
いまや社会課題にもなっている空き家問題。その課題は、空き家が対処されずに放置されてしまうと建物の劣化が進み、資産価値が下がって売却や賃貸などの利活用が難しくなってしまうことだ。
不動産の開発事業・リノベーション事業と空き家事業を展開し、空き家解決サービス『アキサポ』を運営しているジェクトワンは、空き家を所有しているか空き家を相続予定の合計1044名を対象に、空き家所有者の現状について「空き家所有者の実態と悩みに関する意識調査2025」を実施して結果を発表した。それによると空き家を持つ人の対応方法と実際の行動には、大きな差があることがわかったという。
調査対象者の所有状況について
約9割が空き家の対処についての意思決定に関与できると回答
空き家を所有しているか空き家を相続予定の人に、空き家の対処についての意思決定に関与できるか質問すると、「所有権を持っており、意思決定に関与できる」と「所有権を持っていないが、意思決定に関与できる」を合わせた「関与できる」と回答した人は87.7%だった。
所有権の有無に関わらず、空き家をどうするかの対処方法について意思決定に関与できる人は多いが、空き家が年々増加していることを踏まえると実際の行動には至っていない現状が想像できる。
空き家活用で思いつくのは「不動産会社に直接売却する」がトップ
空き家活用で思いつく対処法としては、「不動産会社に直接売却する」がもっとも多く、約4割(40.1%)という結果になった。2位以下は「住居用として賃貸する」(33.4%)、「自身や家族で維持・管理する」(25.1%)、「不動産会社に仲介してもらい売却する」(23.6%)、「リノベーションして、住居用として賃貸する」(22.8%)と続き、多くの人が何らかの形で売買や賃貸などを想定しているようだ。
だが1年以内に実際に行いたい対応を質問すると、「維持・管理を行わず、そのままにする」が33.3%で最多となった。次いで「自身や家族で維持・管理する」(30.6%)という消極的な対応も挙がった。複数回答ながら「不動産会社に直接売却する」は13.4%、「自身や家族で利用する[例 居住・倉庫]」は9.8%、「住居用として賃貸する」は9.1%だった。
「不動産会社への売却」は多くの人が一般的で現実的な対処法として認識しているが、実際に売却を検討している人は13.4%で、“思いつく対処法”と“実際の行動(予定)”との間には大きなギャップがありそうだ。賃貸などほかの選択肢についても同様で、行動に移す予定がある所有者は少数派だったという。
空き家の悩みは不用品の整理や撤去がトップ
現在所有しているか相続予定の空き家がある人に悩みについて質問すると、「不用品の整理・撤去ができていない」がもっとも多く約3割(33.1%)という結果になった。「売却や活用など何が一番いいのかがわからない」(29.8%)や「どのように活用すればよいか具体的なアイデアがない」(24.4%)など活用方法がわからないという回答が上位に挙がった。
空き家を売却・活用する時の制約については、「何から始めればよいかわからない」(44.9%)がもっとも多く、「残置物が多い、片付けられない」(44.1%)、「リフォ―ムや取り壊し費用を捻出できない」(34.1%)が続いた。不用品の処理の問題はもちろんだが、そもそも何をしたらよいかよいかわからないと回答する人も多く、知識がない空き家所有者が多いことも浮き彫りになった。今後、空き家問題は避けられない課題ともいえるので、空き家を持っている人や所有予定のある人は、早めにきちんと情報を集めて利活用する道を模索したほうがいいだろう。
「空き家所有者の実態と悩みに関する意識調査2025」概要
調査方法:インターネット調査
調査時期:2024年12月27日~2025年1月12日
回答者数:1044名(30歳~74歳の男女)
調査地域:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、静岡県、愛知県、福岡県
対象者:調査地域にて、空き家(賃貸用、売却用、二次的住宅ではなく、かつ最寄り駅より徒歩30分圏内)を所有している、あるいは相続予定の人
https://www.akisapo.jp/
https://www.akisapo.jp/news/release/26011/
構成/KUMU