
ウェザーニューズは、突発的かつ局地的に激しい雨や落雷をもたらす「ゲリラ雷雨」(※1)に対し、事前対策への意識を高め被害軽減につなげることを目的に「ゲリラ雷雨傾向2025」を発表した。
※1 「局地的大雨」を指す言葉として「ゲリラ雷雨」という言葉を使用しています。一般あるいはメディアでよく使用されている「ゲリラ豪雨」と同義です。
同社では7〜9月のゲリラ雷雨は、全国でおよそ7万8000回発生すると予想。昨年や過去5年平均と比べて概ね同程度となり、発生のピークは8月中旬となる見込みだという。
本稿では同社発表リリースをベースに、その概要をお伝えする。
ゲリラ雷雨発生傾向2025
■発生回数:全国の総発生回数は約7.8万回

2025年7~9月のゲリラ雷雨は、全国でおよそ7万8000回発生すると予想される(図1)。およそ7万9000回発生した昨年と比較すると概ね同程度の発生回数となり、過去5年平均と比べてもほぼ同程度となる見込みだ。
地域別では北海道は5800回前後、東京都は1100回前後、愛知県は1500回前後、大阪府は450回前後となる見込み。
雨雲の発生は山沿いがメインとなりそうだ。しかし平野部(都市部)へも雨雲が流れ込んだり、直上で発生したりする場合もある。ゲリラ雷雨による短時間の激しい雨で、道路の冠水や河川の浸水、落雷による停電や交通機関が麻痺するなど、様々な影響や被害が懸念される。


■発生時期:発生ピークは8月中旬

ゲリラ雷雨は、日中の気温上昇や上空の寒気、下層に湿った空気が流れ込むことで、大気の状態が不安定となり発生する現象だ。今シーズンのゲリラ雷雨は、8月中旬が発生のピークとなる予想が出ている。
7月後半から8月上旬にかけて、日本付近は太平洋高気圧とチベット高気圧に覆われて晴れる日が多くなる予想だ。この時期は高気圧の勢力が強いため、雨雲の発生が抑えられる日が多いものの、気温が平年よりも高くなることで大気の状態が不安定となり、ゲリラ雷雨が発生する日がある。
特に8月中旬は一時的に高気圧の勢力が弱まり、湿った空気や上空の寒気が流れ込みやすくなります。このため各地でゲリラ雷雨が起きやすくなる見込みだ。
9月もゲリラ雷雨が発生する予想ですが、北日本を中心に秋雨前線の影響を受けるため、広域での雨に変わっていく見込み。これにより、突発的かつ局地的なゲリラ雷雨の発生は徐々に減少していき、ゲリラ雷雨のシーズンも終息に向かうと考えられる。
要因:湿った空気と上空の寒気の影響で発生するパターン

今シーズンは、太平洋高気圧とチベット高気圧に覆われる期間が長い予想。高気圧の勢力が強く広範囲でのゲリラ雷雨の発生が抑えられる日があるものの、晴れて気温が上がるため大気の状態は不安定になる。
このため、局地的に積乱雲が発生・発達する見込みだ。特に8月中旬には高気圧の勢力が弱まり、湿った空気の流れ込みや上空の寒気の影響を受けるため、このタイミングで全国的にゲリラ雷雨が発生しやすくなるとみている(図5)。
エリア別のゲリラ雷雨傾向
■北日本
北日本のゲリラ雷雨の総発生回数は、約1万7000回の予想。約1万8000回発生した昨年と比べると、およそ0.9倍で、昨年とほぼ同程度の発生となり、発生のピークは8月中旬の見込みだ。
高気圧に覆われて雨雲の発生や発達が抑えられる日もあるが、日中の昇温などの影響で大気の状態が不安定となるため、ゲリラ雷雨としては山沿いを中心に発生する見込み。
7月中旬までは東北に梅雨前線が停滞し、本格的なゲリラ雷雨の季節は7月下旬からになるとみている。8月は気温が上昇し、平年よりも気温は高くなるため、大気の状態が不安定となり、ゲリラ雷雨の発生回数は増加傾向となりそうだ。9月は低気圧や前線の影響を受ける日が増加し、ゲリラ雷雨というよりも広域の雨となる日が増える予想となっている。

■東日本
東日本のゲリラ雷雨の総発生回数は、約2万7000回の予想だ。約2万6000回発生した昨年と比べると、ほぼ同程度の発生回数になると考えられる。発生のピークは8月中旬の見込みだ。
主要地域の発生数も昨年と同程度の発生回数となり、東京都の発生回数は1100回前後、愛知県は1500回前後となる予想となっている。
7月中旬にかけて梅雨前線の影響を受けるため、本格的なゲリラ雷雨の季節は7月下旬からとなる見込みだ。8月は高気圧に覆われて雨雲の発達が抑えられる日もあるが、気温が平年よりも高く、暖かく湿った空気や上空の寒気の影響を受けて大気の状態が不安定になるとみている。
特に8月中旬は高気圧が勢力を弱めるため、お盆の時期は天気の急変に十分注意したい。9月になると低気圧や前線の影響を受ける日が増えて、ゲリラ雷雨というよりも広域の雨となる日が増える予想だ。

■西日本
西日本のゲリラ雷雨の総発生回数は、約3万回の予想。約2万7000回発生した昨年と比べると、およそ1.1倍で概ね同程度の発生回数となる見込みだ。発生のピークは8月中旬と予想される。
主要地域の発生数も昨年と同程度の発生回数となり、大阪府の発生回数は450回前後とみている。西日本で最も多いのは鹿児島県で3200回前後の予想だ。
6月27日に梅雨明けをした西日本は、6月終わりから本格的なゲリラ雷雨の季節になった。7月、8月は高気圧に覆われて雨雲の発達が抑えられる日もあるが、気温が平年よりも高く、暖かく湿った空気や上空の寒気の影響を受けて大気の状態が不安定になる見込み。
特に8月中旬は高気圧が勢力を弱めるため、お盆時期は天気の急変に十分注意したい。
9月も湿った空気などの影響で中旬に再びゲリラ雷雨が発生しやすくなる。ただ、徐々に低気圧や前線の影響を受ける日が増えて、ゲリラ雷雨というよりも広域の雨となる日が増える予想だ。

関連情報
https://jp.weathernews.com/news/52925/
構成/清水眞希