
日本各地で「大人の本気の運動会」が勃発している。子どもの遊びが競技化や大会化され、大人が全力でチャレンジする流れが生まれているのだ。
なかでもとりわけ注目を集めるのが「かくれんぼ」。
幼い頃に誰もが遊んだかくれんぼに公式ルールが制定され、会場によっては300人が闘うビッグイベントと化しているという。
火付け役となった日本かくれんぼ協会の高山さんにお話をうかがった。
大人が本気で挑む運動会が全国で勃発
今、「大人の本気の運動会」がアチい。マイナースポーツや、スポーツと呼ぶべきか判断に苦しむ体力ゲームを大人たちが汗を流して全力で挑む。その波が日本中に広がり、耳なじみのないジャパンカップが各地で勃発しているのだ。

たとえば的に斧を投げつける「アックススローイング」。樹木に向かって斧を投げるカナダの遊びが発展したとされるアックススローイングは、日本各地でリーグ戦が行われ、2025年12月14日(日)には東京浅草で斧投げ日本一決定戦が開催される。

また、一時期“生涯スポーツの代名詞”と呼ばれた「ピックルボール」もシニア層に人気再燃。コートが狭めで場所を取らず、ラケットも軽く、穴あきプラスチックボールを使用するため体力や経験に関係なく楽しめるのが特徴だ。
2023年には約2,000人だったプレイヤーが、なんとわずか2年で約15,000人(推定)と大幅に増え、全国で試合が繰り広げられている。
サッカー場に300人が集結した「貸切かくれんぼ」
このように「いつのまに?」と驚きの盛り上がりを見せる競技の数々。なかでも本格的にブームとなっているのが「かくれんぼ」。
かくれんぼと聞いて、「懐かしいな~」「もーいーかい、まーだだよ~って言いながら遊んだな」「そして『晩ごはんだよ。いつまでも遊んでないで早く帰っておいで』って母ちゃんに怒られるんだよ」と懐古と郷愁にふける御仁もおられるだろう。
そんなレトロ呼ばわりされるケースが多いかくれんぼだが、実は令和の今、隠しようがないほど盛り上がっているのをご存じだろうか。
バラエティ番組『新しいカギ』の企画「学校かくれんぼ」が2025年5月にドイツ国際映像祭『ワールド・メディア・フェスティバル2025』にて「子供と若者・オープン」部門で銀賞を受賞するなど、かくれんぼがティーンエイジャーの間で話題となっていることは報じられてきた。
しかし、現今のかくれんぼブームはそれとは別の流れがあり、なんと成人層に訴求しているという。
6月14日(土)に神奈川・川崎「とどろきスタジアム」を使用した「貸切かくれんぼ」では、人気YouTuberユニットのジャスティスターを鬼に迎え、なんと300人が参加する大盛況イベントとなった。しかも参加したプレイヤーの多くは成人だ。

100人ごと3回に分けて開催された「貸切かくれんぼ」は、試合のフィールドのみならず、選手控室・シャワールーム・VIPルーム・実況中継をするアナウンス室など施設屋内も解放。
川崎フロンターレの本拠地であり、普段は立ち入り禁止な場所に合法的には入れるとあってJリーグファンにとってもたまらない1日となった。
小柄な日本人男性がかくれんぼ世界大会で大活躍
それにしても、かくれんぼをするために300人が集まるのはすごい。
「日本をかくれんぼ大国にする。それが日本かくれんぼ協会のミッションです」
そう語るのは一般社団法人 日本かくれんぼ協会(東京都渋谷区)代表理事長をつとめる高山勝さん(32歳)。
かくれんぼを専業とする、おそらく日本で唯一の“プロかくれんぼ二スト”だ。

そんな高山さんが、かくれんぼに世界大会があるのを知ったのは2016年。
「私は身長が162センチと小柄で、視力が2.0あるんです。そんな自分の身体能力を活かせる場所はないものかと調べているうちに、世界かくれんぼ協会があって、さまざまな国で競技を開催していると知りました。『これだ!』と」
かくれんぼはヨーロッパではスポンサーがついているプロチームもあるほど人気競技だった。そういった背景を知った高山さんは、わざわざ自衛隊員のもとへ隠れる技術や探査技術を教わりにいき、友人とチームを結成。
2017年、かくれんぼ日本代表として、イタリアで開催された世界選手権大会に出場した。結果、日本から初出場にして、40か国80チーム中9位という好成績をおさめたのだ。


そうしてすっかりかくれんぼの虜になった高山さんは帰国後に世界かくれんぼ協会と連携を取り、2019年4月、日本での公的な機関を設立したのだ。