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解像力と柔軟性の頂点へ!「LUMIX S1RII」とLUMIXレンズ最新モデルの実力を徹底検証

2025.07.12

パナソニックがフルサイズミラーレスのハイエンドモデルとして投入した「LUMIX S1RII」は、新開発の有効約4430万画素のセンサーと新画像処理エンジン「L² Technology」を搭載し、静止画・動画の両方で高い性能を発揮する最上級機である。本機と組み合わせて実写したのは、標準ズーム「LUMIX S 24-60mm F2.8」と、柔らかなボケ味が魅力の中望遠単焦点「LUMIX S 85mm F1.8」。高精細センサーとの相性も含めて、その描写力を写真家・小平尚典氏と共に表参道で検証した。

高解像度と豊かな階調を両立したセンサー性能

「S1RII」のセンサーは、有効約4430万画素フルサイズ裏面照射型CMOSイメージセンサーと、新世代の画像処理エンジンにより、ベース感度はISO80で、高感度ISO6400前後でもディテールを残した描写が可能となっている。ビルの壁面の窓枠、街路樹の葉の重なり、金属の反射といった微細な情報も破綻なく写し取れた。

ハイライトの粘りも良く、特に逆光の人物撮影では顔の階調がしっかりと残る。JPEG撮って出しでも十分な完成度を誇っており、編集なしでも作品レベルの仕上がりが得られた。

新開発の有効約4430万画素のセンサーは抜群の解像力を誇る
金属とガラスの質感、ガラスに映り込んだ空と雲をリアルに捉えている
LUMIX S1RII LUMIX S 24-60mm F2.8 1/800sec F3.2 +0.33 ISO80
ビルの谷間に出現した樹木の描写は柔らかく、ガラスやクルマは硬質な質感にしっかり描き分けられている
LUMIX S1RII LUMIX S 24-60mm F2.8 1/160sec F4.5 +0.33 ISO80

「手持ちハイレゾショット」は実用域に到達

注目すべきは、手持ちでの「ハイレゾショット」機能である。最大約1億7700万画素相当の超高解像撮影が三脚不要で実現できる。この機能はボディ内手ブレ補正との連携により実用性が大きく向上している。

実際に風景や建造物を撮影してみると、看板の文字や遠景の窓ガラスまで鮮明に記録され、拡大しても破綻のない緻密な描写が可能だった。合成処理の速度も速く、手持ちであることを忘れるほどスムーズである。建築・商品・美術作品など、細部再現を求める分野において、有力な選択肢となるだろう。

手持ちで撮影する場合は、ハイレゾモード設定の手持ち撮影をONにする
実際に手持ちで撮影。1/125sec以下のスローシャッターでは失敗の確率が高くなった。日中の屋外での撮影なら問題ないだろう
LUMIX S1RII LUMIX S 24-60mm F2.8 1/125sec F2.8 ISO2500
下がハイレゾモードの100%表示、上が同時撮影した通常解像度の画像。比較してみると解像度の違いを実感できる

動画性能も一線級の完成度

「S1RII」は、静止画性能だけでなく、映像制作においても優れた機能を有している。ProResやMOV、MP4といった多彩なフォーマットに対応、8K30p、6K60p、4K120pが使え、10bit 4:2:2の内部収録も可能。V-Log撮影やLUTのリアルタイム適用、波形モニター、ベクトルスコープといった業務向け機能も備える。

撮影中の発熱も抑えられており、長回しでの撮影でも安心感がある。XLRマイクユニットを使えば、本格的な音声収録も可能で、映像と音の両面でプロ品質を追求できる仕様である。

8.1K30pに対応、記録はSDに加えて、CFExpress Type B及び外部SSDへの直接記録に対応。高ビットレートの動画撮影でも安心だ
新たにApple ProResの5.8K30Pにも対応した
動画撮影時にクロップレスの電子手ブレ補正を搭載、画角が狭くならずに手ぶれ補正がおこなえる
左側のダイヤルには写真/動画/S&Q切り替えスイッチが設けられた。写真と動画で別個にカスタムモードの設定が可能になった
モードダイヤルにはロック機能が付き、リアダイヤルは左側に移動して回しやすくなった

像面位相差AFがSシリーズ最大の進化点に

像面位相差AFの採用により、「S1RII」のピント合わせはかつてないほど快適になった。従来の空間認識AFとハイブリッド化することで、合焦速度・精度・追従性すべてにおいて向上が見られた。特に被写体認識では、人物の瞳を即座に捉え、追尾し続ける挙動が安定しており、動物や車両、バイクといった対象も高精度に検出される。

