
6月11日、Googleが新OS『Android 16』を発表した。これはGoogle Pixelの対応端末に先行展開ののち、他のAndroid機種にも導入が可能になる。
しかし、どうも日本のメディアではAndroid 16の話題は地味なアップデートニュースに終わってしまっているようだ。無理もない。このAndroid 16が全面に押し出している機能「ライブ アップデート」は、ライドシェアサービスの使い勝手をより良くする方向性のものだからだ。
残念ながら——そう、「残念ながら」と言わざるを得ないが、日本ではライドシェアサービス自体が存在しない。それを大きく作り替えた「日本版ライドシェア」「公共ライドシェア」はあるが、中身は国際的なライドシェアと全く別物だ。
しかし、よく海外渡航をする人にとっては使い勝手の良いOSになり得るのではないか? さらに言えば、今後は日本でもライブ アップデートのような機能が大注目されるのではないか?
日本のライドシェアは「既存タクシーの補完」
日本版ライドシェアを「既存タクシーの補完」と最初に表現したのは、筆者の知る限りでは朝日新聞である。
やはり新聞社は、「それが何なのか」を端的に表現することに長けている。そして、実際にその通りなのだ。新聞社のデスクの仕事には、素直に敬意を示さなければならない。
国際標準のライドシェアは、既存のタクシーよりも便利な仕組みを導入しよう、しかしタクシー業界には様々な大人の事情があるから、タクシーではなく一般車両を使おう……というコンセプトである。が、日本国内のライドシェアはタクシーの延長線上であるから、「タクシーよりも技術的レベルの高いもの」にすることは想定されていない。したがって、日本版ライドシェアをアプリではなく電話で呼べるようにしようという議論が活発になるのだ。
アプリを開かなくても車両の現在位置が分かる!
そうした背景もあるため、此度のAndroid 16のライブ アップデートには日本人からはあまり注目されていないようだ。
しかし、国際標準のライドシェアはなくとも、ライドシェアアプリ自体は少しずつ普及している。タクシー会社がライドシェアアプリと提携を交わすことが多くなったためだが、一方でUber Eatsのようなフードデリバリーの浸透も要因の一つに挙げられる。たまに「Uber Eatsはライドシェアのようなもの」と表現する人を見かけるが、「ようなもの」どころではなくUber EatsはライドシェアのUberが始めたフード配達プラットフォームである。
さて、Uber Eatsを使った人ならば、或いは海外でライドシェアアプリを使った人ならば、「マッチングした車両がピックアップ地点に来るまでの間」に頻繁にアプリを開いてチェックしなければいけないことは理解できるはずだ。
このあたり、ライドシェアアプリを使ったことのない人は「?」になってしまうかもしれない。要はライドシェア車両が指定した地点へ来るまでの間、「あと何分で車が来るのか」「車が今どこにいるのか」をいちいち確認しないといけないというわけだ。そうしなければ、到着済みの車両をついうっかり長時間待たせてしまうかもしれない。
そのような確認をロック状態の画面上でも行えるようにしよう、というのがAndroid 16のライブ アップデートである。
ライドシェアの影響力
スマホを取り出し、画面ロックを解除しなくともライドシェアやフードデリバリーの運行状況を確認できる。ライドシェアアプリというもの自体がスマホの存在を前提にするプラットフォームだが、今ではスマホがライドシェアアプリに牽引されるような形の進化を遂げようとしている。ライドシェアとは、それほど世界中に大きな影響を与えているサービスなのだ。
国際基準のライドシェアを日本国内で解禁するかどうかの議論はとりあえず横に置くとして、まずは「ライドシェアの影響力」を認めなければ話は進まない。が、日本人は一度敵と見なした存在からは何も学ぼうとはしない、敵から知識を吸収する必要はないと判断してしまう悪癖を持っている。「ライドシェアは日本では解禁されていない。故にAndroid 16の新機能も日本人には縁遠い代物」と考えてしまうのは、ナンセンスな発想と言わざるを得ない。
徐々に広がるUber Taxi
筆者の地元である静岡県静岡市でUber Taxiのサービスが始まったのは、2025年2月28日のことである。
静岡市では、それまでにもUber Eatsが進出していたため、「Uber」というサービスが全く知られていない土地というわけではなかった。が、今や全世界で利用できると言っても過言ではないUberのアプリで、実際に車両を呼び出す体験をしたことのある静岡市民は少数派のはずだ。筆者のように頻繁に海外渡航するか、東京へ行くことが多いか……という人にしかUber配車は縁のなかったものだ。
嬉しいことに、静岡市でのサービス開始を皮切りにUber Taxiは静岡県での対応エリアを拡大するようになった。こうしてUberの配車サービスが身近なものになれば、Android 16のライブ アップデートにも注目の視線が向けられるはずだ。
【参考】
Android 16 が登場-Google
Uber Taxi、静岡市でサービス開始!-Uber
文/澤田真一
インフレ時代の最適解!OPPOが4万円台のAI搭載スマホを実現できた理由
「これがインフレーションというやつか」とため息をつく毎日である。 コメの価格はようやく少しずつ下落してはいるが、日本人は何もコメだけを食べて生きているわけではな…