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身近な犯罪から我が身を守る!新しい防犯対策の提案

2025.07.12

リーゼント刑事こと元徳島県警捜査第一課警部の秋山博康さんは、42年間、凶悪犯罪の最前線で奮闘してきた。秋山さんら警察関係者の努力によって、殺人や強盗、窃盗といった重大犯罪の認知件数は、2002年の約285万件をピークに減少し続けている。地道な職務質問やパトロール巡回の強化、防犯カメラの設置増加など、治安維持の努力の結果である。日本での犯罪件数は減少し続けているが、こうした統計とは裏腹に、日常生活で感じる治安の良し悪し、いわゆる『体感治安』は悪化していると、秋山さんは言う。

「犯罪のカタチも変化しています。最近は闇バイト募集やロマンス詐欺、サイバー犯罪からネット上のいじめなど、インターネットやSNSを使った犯罪が増えています。こうした犯罪は肉体的な暴力を伴わないだけに、その手口や被害の実態が見えづらくなっている、という特徴があります」(秋山さん)。

こうした犯罪から身を守るためには、犯罪の手口を知っておくことが最も重要だとして、このほど「元刑事が国民全員に伝えたい シン・防犯対策図鑑」(本体1,600円+税)を発刊、他人事ではない防犯の手口について紹介した。この令和版防犯マニュアルの中から、今すぐできる3つの犯罪対策を解説しよう。

その1■SNS時代の詐欺から身を守る

秋山さんはズバリ、SNSで金の話が出た時点で疑った方が良いと言う。「親や友人だって、金を貸す時には慎重になるのが普通です。まして、顔も知らない相手に金を渡すなんて、冷静に考えたら絶対におかしいと考えるべきです」。

これまでの詐欺事件は顔を突き合わせて人の目を見ながら騙すやり方だった。しかし、SNS時代の詐欺は、相手の顔も本名もわからない。被害者が加害者を訴えることが難しい。

詐欺を立証するには、「騙す」「騙される」「金を渡す」「金を受け取る」という四段階が全て揃う必要がある。一番難しいのは、この「騙すつもりだった」という立証である。例えば「投資で倍になる」と詐欺師から言われたとしても、その場で嘘か真実かなんて、見抜くのは至難の業だ。証拠がなければ、警察だって動きようがないのである。騙されないようにするのが、特に重要になってくる。

秋山さんはこうした詐欺事件に巻き込まれ、困った場合、もし最寄りの警察署で「民事だから対応できない」とか「事件性がない」、「証拠がない」などと突き放されたら、すぐに県警本部に相談するべきだとアドバイスしている。交番の警官には捜査権限がない。相談を受けるだけで終わってしまうことも多い。「警察もセカンドオピニオンがあると覚えておいて欲しい」と呼び掛けている。

さらにSNSがらみで、本人が特定されて事件に巻き込まれる犯罪にも、注意して欲しいと言う。特に注意すべきなのは、祖父母や親が孫や子ども可愛さに、実際の顔写真をSNSなどに投稿しているケースだ。アップされた子どもの顔写真が、生成AIでわいせつ画像に加工される「ディープフェイク」に悪用されてしまう危険がある。

すでに鳥取県では条例でそうした行為を禁止する動きが始まったが、全国的にはまだ対応が遅れている。画像の解像度やサイズを落としたり、背景にボカシを入れるという小さな工夫で、SNSがらみの犯罪へのリスクは減らせると、秋山さんは訴える。

その2■闇バイト犯罪に遭遇してしまったら

秋山さんによると、従来の空き巣犯は、単独犯が多かった。複数犯だと足がつきやすいため、指示役の手足のように動けるプロフェッショナル集団に限られていたのである。この点が昨今の闇バイト強盗と大きく差がある。闇バイトは犯罪の素人で、初対面の素人同士が集まって犯行に及ぶため、行動が粗雑なのである。

秋山さんが逮捕した闇バイトの犯人は、新型コロナウイルスにより会社を解雇され、無収入になった青年だった。SNSで仕事を探したところ、短時間高収入を歌うITの仕事の募集があり、応募すると相手は身分確認として運転免許証写真や両親の情報を求めてきた。青年は普通の会社だと信じて、個人情報を送ってしまったのである。