低照度や逆光、斜め方向からの被写体でも迷いが少なく、撮影テンポが大きく向上する。静物中心のS1Rから、大きく守備範囲を広げた印象である。

モニターはチルトフリーアングル機構を採用して、静止画でも動画でも素早く必要なアングルにセットできる。これはチルト式として使用した場合
さらに開くとバリアングル式としても使える。動画撮影時にケーブルを接続した外部機器との干渉を防ぐために有効な機能である

「LUMIX S 24-60mm F2.8」小型軽量ながら描写は妥協なし

セットレンズとして用意された「LUMIX S 24-60mm F2.8」は、開放絞り値F2.8にしては軽量・コンパクト、そして驚くほどしっかりとした描写性能を有している。広角端ではF2.8の明るさを活かした開放撮影が可能で、中心部の解像度は高く、周辺までなだらかに繋がるトーンとコントラストが心地よい。

望遠側でもF2.8を維持しており、ポートレートやスナップ用途に十分な背景ボケを得られる。色収差や歪曲は電子補正によってほぼ見られず、全域で高い解像度とヌケのよい描写を保っている。風景、街撮り、人物と幅広い用途に対応でき、「S1RII」の高画素にも耐え得る一本である。

いくら24-60mmが小型軽量と言っても約544gあり、ボディとレンズ合計では1.2kgを超える重量になる
山陽堂書店の2階ギャラリーの窓に安西水丸氏の絵が貼られている。実はこれ歩道からビルを見る人向けのものだ。ゆったりとした時間が流れる自然光だけの空間を24mmで捉えた
LUMIX S1RII LUMIX S 24-60mm F2.8 1/60sec F2.8 ISO125
こちらが歩道から見た2階の窓。かなりコントラストのある被写体だったが白トビすることなく撮影できた
LUMIX S1RII LUMIX S 24-60mm F2.8 1/60sec F5.6 ISO80
南青山にある福井県のアンテナショップ「ふくい南青山291」にて研究中の恐竜博士。強い光が当たっていた。60mmで撮影してさらにトリミング
LUMIX S1RII LUMIX S 24-60mm F2.8 1/250sec F5.0 +0.33 ISO80

「LUMIX S 85mm F1.8」自然でなめらかなボケと立体感

中望遠単焦点として登場した「LUMIX S 85mm F1.8」は、ポートレートやスナップでその実力をいかんなく発揮した。F1.8開放でもシャープな合焦面を保ちつつ、そこから自然に溶けていくようなボケ味が魅力である。とりわけ背景が混み合った場面でも破綻せず、被写体が立体的に浮き立って見える。

逆光時にもフレアは抑えられており、逆にハイライトが柔らかく滲むような美しい描写が得られる。AFは高速かつ静音で、動きのある人物撮影でもストレスを感じさせない。LUMIXのF1.8単焦点群としての統一感もあり、今後焦点距離を揃えていく楽しみもある。

85mmは重量約355gと文句なしに軽いため常用したくなる。フードも付属する
小平さんがLEDの定常光で撮影したポートレート。左右のブルーのグラデーションもLEDにフィルターをかけてリアルタイムで生成。柔らかい描写で生き生きとした肌の質感を再現
LUMIX S1RII LUMIX S 85mm F1.8 1/60sec F4.0 ISO200
最短撮影距離は0.8mとややものたりないが、絞り開放でのボケ味は美しい
LUMIX S1RII LUMIX S 85mm F1.8 1/100sec F1.8+0.33 ISO160
AFでピントが迷ったときは素早くMFに切り替えて狙った位置、この場合はピントを鼻の頭にサクッと持って来れた
LUMIX S1RII LUMIX S 85mm F1.8 1/250sec F1.8+0.33 ISO80
背景がうるさい場合のボケ味は重要。ワチャワチャすると被写体が埋もれてしまう恐れがあるが、LUMIX S 80mmなら心配無用だ
LUMIX S1RII LUMIX S 85mm F1.8 1/200sec F1.8+0.33 ISO80

ハイレゾから日常スナップまで、すべてをこなす万能機

「LUMIX S1RII」は、超高解像度の静止画性能に加え、ハイブリッドAFや手持ちハイレゾ撮影、動画性能まで大幅に進化したフルサイズ機である。そこに新開発の「24-60mm」標準ズームと「80mm F1.8」中望遠単焦点という柔軟なレンズラインアップが加わることで、軽快さと描写力の両立が実現された。

ハイエンドながらも扱いやすさと汎用性を兼ね備えた「S1RII」は、スタジオからロケ、記録から作品制作まであらゆるフィールドで信頼に応える存在である。パナソニックがフルサイズ市場で再び存在感を示す一台として、プロ・ハイアマチュア問わず注目すべきカメラである。

写真・文/ゴン川野

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