
■連載/阿部純子のトレンド探検隊
日立の新製品「2in1 トースターレンジ(MRT-F100)」(価格はオープン、想定価格:49,280円/チャコールグレー、アイボリーの2色)は、20~30代の単身者やDINKs、集合賃貸住宅のターゲットユーザー設定した製品。
トースターと単機能レンジの2 台分を1 台にまとめた製品で、トースト、焼き目のついたグリル料理、レンジ加熱であたためや解凍も1 台ででき、トースターとあたため機能があれば十分というユーザー層に向け、シンプルな機能と使いやすさを追求している。
必要な機能だけをまとめて利便性を高めた多忙なユーザー層向け製品
日立では従来は電子レンジに具体的なターゲットユーザーを定めていなかったそうだが、「2in1 トースターレンジ」(以下、2in1)は、ターゲット層を明確に設定しているのが特徴。
大型で多機能なオーブンレンジはファミリー層向け製品が多いが、2in1は、20~30代の単身者や夫婦二人暮らしを想定し、シンプルな操作性を追求しながら、時にはこだわりのおいしい料理も作りたいというニーズに応えた設計になっている。
開発にあたり同社がターゲット層の生活意識を調査したところ、「忙しくて時間がないので時短を重視」「キッチンスペースに余裕がない」「電子レンジは『あたため』『解凍』に使用し、オーブンはたまにしか使わない」「デザインにはこだわりがある」「SNSを多用し口コミ情報はよく調べる」「高級コーヒーメーカーやトースターに興味があり、こだわりメニューはおいしく食べたい」といった傾向が浮かび上がった。
2in1はこうしたニーズを反映させ、操作部はダイヤルが3つと、押しボタンが1つだけという非常にシンプルな構造に。直感的に操作できるダイヤル式で、モードの切り替え、レンジ出力の切り替え、時間設定がダイヤルを回すだけでできる。
必要なモードだけを簡単に操作できるシンプルな構造は、「多機能オーブンレンジは普段は使わないモードが多すぎる」と感じている、ターゲットユーザーのニーズに合致している。
集合賃貸住宅でキッチンが手狭な住宅環境が多いターゲットユーザーには、スタイリッシュなデザイン性を重視しながら、コンパクトなキッチンスペースにすっきり置けるサイズ(本体外寸:幅464×奥行406(ハンドル部含む)×高さ302mm)で、左右、背面は壁にぴったりつけて設置できる(※上方は10cm 以上あける必要あり)。
〇パンに合わせた4種のパン専用モードは「セットメニュー」も調理可能
トースターとして使用する4種類のパン専用モードはダイヤル部分にアイコンで表示。モードと時間を選択すると、パンに合った火加減で調理できる。
パンをおいしく焼き上げる「グリルプレート&ヒーター」テクノロジーを採用。赤外線を放射する「管ヒーター」(下記画像の天井部分)で食材上面を加熱し、レンジ加熱(マイクロ波)で発熱する「グリルプレート」(下記画像の食材をのせているプレート)で食材裏面を加熱。上下からの適切な加熱制御を行うため、裏返す必要もなく食パンの両面をこんがりと食感よく焼き上げる。
「トースト」モードは、裏返しをする必要なく、トースト1 枚を約4 分でこんがりサクサクに焼きあげる。冷凍トーストの場合は、設定時間を約1分追加する。取材時の実演では(下記画像)、5枚切りの食パン2枚分が4分20秒でこんがりと焼き上あがった。
「アレンジトースト」モードは、具材をのせたパンを焼き上げるモード。好みの具材を使ったアレンジトーストやフレンチトーストを作ることができる。「パンリベイク」モードは、市販の総菜パンやクロワッサンを、表面は焦がさずに熱々でふんわりとあたため直しができる。「ピザ」モードは、直径約23cm までのチルドピザなら切らずに1 枚まるごと焼くことが可能。手作りピザも約10 分で焼き上げることができる。
