
中高年になってくると日常生活でさまざまな体力の衰えを感じてくる。特に夏場は、暑さで自分の体力的な衰えをリアルに感じることも増えるはずだ。健康総合企業のタニタは、ネットエイジアの調査協力を受けて『中高年の体力低下に関する意識・実態調査2025』を実施し、中高年が感じる運動機能に関する意識や「フレイル」という言葉についてなどさまざまな角度で調査し、その結果を発表した。この調査では、まだまだ運動能力に自信がある中高年がいる一方で、運動機能の低下で懸念している日常生活の行動などが浮き彫りになった。
中高年の45.1%が運動機能にまだまだ自信ありと回答

全国の40歳以上の男女1000名に自分の運動機能についてどのくらい自信があるか質問すると、「非常に自信がある」が9.8%、「やや自信がある」が35.3%だった。非常に自信がある中高年は約1割ながら、45.1%は自信があると回答している。一方で「全く自信がない」(13.0%)と「あまり自信がない」(41.9%)を合わせると「自信がない」と回答したのは54.9%だった。男女別では、男性は「自信がある」(51.0%)、女性は「自信がない」(60.8%)が多数だった。年齢別では、自信があると回答した人の割合は、40代(38.0%)、50代(39.5%)と比較して、60代(48.5%)、70代(55.0%)、80代以上(44.5%)が高くなっているという。
ちなみに自分の運動機能低下の状況については、「立ってズボンや靴下を履く際にバランスを崩すことがある」と4割強が回答し、「歩いていてつまずきそうになる、またはつまずくことがある」についても約4割もいた。運動機能低下を実感している人が対策をしているかについては、対策実施率は「立ってズボンや靴下を履く際にバランスを崩す」ことがある人の6割半、「階段の昇り降りでつまずきそうになる、またはつまずく」ことがある人の7割が「対策を行っている」と回答していたという。具体的な対策の内容では、「立ってズボンや靴下を履く時にバランスを崩す」ことに対する対策では、1位「座って履く」、2位「何かにつかまる・支えを利用する」、3位「体操・ストレッチをする」という結果だった。
年代が上がると認知率が上がる「フレイル」

加齢によって心身の活力が低下するとともに、社会的なつながりが薄れている状態を「フレイル」と呼び、健康な状態と要介護状態の中間の段階とされている。全回答者1000名に「フレイル」という言葉を知っているか質問すると、「内容まで知っている」(23.1%)と「聞いたことはあるが、内容は知らない」(33.4%)を合わせると半数以上は「フレイル」という言葉を認知していた。男女別の認知率では、男性51.0%、女性62.0%で女性の方が11.0ポイント高かった。年代別では、年代が上がるほど認知率が高くなる傾向が見られ、40代(35.5%)と80代以上(70.5%)では35.0ポイントの差があった。
14%が職場での転倒経験があると回答

就業者499名に職場での転倒の有無を質問すると、「ある」は14.0%、「ない」は86.0%だった。仕事をしている場所別では、「ある」と回答した人の割合は、工場(20.5%)、そのほかの作業現場(屋外)(28.6%)、自宅(ホームオフィスなど)(25.0%)が2割以上で、オフィス(5.0%)と比較すると15ポイント以上も高かった。職場で転倒した人を見聞きしたことがあるかという質問では、「ある」は29.9%、「ない」は70.1%だった。仕事をしている場所別では、「ある」と回答した人では、工場(45.5%)、病院・介護施設(42.9%)、そのほかの作業現場(屋外)(42.9%)が4割を超えており、立ち仕事が多い仕事場では転倒した経験のある人や転倒を見聞きしたことがある人が多かった。
運動機能が低下すると移動のための動作が不安に

運動機能が低下すると生活にどのような変化が生じるかも気になるところ。全回答者1000名に運動機能が衰えるとマイナスの影響が出ると思う日常生活での行動について質問すると、「階段の昇り降り」(57.8%)と「歩行」(51.5%)が半数以上を占めた。運動機能が低下すると階段の利用や歩くといった、移動のために必要な動作が困難になると懸念する人が多いようだ。次いで「起居動作(立ち上がる、座る、起き上がるなど)」(46.4%)、「入浴」(34.1%)、「車の運転」(31.7%)が高かった。男女別では、「階段の昇り降り」(男性52.6%、女性63.0%)と「入浴」(男性27.6%、女性40.6%)と「掃除・洗濯」(男性22.4%、女性36.8%)は、男性と比較して女性の方が10ポイント以上高かった。年代別では、80代以上では「歩行」(60.5%)、「起居動作(立ち上がる、座る、起き上がるなど)」(52.0%)、「自転車の運転」(34.5%)が、全体と比較して5ポイント以上高いことがわかった。運動機能の低下は、日常生活の基本動作に直結すると考える人が多いようだ。
67.3%が将来的には運転免許の返納を考えている

高齢による運転免許の返納についても気になるポイントだろう。自動車運転免許を持っている770名に、将来的に運転免許を返納しようと思うかについて質問すると、「返納しようと思う」は67.3%だった。男女・年代別では、将来的に運転免許を返納しようと思う人の割合は、いずれの年代においても男性より女性の方が高く、60代女性(81.2%)と70代女性(87.5%)では8割以上が返納を考えていると回答したという。大切な移動手段である自動車だが、女性の多くは将来的な運転免許返納を考えているようだ。
イキイキしている芸能人は明石家さんまと草笛光子

全回答者1000名に年齢を重ねてもイキイキしていると思う芸能人について質問すると、男性芸能人では1位「明石家さんま」(88名)、2位「郷ひろみ」(61名)、3位「高橋英樹」(55名)という結果になった。回答した理由では、1位の「明石家さんま」は「頭が切れるし、スリムでスタイルも若い頃から変わらないから」や「トークがずっと衰えないから」、2位の「郷ひろみ」は「見た目もパフォーマンスも衰えていないから」や「踊りが素晴らしいから」、3位の「高橋英樹」は「気持ちが前向きな感じがするから」や「いつまでも若々しく活動的だから」といった回答があった。
女性芸能人では、1位「草笛光子」(112名)、2位「吉永小百合」(106名)、3位「黒柳徹子」(62名)だった。回答した理由では、1位の「草笛光子」は「実年齢よりはるかにお若く、美しく健康そうだから」や「舞台や映画で活躍しているから」、2位の「吉永小百合」は「いつまでも綺麗で生き生きとしているから」や「歳の重ね方が上品だから」、3位の「黒柳徹子」では「年齢を感じさせないおしゃべりができるから」や「お洒落で頭の回転も良さそうだから」といった回答があった。
ランキングに入った芸能人は、いずれも年齢を感じさせない活躍をしている人たち。こういったイキイキした芸能人たちのような老後を過ごしたいと思っている人も多いはずだ。
「中高年の体力低下に関する意識・実態調査2025」概要
・調査対象:ネットエイジアリサーチのインターネットモニター会員を母集団とする全国の40歳以上の男女
・調査期間:2025年4月3日~2025年4月6日
・調査方法:インターネット調査
・調査地域:全国
・有効回答数:1000サンプル
・実施機関:ネットエイジア
出典:『タニタ調べ』
構成/KUMU