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ストロングハイブリッドを採用したスバルの新型「フォレスター」の進化を検証

2025.07.02

フルモデルチェンジをはたしたスバルのSUV「フォレスター」に先日、一般道と高速道路と採石場跡地の未舗装路で試乗した。運転したのは、1.8L4気筒エンジン版の「SPORT EX」(税込み・445万5000円)とストロングハイブリッド版の「Premium S:HEV EX」(税込み・521万4000円)だ。ちなみに、この2台のように車名に「X」の文字が含まれているグレードにはスバル独自の運転支援機能「アイサイトX」が標準で装備されている。それ以外は、15万円のオプションとして装着可能となる。

機械として優れているか? ★★★★☆ 4.5(★5つが満点)

 ボディーのサイズ感は変わらないが、新型の外観はシンプルだった旧型よりやや複雑に見える。具体的には、何本もの横バーで装飾されたフロントグリルや4輪を強調して見せているボディーのプレスと樹脂パーツなどだ。内装も様々な素材や色、加工などが施されていて賑やか。太いシフトレバーや多くのボタン類などが残っていて、現代の最新トレンドには合致していない。

 センターディスプレイが大きいのは、他車に先掛けて、ずいぶん前の他のスバルから始まった。ディスプレイは大きいが、表示される画面の面積が大きなわけではない。ユニットは大きいのだが、外側のフレーム部分も大きいのだ。画面内にもタッチスイッチが表示され、目的の機能に辿り着くために何度もタッチを求められる。機能と情報を整理し、階層に収めて整理整頓を行なって、ドライバーが必要に応じて設定し直して使えるような他社の新型車のようなインターフェースが望ましい。センターディスプレイの大型化は他車に先駆けたが、使いやすいインターフェースに関して他車は先に進んでしまっている。

 音声入力も、指定したコマンドを先に喋る必要のある古いタイプ。何度も言い方を替えてながら空調やカーナビ、ラジオや音楽再生などの操作を試みたが、成功したのは一度だけだった。1.8Lエンジンは何の電動化も施されていないが、パワーは十分。高速道路の登り勾配での追い越しなどでも、不満は全く感じなかった。

 もう一方のストロングハイブリッドモデル「Premium S:HEV EX」は、パワーに加えて滑らかな加速感が特徴だ。これで実用的な燃費も優れているというのだから言うことはないだろう。コーナーとアップダウンが連続する山道では、どちらも俊敏かつ快適に走った。高めの着座位置でありながらも、コーナーでの切り返しの際の揺れ戻しなどを感じることもなく、安定して駆け抜けていった。

 ここからはひとつの例え話として読んでもらいたいのだが、峠道を走っている時に、撮影するのに良さそうなポイントを脇道を見つけた。そこに「フォレスター」を乗り入れるためには、どこかでUターンして戻ってこなければならない。1車線の対面通行がずっと続き、ようやく見つけた空き地でUターンして先ほどの脇道へ戻ろうとした。その間は2km前後ぐらいだろうか。幸い、他のクルマは走っていなかったので、可能な限りハイペースで運転した。脇道に早く戻って撮影し、また峠道に戻ってこなければならない。少しの緊張感を伴いながら集中して走ったのだが、その時の一体感の高まりがそれまでと明らかに違っていた。知覚が研ぎ澄まされ、自分のカラダの延長線上にあるかのように「フォレスター」は走ってくれた。

 まあ、新緑の眩しさによる多分に錯覚の入り混じった話なのだけれども、今でも忘れられない。不思議なことに、脇道にフォレスターを停めて撮影し、元の峠道に戻った時にその感覚は残っていなかった。ある目的のためにハイペースで走る場合に、優れた働きをもたらしてくれるのかもしれない。“移動のための優れた道具”だと言えるだろう。

 しかし、どちらのパワートレインでも、CVTの癖である隔靴掻痒なフィーリングはなくなっていなかった。トランスミッションにCVTを採用していることの宿命なのかもしれない。特に、交差点を右左折するような極低速から加速していく時に、エンジン回転と速度の上昇感覚に若干だがどうしてもズレを感じた。スバルはずっとCVTを採用し続け、だいぶ解消されてきているとはいえ、忘れた頃に顔を出してくる。

 試乗した2台とも「アイサイトX」が装着されていて、高速道路で試すと特にレーンチェンジアシストの働きが的確で効能が大きかった。ウインカーを出すと、クルマが前後左右の状況を見極め、ハンドルを回してレーンチェンジを手助けしてくれる。「アイサイトX」が登場してからずいぶん経つが、レーンチェンジアシストが備えられているのは日本車としては早い方だった。たしか、当初はレクサスとトヨタのいくつかのモデルしか標準装備していなかったように憶えている。

 輸入車を含めても「フォレスター」のレーンチェンジアシストは反応が早く、判断も適切だ。アシストの効かせ方も穏やかで、信頼感も大きい。「アイサイトX」を装備しているので、スバルは運転支援機能で一日の長がある。ソフトウェアの開発も重ねられてきているのだろう。開発者に確かめると、「ボディー剛性を上げたのも相乗効果として効いている」とのこと。

商品として魅力的か? ★★★3.0(★5つが満点)

 6年ぶりとなる「フォレスター」のフルモデルチェンジで最も大きな改変は、トヨタ方式のストロングハイブリッドが採用されたことと外観の変更だ。ストロングハイブリッドのメリットは好燃費と滑らかで力強い加速にある。半ば無いものねだりとなってしまうが、最新のPHEVなどで実現されている静粛性の高さは期待できない。モーターだけで走行していても、速度が40km/hを越えた辺りからタイヤノイズや風切音などが目立ってきてしまう。

 ノイズキャンセリング技術などを駆使して走行中の耳障りなノイズを軽減させている最新のPHEVやEVなどとの差は歴然としている。採石場の跡地の未舗装路で、オフロードモードである「Xモード」を使って旧型と新型両方で試したが、もともとの新旧「フォレスター」の走破性が高いので新旧どちらでも「Xモード」を用いず、舗装路用のノーマルモードでも安心して走り切ることができた。

 旧型はコンディションが良く、新型と変わらないほど快適かつ安定して走った。内外装のデザインもスッキリしていて好感が持てた。旧型の優秀性と魅力を改めて確認できたからなのか、新型の刷新感はそれほど強いものではなかった。確かに、峠道や高速道路などでの走りっぷりは素晴らしく、そして「アイサイトX」の熟成ぶりも確かめることができたが、クルマの魅力は走りだけではない。内外デザインやインターフェイスなどの刷新を期待したい。限られた時間内での試乗だったので、いずれもっと長距離を走ってみたい。

■ 関連情報
https://www.subaru.jp/forester/

文/金子浩久(モータージャーナリスト)

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