モードと時間を選択するだけで、カフェのようなワンプレートが簡単に作れる「セットメニュー」も調理可能。グリルプレートに食パン、クッキングシートで作った入れ物に落とした生卵、ウィンナーを並べ、「トースト」モードで4~5 分焼くだけで「トーストセット」が完成。忙しい朝でも簡単に一度で調理ができるので重宝しそうだ。
「バーガーセット」は、2つに切ったバンズと、味付けしたひき肉を練ってからクッキングシートで作った入れ物に平らに広げ、「アレンジトースト」モードで6~7 分焼く。
焼き上げたバンズの片面にピザソースを塗り(塗らなくてもOK)、パティ、レタス、トマトをはさめば完成。ボリュームのあるバーガーが簡単にできるので、休日の昼食にもぴったり。画像 IMG_1068
朝食におすすめの「イングリッシュマフィンセット」は、切ったイングリッシュマフィンと卵を並べて、「アレンジトースト」モードで8~9分焼くだけ。卵はトーストと同様に、クッキングシートの入れ物に卵を割り入れる。焼き上がったマフィンに、塩こしょうした卵、ハム、チーズをはさめば完成。
〇「グリルモード」は焼き目をつけたい料理や焼き菓子作りも可能
2in1にはオーブン機能は付いていないが、強弱2つのグリルモードを搭載しており、高火力でしっかり焼き目をつけたいグラタンや、焦がさないようにじっくり加熱したいスコーンを作ることができる。
「グリル(強)」は、高火力で焼き目をつけてしっかり焼き上げるモード。マカロニグラタン、ハンバーグ、塩ざけなどの調理が可能。「グリル(弱)」は、焦がさないようじっくり加熱するモードで、焼きいも、スコーン、型抜きクッキーなどの調理ができる。「予熱」はグリル調理で庫内を予熱したい時に使用するモード。
〇レンジ機能搭載であたためも解凍もできる
レンジ機能は200W、500W、600W、1,000Wの4段階の出力が選べるので、解凍からあたため、調理まで好みに合わせて使うことができる。
ダイヤルを「レンジ」に設定し、出力と時間を選択するだけ。ワイド庫内で直径24センチのボウルもそのまま入れて使うことができるので、レンジ加熱で作れるスープやゆで物など、いろいろな調理に活用できる。
オートメニューは搭載されていないため、自身で調整しながら時間を設定する必要があるが、日常使いしやすい「手動調理メニューのレシピ集」あるので、こちらを参考にしてみるのもよい。
フラットな庫内で拭き掃除も簡単にでき、水滴や汚れが落ちやすい下部にはレッグカバーがついているので、日々のお手入れも楽にできる。
2in1にはレンジ機能があるためアルミホイルは使用できないので、卵や肉の調理に使う入れ物はクッキングペーパーを使用する。また、生卵やゆで卵、目玉焼きは「レンジ」機能では調理しないように注意。
【AJの読み】シンプルな機能を求める幅広い層のニーズに応える製品
筆者が使用しているオーブンレンジの日々の使用状況は「あたため」と「解凍」がすべて。購入して5年経つがオーブン機能は数回しか使用していない。
筆者のように多機能オーブンレンジでも結局は使いこなせていない、シンプルな機能で十分といったニーズはかなり多いのではないか。2in1は、ターゲット層の単身者やDINKsだけでなく、こうしたニーズを求めるファミリーユーザーやシニア層にも訴求する製品かもしれない。
2in1の実演で便利さを感じた機能がセットメニュー。我が家ではかなりの頻度でイングリッシュマフィンを作るが、レンジで卵を固めて、別に使用しているオーブントースターでマフィンを焼いてと2台を併用している。
「2in1 トースターレンジ」なら1台でマフィンも卵も同時に作れるので、「イングリッシュマフィンセット」は忙しい朝に重宝しそうだと感じた。
取材・文/阿部純子