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知っているようで知らない四字熟語「臥薪嘗胆」の言葉の由来と正しい使い方

2026.05.06

四字熟語『臥薪嘗胆』は、復讐や目標達成のために困難に耐え忍ぶという意味です。中国の故事に由来し、日清戦争後の『三国干渉』をきっかけに流行語になった歴史的背景もあります。

臥薪嘗胆とは?

まずは、『臥薪嘗胆』の読み方と意味を紹介します。また、言葉の由来や流行語となった歴史的背景についても見ていきましょう。

■基本的な意味と読み方

臥薪嘗胆は『がしんしょうたん』と読み、『復讐を誓って辛苦に耐えること』『目標達成のために苦心し努力を重ねること』を意味する四字熟語です。

『硬い薪の上で寝る』という意味の『臥薪』と、『苦い肝をなめる』という意味の『嘗胆』が合わさり、『仇を討つため、あるいは目標を達成するために、どんな苦労もいとわない』という強い決意を表現しています。

ビジネスシーンでは、事業の立て直しや新規プロジェクトに挑む際の、苦労を表す言葉や座右の銘として使われることもあります。また、スポーツや受験勉強など、目標に向かって努力を重ねる場面でも適した表現です。

■中国の故事が由来

臥薪嘗胆は、中国の古代歴史書『十八史略』の『春秋戦略』に由来する故事成語です。春秋時代の呉と越という、敵対関係にあった二国の物語から生まれました。

呉王の夫差(ふさ)は、父である闔閭(こうりょ)が越王の勾践(こうせん)との戦いで命を落としたことから、復讐を誓います。

夫差は毎晩、硬い薪の上に寝て(臥薪)、父の仇を忘れないようにしました。復讐心を燃やし続けた夫差は、ついに越に攻め入り、勾践を降伏させることに成功します。

しかし、賄賂により命を助けられた勾践は、今度は自らが食事の際に苦い肝をなめる(嘗胆)ことで、夫差への恨みを忘れないようにしました。やがて、国力を回復した越は呉を攻め、夫差を自決に追い込むという物語です。

■流行語となった歴史もある

臥薪嘗胆は、明治時代に国民的なスローガンとして広まった時期があります。日清戦争後の1895年に起きた、『三国干渉』がきっかけでした。

日本は清国に勝利し、遼東半島の割譲を受けたものの、ロシア・ドイツ・フランスの三国からの圧力により返還を余儀なくされたのです。

この屈辱的な出来事に対し、多くの日本国民が臥薪嘗胆をスローガンに、ロシアへの反発心を強めました。当時の新聞社説でも使われ、国民の間に広がっていったとされています。

臥薪嘗胆の使い方と例文

勉強する人物
(出典) pixta.jp

臥薪嘗胆は、日常会話からビジネスシーンまで、さまざまな場面で活用できる表現力豊かな言葉です。ここでは、具体的な使い方を例文とともに見ていきましょう。

■一般的な使い方と例文

現代では復讐というよりも、目標実現のための努力全般に用いられることが少なくありません。

例えば、「あの選手は大けがを乗り越えて優勝した。まさに臥薪嘗胆の努力のたまものだといえる」と言えば、困難を乗り越えて手にした結果を協調できます。

また、「競合他社に勝つために、技術者が臥薪嘗胆の精神で日夜開発に力を注いでいる」と表現すれば、並々ならぬ決意と覚悟が伝わります。

単に「頑張っている」「頑張った」と言うよりも、目標のために困難に耐え抜き、努力したプロセスや強い意志・覚悟がより伝わるでしょう。

■臥薪嘗胆を用いた表現

『臥薪嘗胆の末』は、苦労して努力した結果を述べる際に使用します。「臥薪嘗胆の末、大手企業から大きな注文を受けた」と表現すれば、長期間の困難な交渉を乗り越えた末の成功を、効果的に伝えることが可能です。

『臥薪嘗胆の思いで』は、取り組みへの強い決意・覚悟を表現する際に適しています。「臥薪嘗胆の思いで、10年かけて独立の準備をして取り組んできた」と言えば、強い覚悟と努力が伝わります。

『臥薪嘗胆する』という動詞形も使われ、「業界トップを目指して臥薪嘗胆する」のように表現が可能です。成功者が事業への取り組みを振り返る場面や、政治家・経営者が苦境を乗り切った経験を語る際にも効果的です。

臥薪嘗胆の類義語

メモをとる
(出典) pixta.jp

ここでは、臥薪嘗胆と意味が近い四字熟語をいくつか紹介します。意味合いの微妙な違いや使用場面を理解し、状況に応じて使い分けられるようになりましょう。

■「坐薪懸胆」「漆身呑炭」

『坐薪懸胆(ざしんけんたん)』は、硬い薪の上に座り、枕元に苦い肝を掛けて寝起きになめることを表します。

将来の成功のために苦労をいとわず、現在のつらさを耐え忍ぶという意味を持ち、臥薪嘗胆とほぼ同じ意味です。「若い頃の挫折をバネに坐薪懸胆の努力を重ね、会社を立ち上げた」のように使います。

『漆身呑炭(しっしんどんたん)』は、体に漆を塗り、炭を呑むという意味で、仇討ちや復讐のために大変な苦しみ・つらさに耐えることを表します。「上司を見返すために漆身呑炭の努力を続け、今では誰もが認める実力をつけた」といった用い方が可能です。

■「捲土重来」「堅忍不抜」

『捲土重来(けんどちょうらい)』とは、一度失敗した者が再び勢いを盛り返して奮起することを意味します。

捲土は土ぼこりを巻き上げる様子、重来は再び来ることを表し、砂塵を巻き上げながら再び攻めてくる軍勢のイメージから生まれました。「彼は司法試験に失敗したが、捲土重来を期して再び挑戦している」など、再起を誓う場面で使えます。

『堅忍不抜(けんにんふばつ)』は、辛いことに負けず我慢強く耐え忍ぶ姿勢を表します。堅忍は辛抱強く我慢すること、不抜は心が動揺しないことを意味し、「堅忍不抜な姿勢が、長い年月をかけた研究の成果につながった」といった使い方が可能です。

■「名誉挽回」「汚名返上」

『名誉挽回(めいよばんかい)』は、失った信用・評価を元に戻すことを意味する言葉です。『汚名返上(おめいへんじょう)』は、悪い評判を新たな成果で取り除くことを表します。

臥薪嘗胆と共通する点は、将来の成功を目指して努力する姿勢です。ただ、臥薪嘗胆が個人的な苦難・復讐心に重点を置くのに対し、名誉挽回や汚名返上は社会的評価の回復に焦点を当てています。

「次回のプレゼンでは名誉挽回を果たしたい」「汚名返上するため、決意を新たに頑張ります」といった使い方が一般的です。

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