
移住希望地として根強い人気を集める沖縄県は、2025年7月に本島北部に話題のテーマパーク「ジャングリア沖縄」が開業し、その関連施設も含めた従業員雇用に伴う賃貸住宅ニーズの広がりにも注目が集まっている。そこで不動産情報サービスのアットホームは、沖縄本島を北部・中部・南部の3エリアに分けて、それぞれのエリアの家賃動向を2022年と2024年(各1月から12月)で比較した「沖縄県の家賃動向調査」を実施して、その結果を発表した。調査・分析を担当したアットホームラボの磐前淳子さんによる解説も合わせてデータを紹介しよう。
家賃は全エリアですべての面積帯で上昇

家賃については、マンションとアパートともに本島北部・中部・南部のいずれのエリアもすべての面積帯で上昇しているという。特に北部は、シングル向きマンションがプラス43.1%と大幅に上昇し、3エリアでもっとも高い上昇率を記録している。磐前氏も「「ジャングリア」開業を間近に控える北部では、従業員の住宅需要が顕在化し、シングル向きマンションを中心に家賃が大幅に上昇しました。移住先として人気の中部でもアパート家賃の上昇率が目立ちます」と解説。全体的に家賃は上昇傾向にあるといえるだろう。
上昇率はマンションのカップル向きを除いて北部・中部が上回る

家賃水準がもっとも高いのは南部だが、上昇率ではマンションのカップル向き物件を除けば、すべての面積帯で北部・中部が上回る結果となった。磐前氏も「家賃水準がもっとも高いのは南部(那覇市など)ですが、北部・中部の上昇幅が大きく、エリア間のバランスにも変化が見られます」と分析している。
北部・中部では駐車場付きマンションの割合が高水準に




北部・中部では駐車場付きマンションの割合が高く、特にカップル・ファミリー向きの物件の駐車場付帯率は90%超という数字になっている。磐前氏は、「鉄道がない北部・中部では車移動が主流のため、賃貸物件には駐車場が「標準装備」となっており、生活インフラの一部といえます。その一方で慢性的な渋滞は課題との声もあります。「ジャングリア」開業を機に北部の人流増加の期待が高まる中、地元不動産会社からは住宅の供給不足も指摘されています」とコメントしている。
テーマパーク開業で人の流れが活性化して、さらに家賃の上昇傾向は続きそうだ。観光だけでなく、移住希望地としても人気のあるエリアだけに今後の家賃の動向も要注目だ。
出典:アットホーム調べ
構成/KUMU