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開発予算に数十億円を投じたのにすぐサ終…モバゲー業界で生き残りをかけた戦いが始まる!?

2025.07.03

モバイルゲーム業界が曲がり角を迎えています。

アカツキが満を持して2025年2月にリリースした「トライブナイン」は11月に早くもサービスの終了が決定しました。2023年8月に配信されたgumiの「アスタータタリクス」も、2024年9月に打ち切られています。

この2タイトルは巨額の予算が投じられたことで有名。モバイルゲームはかつてのようにヒット作を量産できる時代ではなくなりました。各社は新たな道を模索しています。

「ゲーム一強時代」の終焉

「ファミ通モバイルゲーム白書2025」によると、2024年の日本のモバイルゲームユーザーの1日当たりのプレイ時間は平日、休日ともに前年を下回りました。日本のモバイルゲーム市場は緩やかに下降曲線を描いているのです。

これは余暇時間の取り合いが激しくなっていることが背景にあると言われています。「パズル&ドラゴンズ」が大ヒットした2012年は、スマートフォンで楽しめるものが限られていました。モバイルゲームがエンタメの中心にいたのです。

しかし、2015年にNetflixが日本に上陸。2016年にSpotifyとピッコマ、2017年にはTikTokがサービスを開始しました。ゲーム一強時代が終わりを迎え、映画、音楽、マンガ、SNSと、スマートフォンで遊べる幅は大きく広がりました。多種多様なサービスがユーザーの時間を奪い合っているのです。

モバイルゲーム開発を手掛ける企業は、「トライブナイン」や「アスタータタリクス」のような巨額の開発費がかかるプロジェクトからは手を引き、他社が保有するIPを活用した手堅い作品作りに邁進するようになりました。アカツキは「怪獣8号」、gumiは「ジョジョの奇妙な冒険」をもとにした最新ゲームに着手しています。

更にgumiはモバイルゲームの一歩先を進んだ独自路線を開拓。そして立て直しに成功しています。

ブロックチェーンゲームを黒字転換

gumiは2025年4月期に4億円近い営業利益を出しました。前の年は50億もの営業赤字だったのです。モバイルゲーム開発はコストを抑え、ブロックチェーンゲームを注力事業に掲げました。それが奏功します。

ブロックチェーンゲームは、特定の暗号資産を使ってアイテムやキャラクターを売買し、取引所で法定通貨にも交換できるもの。従来のモバイルゲームはいくら課金しても、ゲームが終了すれば資産は残りません。しかし、ブロックチェーンゲームはNFTや暗号通貨などの形で残すことができます。gumiは業界の中でもいち早くこの領域に取り組んでいました。

gumiのブロックチェーン事業は2025年4月期に5億円の営業利益(前期は15億円超の営業損失)を出しています。見事、黒字転換することに成功しました。ポストモバイルゲームの注目すべき動きだと言えるでしょう。

「パズル&ドラゴンズ」で盤石な収益基盤を築いていたMIXIも大胆な一手を打ちました。スポーツベッティングの強化です。

MIXIはかつて、「パズル&ドラゴンズ」の経済圏を拡大しようとしました。1つのヒットタイトルへの依存度が高すぎたためです。そこで、「ゴーストスクランブル」など「パズル&ドラゴンズ」の派生タイトルを次々とリリースしました。しかし、ヒット作に押し上げることができませんでした。どれも1年から1年半ほどで終わりを迎えています。

そうした中で、別領域に巨額の投資が行われました。オーストラリアを中心にスポーツベッティング事業を手がけるポインツベット·ホールディングスを352億円で買収するというのです。

スポーツベッティングはいわゆるスポーツ賭博のことで、MIXIはすでに日本において競輪などの投票サービスである「チャリ·ロト」を展開していました。この領域の強化を図ったのです。

MIXIはモバイルゲームから主戦場を移したように見えます。

大ヒットの恩恵を受けたディー·エヌ·エーはゲーム開発に後ろ向き?

2024年に話題をさらったモバイルゲームと言えば、「Pokémon Trading Card Game Pocket(ポケポケ)」。開発に参加したディー・エヌ・エーは2025年3月期に318億円もの営業利益を出しました。前年の281億円の営業赤字からの劇的な逆転劇でした。

しかし、これをもってゲーム開発に力を入れるとの宣言はありませんでした。中長期戦略として、AIをテーマに掲げています。組織全体の生産性を上げ、新規事業の創出を効率的に行う計画です。

結局のところ、「ポケポケ」はポケットモンスターという強力なIPと、未だ人気が衰えないトレーディングカードという、大ヒットの礎がすでに築かれたゲームでした。「ポケポケ」の大ヒットには再現性がないのです。

ディー·エヌ·エーがモバイルゲームの開発にこだわっている様子はありません。時代にマッチした事業の創出を急いでいるのでしょう。

オリジナルタイトルの開発という既存路線を貫いているのは、この領域の重鎮であるガンホー·オンライン·エンターテイメントや、「メメントモリ」のバンク・オブ・イノベーション、女性向けゲームを開発するcolyなど限られてきました。

競合が減ってきたという意味ではやりやすいはずですが、市場の後退にあらがえるかどうかが勝負となるでしょう。

文/不破聡

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