
モデル・女優・歌手・タレントとして活躍する土屋アンナさんの母で、アンナさんが所属する事務所でマネジメントを担当する土屋眞弓さんは2024年6月、ステージIVの膵臓がんで余命1年~1年半と診断された。
「死ぬつもりはまったくない」という土屋さんだが、「もしもの事態になったらのんびりしていられないぞ」と思うようになり、書籍『人生、あれかこれか』を書くことにしたという。
着物と書道がライフワークで、22歳のときにアメリカ人と結婚、2人の娘の母となり、その後離婚、子育てをしながら会社を立ち上げて娘の活動をバックアップするなど、これまでの人生と病気との向き合い方を綴った本書を、四つの視点から紐解いていく。第四の視点は「娘・土屋アンナ」だ。
母娘の立場が逆転した瞬間

本書の掉尾には「あとがきにかえて 母のこと~土屋アンナ」と題した文章が収められている。土屋眞弓さんの娘である土屋アンナさんへのインタビューをまとめたものだ。
母親のがん罹患について、聞く前から「わかっていた」というアンナさんだが、「膵臓がんステージIV」は想像していたよりも悪いことで、電話で土屋さんからがんを告げられた際は「マジか」と言うのが精一杯だったという。そこからアンナさんなりのサポートが始まる。それは、今までは母親から守ってもらっていたけれど、これからは守っていくんだという「逆転した瞬間」だったと書いている。
どう母親のことを見守っていくのか、自分なりに考えて行動するアンナさんだが、母親のことを聞かれ「いやもうホントにムカつくんですよね!」「まあ向こうもそう思ってると思うけど」と正直な気持ちをぶっちゃけ、そのすぐ後で「ママはいい意味でとてつもなく愛情の深い人」と言えるなど、心の深い所での強い母娘の結びつきがあることがわかる。だからこそ、今後のことを聞かれて思わず涙する場面もある。4人の子供の母であるアンナさんは自分の立場にも重ね合わせ、いろいろと考えているのだろう。
母親の視点と娘の視点
『人生、あれかこれか』は「あとがき」が娘からの視点になっているところが肝である。
例えばアンナさんがモデルになりたいと言った際、眞弓さんは「勘違いしちゃダメだよ。みんなからチヤホヤされても、それが当たり前だと思っちゃいけないからね?」と言っているが、その真意はアンナさんのあとがきを読むとわかる。
アンナさんは3歳頃に子供モデルをやっていて、そのときに眞弓さんが感じたことがこの発言につながっているのだ。眞弓さんの半生を読み終え、あとがきでアンナさんからの視点を知ることで、エピソードが立体的に立ち上がってくるのだ。
その他にもマネージャーとモデルという視点の違い、母と娘という立場の違い、子供の時に見ていた母親と、大人になって、そして実際に子供を生んでから見る母親の姿がどう変化してきたのか、そして今思うことなどがストレートに書かれており、アンナさんの母親に対する熱い思いが伝わってくる。
2004年に公開された、深田恭子さんとW主演した映画『下妻物語』で、アンナさんが演じたヤンキーの白百合イチゴは、所属していた暴走族でケジメをつけろと言われて「自分捨てなきゃ大人になれねぇんだったら、あたいはガキのまんまでいっすよ!」と啖呵を切っていたが、イチゴと同じように子供の頃から持っているピュアな部分はそのままに、いろいろとぶつかり合いながらも、母親である土屋さんの人生を応援する素敵な大人の女性に成長されたんだな、と感慨深いものがあった。そして病気と戦っている母親への思い、最後の「難しいけど、頑張る!」という言葉に、アンナさんの強さと愛を感じた。
※土屋アンナさんのインタビューの様子は、一部動画で見ることができる。
撮影・田中麻以、文・古田周擴
書籍情報
2025年6月1日放送の『おしゃれクリップ』(日本テレビ系)でも話題となった、モデル・歌手である土屋アンナさんの母・土屋眞弓さん。優しく強いその生き方と、これまでの波乱万丈の人生について綴った書籍『人生、あれかこれか』。あとがきにかえて、娘・アンナさんのロングインタビューも掲載!

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『人生、あれかこれか』
著者:土屋眞弓
定価:1,650円(税込)
体裁:四六判 / 192ページ / 1C刷
発行:小学館
発売日:2025年5月23日
ISBN:9784093898065
https://www.shogakukan.co.jp/books/09389806
土屋アンナさんの母・土屋眞弓さんの波乱の人生を綴ったエッセイ本「人生、あれかこれか」発売
株式会社小学館は、2025年5月23日(金) に書籍『人生、あれかこれか』を刊行します。著者は、ファッションモデル、歌手、俳優として活躍する土屋アンナさんの母親…