の水準を超えている。4位・パック(119%)は昨年上半期1位、全体でも2位の2024年を代表する商品で、毎日使う新しい形が定着するなどして人気を持続している。
化粧品は新型コロナが国内で確認された2020年、そして翌年の2021年と、外出自粛やマスク着用などもあり大幅な売り上げ減となっていた。ただ人々が外に出るようになり、さらに海外から過去最高の旅行客が訪れるなどのインバウンド需要もあって急回復。化粧品全体では2019年同期に比べ103%となっている。特に基礎化粧品は110%とコロナ前に比べて1割増加している。
上位15位のうち食品・飲料が過半数。好調なインバウンド需要が影響したものも
5位のカルシウム剤(118%)は外国人旅行客にも人気で好調、9位・リップクリーム(115%)、10位・ハンド&スキンケア(114%)もインバウンド需要が後押しした。6位・玩具メーカー菓子(117%)は、様々なIP作品の商品が好調で今年も上位に。
コロナ禍の巣ごもり時にはマンガやアニメで人気となった商品が需要をけん引し、加えて昨今の推し活ブームにも乗り、販売金額は6年で2.5倍にも膨らんでいる。腸活需要を取り込んだ7位のココア(116%)など食品・飲料が上位15位までに8つと過半数を占めている。
過去3年間のトレンドを振り返ると、コロナの影響が色濃かった2022年、2023年上半期だったが、2024年は外出需要とインバウンド、それに値上げの影響が大きかったことがわかる。そして今年は、その流れを受けつつも、米の強烈な値上げが加わった形となった。
販売苦戦は1位・オートミール、2位・検査薬。コロナ禍で売れたものが反動で上位に
最後に今年上半期、販売苦戦したランキングを見ていく(図表5)。1位・オートミール(78%)は健康需要を取り込みコロナ禍に大きく数字を伸ばしたが、その反動が出ている。それでも2019年に比べると7倍以上の販売金額となっている。
同じように2位・検査薬(78%)はコロナ用の抗原検査キットの売り上げが落ち着いたこと、4位・乳酸菌飲料(87%)もコロナ禍に売れた睡眠訴求する商品の需要が一巡し前年マイナスになっているが、2019年に比べると大幅なプラスとなっている。5位・新ジャンル(87%)は酒税法の改正による値上げで苦戦が続く。他にも販売金額の減少が続く商品などが、ランキングに入った。
出典元:株式会社インテージ
構成/こじへい