
夏は昆虫採集の季節! 子供との思い出づくりに欠かせないイベントだが、そもそも「どこにどんな虫がいるかわからない」「正しい虫のとり方がわからない」「ルールやマナーがわからない」……人も多いはずだ。そんな人におすすめなのが『昆虫博士・牧田 習の虫とり完全攻略本』だ。
世の中に昆虫図鑑は山ほど出版されているが、「昆虫採集」のテクニックに特化したものはほとんどない。本書では、基本道具はもちろん、「花」「樹木」「朽ち木&倒木」「草むら」「葉っぱ」「落ち葉」「外灯」「泥地」「池」「川」、さらに「ふん」! といった主にピンポイントなスポット別の虫とりテクニックやコツを中心に解説しているのだ。
おもしろいのは、著者である昆虫博士・牧田 習が子供に伝えやすいよう付けたテクニックの呼び方。

●花や草などにとまっているチョウなどを確実に捕まえる「上からあみスポッ」
●枝や葉ややぶを棒でたたく「枝葉ビーティング」
●池や沼の中で水生昆虫を探す「川の流れに虫をまかせ♪」
必殺ワザのような名称なので、子供にも「〝上からあみスポッ〟してみよう!」と伝えやすいのだ。こうした10のテクニックを基本としつつ、スポット別にさらに高度なワザも紹介。下にあるように虫あみを無闇に振ればいいわけではなく、時にはしっかり観察し、時には状況やスポットによって道具を使い分ける必要があることがよくわかる。


もちろん、スポット別の「虫カタログ」も用意。単なる生態の解説ではなく、たとえば「ルリマルノミハムシ」なら、「暗い青色の体を持つハムシの一種。後ろ脚が発達しており、危険を感じると、ジャンプして逃げてしまいます。」と、虫とり時に注意すべき特徴もレクチャー。また虫が集まりやすい植物も写真付きで解説している。

子供だけでは難しいけれど、親子で一緒にチャレンジしてみたくなる「トラップのしかけ方」も掲載。「フルーツトラップ」「落とし穴」「バタフライトラップ」「衝突板」などなど。それらを作るための材料と作り方、そしてしかけ方までを順に解説しているので、誰でもすぐに楽しめるはずだ。

採集後も楽しめる「飼育」テクニックも指南。あえて文章は少なくし、ビジュアルを中心に飼育に必要な材料とセットの仕方を解説しているので、初めて昆虫を飼育する人でも用意できるはずだ。

「完全攻略本」と銘打った本書を教科書にすれば、子供と一緒に昆虫採集をより楽しめる。 いや……密かに読み込んで子供に虫取りワザを教えるとお父さんの株が上がるかも!?

著/牧田 習
博士(農学)。1996年、兵庫県宝塚市出身。2020年に北海道大学理学部を卒業。同年、東京大学大学院農学科学生命 研究科 に入学し、2025年3月に同大学院博士課程を修了。これまで14か国を訪れ、9種の新種を発見している。『趣味の園芸やさいの時間』(NHK)、『猫のひたいほどワイド』(テレビ神奈川)にレギュラー出演するなど、テレビやラジオ、雑誌で活躍。昆虫をテーマにしたイベントにも多数登壇している。
書籍情報
『昆虫博士・牧田習の虫とり完全攻略本』

著者:牧田 習
定価:1,210円(本体1,100円+税)
体裁:新書判 / 128ページ / 4C刷
発行:小学館
https://www.shogakukan.co.jp/books/09227443
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●本書の構成・目次
・はじめに&この本の使い方かた
・虫むしとり道具 のきほん装備
・虫むしとりのきほんワザ10
・正しい昆虫の持もち方かた
【採集編】
花に集まる虫をとろう!
樹木に集まる虫をとろう!
倒木&朽ち木に集まる虫をとろう!
草むらに集まる虫をとろう!
葉っぱに集まる虫をとろう!
落ち葉に集まる虫をとろう!
吹き上げ採集って何?
ふんに集まる虫をとろう!
外灯に集まる虫をとろう!
泥地に暮らす虫をとろう!
池に暮らす虫をとろう!
川に暮らす虫をとろう!
トンボをとろう!
【トラップ編】
フルーツトラップのしかけ方
バタフライトラップのしかけ方
衝突板のしかけ方
落とし穴のしかけ方
腐肉トラップのしかけ方
ライトトラップのしかけ方
【飼育編】
カブトムシの飼い方
クワガタムシの飼い方
オサムシの飼い方
スズムシの飼い方
コガタノゲンゴロウの飼い方
ヤゴの飼い方
【コラム】
危険生物図鑑
昆虫標本の作り方
文/寺田剛治 撮影/土橋位広