
第27回参議院選挙が2025年7月3日に公示され、選挙区(定員75)に350人、比例代表(定員50)に172人が立候補。現在、7月20日の投票日に向けて、物価高対策や消費税減税、社会保障政策などを争点に選挙戦が展開されているが、最大の焦点は自民・公明の与党が過半数を獲得できるかだろう。
というわけで三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩 氏から、選挙戦序盤の情勢と今後の日本株への影響を分析したリポートが到着したので、概要をお伝えする。
序盤の情勢では、与党が参院で過半数を維持できるかが焦点となる一方、野党は躍進の報道も
7月20日が投開票日となる参議院選挙について、序盤の情勢が明らかになってきた。衆議院で少数与党の自民党、公明党の両党については、非改選議席と合わせ参議院で過半数議席の獲得を「うかがう」情勢との報道もあれば、過半数獲得は「微妙」、「苦戦」などの報道もみられる。
一方、野党については、立憲民主党が議席数を増やし、国民民主党と参政党も躍進するとの報道が目立っている。
6月6日付レポートでも触れたとおり、参院選は与党の改選議席の獲得数に基づき、3つのシナリオが想定される。
具体的には、与党が(1)改選過半数を獲得(63議席以上)、(2)非改選議席を含め参議院で過半数議席を維持(50議席以上、62議席以下、与党が必達とする目標)、(3)非改選議席を含めても過半数割れ(49議席以下)、の3つだ。
前述の序盤の情勢を踏まえると、(2)もしくは(3)のシナリオが注目される。
■与党が参院過半数割れとなり政局不透明感が強まった場合は要注意、石破首相の進退が焦点
そこで、(2)と(3)について日本株への影響を考える。
まず、(2)の場合、石破首相は当面続投となり、政局は参院選前とそれほど変わらず、選挙結果の日本株への影響度合いは限定的とみている。なお、与党が連立拡大を模索する場合、協議先と想定される日本維新の会や国民民主党の要求(図表1)を部分的に受け入れることも考えられるが、消費税減税の受け入れは難しいと思われ、財政悪化懸念で国内市場が混乱する恐れは小さいと予想する。

そして、(3)は与党敗北のケースであり、政局の不透明感が強まれば、日本株に下押し圧力がかかりやすくなることが見込まれる。
この場合、石破首相の進退が注目されるが、仮に石破首相が辞任を表明すれば、自民党の総裁選挙、臨時国会での首相指名選挙が行なわれる(図表2)。
ただ、自民党の新総裁が新首相に指名されるか否かは、衆議院で少数与党のため、野党の投票次第ということになる。

■改選過半数未達なら野党との関係や消費税減税の扱いが日本株を見通す上で重要ポイントに
なお、野党が首相指名選挙で候補者を一本化すれば、政権交代の流れになるため、与党は、石破首相辞任の場合、連立拡大も視野に入れつつ野党の要求を受け入れ、首相指名選挙で野党の協力を得るのか、石破首相続投とし、案件ごとに野党の協力を得ていくのか、慎重に判断するとみられる。
ただ、いずれも野党の減税要求が通りやすくなることで、財政悪化懸念が景気浮揚期待を上回り、市場が混乱するリスクは(2)よりも大きくなる恐れがある。
そのため、相場安定の観点からは、相対的に(2)のシナリオの方が、日本株にとって好ましいと思われるが、どのシナリオに至るかは当然ながら選挙結果次第となる。
参院選後、与党がどのような形で政権を運営していくのか、特に(2)と(3)の場合、与党は野党との関係をどう構築していくか、とりわけ野党が主張する消費税減税について、どのように判断していくかは、日本株を見通す上で、重要なポイントと考えている。
構成/清水眞希