
2025年の夏は、例年以上の酷暑と物価高が重なり、冷房による光熱費の増加や食費・日用品の値上がりによって多くの人が日常的な支出を見直す機会が多くなりそうだ。
転職サービス『doda』などを提供するパーソルキャリアが運営する調査機関『Job総研』は、544人の社会人男女を対象に今夏の出費予定や外出計画、夏の物価高・暑さ対策への出費などについて「2025年 夏の出費実態調査」を実施してその結果を発表した。
レジャーや帰省など夏特有の出費機会が多く、日常生活と余暇にかける出費のバランスの取り方が難しい時期だけに、社会人の夏の出費への意識や出費スタイルがどのように変化しているか気になるポイントに注目していこう。
86.0%が例年と比較して今夏出費が増えると回答
回答者全体の544人に例年と比較して今夏の出費について質問すると、「増える派」が86.0%で多数派になった。その内訳は「とても増える」が12.9%、「増える」が25.7%、「どちらかといえば増える」が47.4%だった。出費が増えると回答した468人に項目を質問すると「光熱費」が59.6%で最多だった。2位以下は、「食費」が57.5%、「物価高による生活費全般」が39.5%と続いた。
65.4%がレジャーや外出の予定を変更・予算を抑えると回答
回答者全体の544人に今夏の出費への印象を質問すると、「厳しく感じる派」が79.2%で多数派だった。内訳は「とても厳しく感じる」が26.8%、「厳しく感じる」が22.1%、「どちらかといえば厳しく感じる」が30.3%という結果になった。「今夏の生活費が厳しく感じる派」の年収別では、「1001万円以上」(84.1%)が最多で、次いで「701万~1000万円以下」が83.6%、「301万~500万円以下」が77.4%、「501万~700万円以下」が76.7%だった。
今夏のレジャー・外出費用の平均額は5万円
回答者全体の544人に今夏のレジャーや外出の計画を質問すると、「予定を変更・予算を抑える派」が65.4%で多数派となった。内訳は「予算を抑えて実施予定」が25.1%、「行き先・回数を減らす予定」が12.3%、「実施しない予定」が12.7%、「お金をかけず自宅中心で過ごす予定」が15.3%だった。今夏のレジャーや外出の費用については、平均額が5.0万円で中央値が3.0万円、最頻値が2.0万円という結果になった。
猛暑で節約やお得感のある消費行動が人気に
回答者全体の544人に物価高による夏の消費行動の変化について質問すると「特売や安いものを選ぶように」が53.1%で最多だった。ほかには「ポイント・値引きを重視」(43.4%)や「外食を減らし自炊中心に」(33.6%)という回答が目立った。夏の出費・物価高への対策については、トップは「冷房の使用時間・温度の調整」(39.3%)だったが、2位以下は「ポイント・クーポンの活用」(38.4%)や「セールを狙う」(29.6%)などお買い得感を感じる対策が挙がった。
猛暑の暑さ対策は外出先での飲料購入や電気代を気にしないこと
回答者全体の544人に猛暑による夏の消費行動の変化について質問すると、「冷房機器の使用時間が増加」が58.1%で最多だった。ほかには「自宅で過ごす時間が増加」(40.3%)や「涼しい時間に外出するように」(34.0%)などが上位の回答だった。暑さ対策への出費については、「外出先での飲料・冷菓の購入」(33.8%)が最多で、「電気代を気にせず快適さを重視」(32.9%)や「冷感グッズの購入」(32.0%)などが上位で、暑さ対策の出費はしょうがないと考えている人が多いようだ。
猛暑で光熱費や食費の出費は増えるが暑さ対策は出し惜しみせず?!
「2025年夏の出費実態調査」の回答者は、8割が今夏の出費は例年よりも増えて、特に光熱費・食費など生活費の負担感が高まると感じているようだ。生活の基礎を支える支出に物価高の影響が色濃く表れており、生活に余裕があると思われる年収1000万円層でも物価高による家計の厳しさを感じているようだが、これは生活水準が高く支出額も大きいため、光熱費や食費の上昇が直撃していることや公的支援も受けにくい“制度の隙間”などが理由として考えられるだろう。
夏のレジャーや外出では、6割が計画の「予定を変更・抑える」としていることから“節約型レジャー”が主流と思われるが、外出費用の中央値が3万円なので今夏は外出を控える「自宅回帰」の傾向も強まりそうだ。一方で“暑さを我慢しないための出費”には一定の需要があり、快適さを重視する傾向も見られるので、今夏は節約一辺倒ではなく「守る支出」と「削る支出」のバランスを見直す“選択的支出”を考えていく人が多そうだ。
調査対象者:現在就業中のJobQ Town(ジョブキュータウン)登録者
調査条件:全国/男女/20代~50代
調査期間:2025年6月4日~2025年6月11日
有効回答数:544人
調査方法:インターネット調査
https://jobsoken.jp/info/20250630/
構成/KUMU