相手からはすぐに仕事があると告げられ5万円が振り込まれ、スーツや名札の用意を指示された上、警察官を語る偽IDが送られてきた。青年は犯罪と気づいたが、辞めたいと訴えると、相手は実家に放火すると脅してきた。

もし私達が、こうした素人が犯罪に参加する闇バイトによる強盗の被害に遭った時、秋山さんが最も重要だとアドバイスするのが「騒がないこと」。犯人の目的はあくまで金である。土下座して命が助かったケースも少なくない。お金はそこにあるから持って行け、命だけは助けてくれと、必死に命乞いをすべきだと、秋山さんはアドバイスしている。

その3■性犯罪が多い2つの場所での行動

性犯罪の温床になりやすい場所のひとつが、トイレである。特に公衆トイレは、子ども一人では行かせないこと。そして、どうしても子ども一人で行かざるを得ないときは、「できるだけ入口に近い個室を使わせて欲しい」と秋山さんは言う。「奥の個室だと、子どもが助けてと叫んでも、外に聞こえにくいけれど、入口に近いと、外に叫び声が聞こえることがある」と教えてくれた。

さらにもう一つ、犯罪の危険の多い場所がエレベーターだ。たとえ自分が住んでいるマンションでも、知らない人とは極力一緒に乗り合わせないこと。そしてエレベーター内では、行き先ボタンの近く、つまり操作ボタンのそばに立って、壁を背にしておくと安心だ。犯人は普通、背後から襲ってくるため、少しでも違和感を覚えたらすぐにボタンを押して、エレベーターから降りることができる。ぜひ習慣づけておきたい。

性犯罪では2人きりの部屋で、顔見知りの犯行によることが多い。例えば会社の上司と部下や、学校の先生と生徒など、被害者が「イヤ」と言えない関係で起きてしまう。

また性犯罪の不審者というと、サングラスをかけたり、マスクをするなど、外見から怪しいと思われるような格好をしていると予測されがちだが、秋山さんによると、本当に危ない不審者の見た目はごく普通だと言う。特に子供を狙う犯罪者は、一見すると優しそうなお兄さんだ。不審者の怪しさは外見ではなく、行動に出る。普通の見た目でも、不審な行動をする大人には注意するように、特に子ども達には教えておきたい。

秋山さんによると性被害に遭った時は、被害にあった現場の最寄りの警察署に駆け込むことを勧めている。刑事事件は「発生現場主義」で、事件の発生現場の最寄りの警察署が事件を担当するのが基本である。

また、被害者が女性で、女性警察官に話を聞いてほしい場合は、あらかじめ電話をしておくとよい。「何月何日に無理やり性交されました。〇〇という証拠があるので、できれば女性警察官に対応してもらいたいのです」と、話をしておくと、通じやすい。また、性交の証拠については、警察と提携している産婦人科医の医師も対応してくれる。

最後に、秋山さんは警視庁の防犯アプリ「Digi Police(デジポリス)」を教えてくれた。警視庁提供の無料アプリなので、犯罪発生情報などは都内が中心だが、痴漢撃退機能など、便利な防犯機能が使える。今回、秋山さんが紹介してくれた特殊詐欺の手口等、より具体的な防犯情報が詳しく紹介されている。新刊書と同時に、転ばぬ先の杖として、ぜひ利用したい。

秋山博康さん
元・徳島県警捜査第一課警部、通称「リーゼント刑事」。1979年徳島県警拝命。交番、機動隊を経て84年23歳の時刑事に初配属されると、殺人など凶悪犯罪の最前線の所轄刑事課を中心に31年間刑事として捜査を担当。「おい!小池」で有名な殺人指名手配小池事件に長らく携わった。21年3月定年退職し、現在は犯罪コメンテーターとしてメディア出演やYouTube配信、講演会活動を精力的に行っている。著書に「リーゼント刑事: 42年間の警察人生全記録」 (小学館新書)など。

文/柿川鮎子

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