
リアル脱出ゲームやリアル異変探しゲームなど、店内を周遊する体験型イベントを定期的に行う東京・神保町の書店「書泉グランデ」。
2025年8月31日(日)までは「書店員リブと大きな本屋の小さな秘密」として大人のための謎解きイベントを好評開催中だ。
書店も謎解きも好きな編集部員Tが体験した模様をレポートする。
店内を周遊するイベントを定期的に行う「書泉グランデ」。こういったイベントを始めたきっかけは、10年以上前に行われた書泉グランデ全館を使った脱出ゲームまで遡る。
2024年にその脱出ゲームをリニューアルしたものを再演したところ好評だったため、2025年も開催に至ったとのこと。
2年連続で店内を周遊するイベントを開催した背景を「書泉グランデ」の鈴木和也さんはこう話す。
「営業中に実際の売場を回って謎解きをする、という体験ができるのがお客様にウケています。『書泉グランデ』は変わった商品や書棚が多い、クセの強い本屋。そこに謎や違和感を入れることで、さらにおもしろさが増しているようです。
イベントをきっかけに『初めて書泉グランデに来た』というお客さまもたくさんいらっしゃいます。普段は50代以上のお客さまが中心ですが、10代、20代のお客さまがグループでいらっしゃることも増えましたね」(鈴木さん)
鈴木さんの言葉とおり、店の中にどんな謎が仕掛けられているのか、期待が高まる。早速店内へ。
難しいと聞いていたが、もしかして楽勝……!?と思うも束の間
「書泉グランデ」に到着し、いただけるのがこの冊子。
この冊子には大きく3つのチャプターが用意され、それぞれのチャプターにつき、いくつかの謎が設定されている。
順番どおりにすべてを解かないと、次のチャプターへと進めない仕組みだ。「書泉グランデ」は地下1階~7階の8フロアもの構成であるものの、チャプター1では何階にヒントがあるのか、それも記載してある。
まずは、指定された雑誌や新刊書、話題の本などが揃う1階へ。
事前に鈴木さんから「2~3時間で全部クリアするのは難しいかも」と言われたものの、1つめの謎を難なくクリアした取材陣は「これって楽勝じゃん?」と油断。
そして早々に後悔。2つめの謎の答えにはなんとなく近づいていると感じるが、正解じゃないような……。
ヒントを探すために1階をうろうろし続けている間に、時間は刻々と過ぎていく。一旦2問目を飛ばして次の謎のヒントがある地下1階へ降りて行く。
どうしてもわからないなら、スマホでヒントサイトへアクセス
地下1階はミリタリー、スポーツ、格闘技、くるま、バイクのフロア。いつも1階やコミックが並ぶ2階ばかり訪れていたので、地下1階は初めて足を踏み入れる売り場。
ミリタリーやプロレスの関連書がこんなに多種多様にあるのか、と驚かされる。
地下1階にあるヒントは4つ。ここでも正解にかすっているような気はするが……。早く真実へたどり着くために活用したいのがスマホ。
ヒントサイトがあるため、さらなるサジェスチョンを授けてもらう。
ヒントサイトのおかげで消去法や言葉遊びのような謎はなんとか解けたものの、最後に残る謎がまだ解けない。当てずっぽうの答えを店員さんに見せても、首を横に振るばかり……。涙
1日で全クリできなくても、期間中なら別日に挑戦できる!
ちょうど同じように謎解きをしている二人と出会い、図々しくも手がかりを教えてもらえないか、相談してみた。
3時間ほどですべての謎を解いたという二人曰く「取材陣は視点が違うため、正解が見つからないのでは?」とのこと。
彼女たちの助言に従い、それまでずっと見ていた天井から、床の方へ視線を移すと「あったー! 答えありました!」という一幕も。
なんとか最初のチャプターの正解を導き出し、店員さんに報告すると……
無事正解! 次のチャプターへ進めることに。なお所要時間が20分目安のところ、1時間でクリアという少々不甲斐ない結果だったところで閉店時間となり、タイムアップ。
まだ謎が残っているので、後日また来ようと、この日はここで一旦終了することに。
そう、このイベントは期間中であれば何度でも訪れることができるため、会社帰りなどふらっと立ち寄れるのが魅力だ。
今イベントを手掛けた「タカラッシュ」の赤坂憲大さんは話します。
「“発見する感動”を創出することが『タカラッシュ』のMISSIONです。このイベントでも「書泉グランデ」に溶け込むような設置物をたくさんつくり、謎解きの中に落とし込みました。『手がかりがこんなところに!』という発見の感動を存分に楽しんでいただける作品に仕上がっていると思います。
クリア後に配布する特典は、過去最大のボリュームで書き下ろしたミニ小説(エンディングストーリー)。店内を巡りながら、物語の真実を楽しく読み解いていただけるとうれしいです」(赤坂さん)
雨が降っていたり、暑かったりすると外出も億劫になるもの。駅近の「書泉グランデ」では夏は涼しく遊べる“全天候型エンタメ書店”として、今後もこのようなイベントを企画する予定とのこと。
もちろん、ゲーム以外の楽しみも。1階から2階に向かう階段の壁には、手塚治虫の「ブラック・ジャック」をはじめ、人気コミックの複製原画を飾ってあるなど、店内をじっくり観察したからこその発見もあった。
この夏は「書店員リブと大きな本屋の小さな秘密」で、固まった頭をほぐしてみてはどうだろうか。
「書店員リブと大きな本屋の小さな秘密」
https://huntersvillage.jp/promo/shosengrande/
場所/書泉グランデ(東京都千代田区神田神保町1-3−2)
開催期間/2025年8月31日(日)まで
参加費/¥2,500(税込)
取材・文/大柴悦子 撮影/小倉雄一郎
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