
生成AIの中でも知名度の高い「ChatGPT」と「Gemini」。本記事では、両者の違いを解説する。機能の比較や選び方を参考に、自分に合った生成AIを選んで活用しよう。
目次
リサーチや資料作成、アイデア出しなど、幅広い業務を飛躍的に効率化してくれる生成AI。近年では、ビジネスシーンでも浸透してきている。しかし、数多くある生成AIの中で、どれを使えば良いか悩むユーザーも多いだろう。
この記事では、もっとも知られた生成AI「ChatGPT」と、身近なGoogle製「Gemini」を中心に、その特徴と違いを整理する。機能の比較や、目的別の選び方、その他のAIとの使い分けまで網羅。AI時代の波に乗るため、まずは両者について理解を深め、自分にとって最適なAIを見極めてほしい。
ChatGPTとGeminiの概要
ChatGPTとGemini、どちらも名前は聞いたことがあるだろう。ChatGPTは、2022年にその存在が世界に大きな衝撃を与えた。私たちにとって身近なGoogleが提供するGeminiは、テレビCMでも毎日紹介されている。
まずは、それぞれの生成AIの特徴と共通点について確認しておこう。
■ChatGPTはもっとも有名な生成AI
ChatGPTはOpenAIが開発した対話型の生成AIだ。2022年の登場以来、世界中で爆発的に利用が拡大した。自然な対話能力や高い文章生成力が評価されており、パワーポイント資料作成など幅広い業務に活用されている。
2025年現在、ChatGPTはさらなる進化を続けており、長文処理や画像生成など、さまざまな機能が追加されている。また、複数のモデルが発表されており、用途に合わせた使い方ができる点も大きな強みだ。
■GeminiはGoogleの開発した生成AI
GeminiはGoogleが開発した生成AIで、対話型AI「Bard(バード)」を進化させた存在だ。テキストだけでなく、画像や音声、動画、コードなど多様なデータを処理できるマルチモーダルなAIとして多くのユーザーを獲得している。
Google検索やGmail、GoogleドキュメントなどのGoogleサービスと連携できる点が最大の特徴であり、日常の業務効率化に大きく貢献してくれる。
■ChatGPTとGeminiの共通点
ChatGPTとGemini、違いはあれど、両者には共通点も多い。どちらのAIも大規模言語モデル(LLM)を基盤にしており、マルチモーダル対応だ。文章生成や対話、要約、翻訳、画像生成など、高度な機能を備えているため、多様なニーズに応えることが可能。また、どちらもスマホアプリを展開しているので、片手で試せる手軽さがある。
基本的に無料で利用でき、有料版にアップグレードすれば、よりハイクラスなモデルを使える点も共通だ。
ChatGPTとGeminiの違いは?項目別に比較
ChatGPTとGemini、搭載された機能は共通点が多いが、では具体的にどのような点に違いが出てくるのか。ここからは、以下の項目に関して両者を比較してみよう。
・文章生成
・画像生成
・処理速度
・リサーチ精度
・マルチモーダル機能
それぞれの項目について、ChatGPTとGeminiの精度や特徴的な違いを解説する。
■文章生成
文章生成では、文章の表現力や得意とする文体に違いがある。
ChatGPTは、創造的な文章や複雑なプロンプトへの対応に定評がある。特に最新のモデルでは、より多彩で人間らしい文章の生成が可能。ストーリー性のある文章やキャッチコピーなど、クリエイティブな分野に強い。
一方、GeminiはGoogle検索連携による最新情報の反映や論理的な推論が得意。また、長文処理能力に優れており、膨大な資料でも事実を崩さず整理し、要約する能力が高い。レポートや議事録など、事務的な文章に適しているといえるだろう。
■画像生成
画像生成においては、DALL-E3を搭載したChatGPTが、高精細で多彩なイラストを描くことは有名だ。「ジブリ風」の画像がSNSを賑わせたのは、記憶に新しい。人物はもちろん、風景や創造的なイラストなど、複雑なプロンプトの内容も高い精度で反映させ、幅広い画像生成に対応できる。
一方で、GeminiはGoogle検索との連携が活かされる画像内容の読み取りや、説明などの解析を得意としている。生成よりもキャプションの自動生成など、分析的でより実務的な用途で能力を発揮する。
■処理速度
処理速度に関しては、Geminiに軍配が上がる。基本的にどちらも処理速度の高速化が進んでおり、ビジネスシーンでもストレスなく使用できるが、長文処理などはGeminiの方が能力が高い。Geminiは最大で100万トークンを処理できる。(100万トークンは平均的な長さの英語の小説8冊分に相当)高い処理能力を有するため、膨大なデータの要約や分類にも最適だ。
■リサーチ精度
リサーチ精度は情報が正確であること、さらにどれだけ早く回答が得られるかが重要だ。GeminiはGoogle検索と連携しているため、最新情報の取得や信頼性の高いデータの提供が得意。ChatGPTもWebブラウジング機能を搭載しているが、情報のリアルタイム性や網羅性を求めるなら、Geminiが優位だろう。
ChatGPTに関しては、過去のチャットやユーザーの入力したデータを記憶するメモリ機能があり、使えば使うほど自分好みになってくる。入力したプロンプトと過去のチャットから判断し、潜在的ニーズを理解したリサーチや回答が期待できる。ただし、高度な推論を行う上でハルシネーションが起こる可能性もあるので注意が必要だ。
■マルチモーダル機能
ChatGPTもGeminiも、ともにテキストや画像、音声などの多様なデータ形式を統合的に処理できるマルチモーダル対応AIだ。扱えるデータに関しては、直接動画をアップロードできるGeminiが優勢。2025年9月現在、ChatGPTは動画を送信して解析することはできないが、YouTubeのURLを送信すれば自動的に要約をしてくれる機能がある。
また、GeminiはGoogleサービスとの連携を活かした情報処理が得意。ChatGPTは、音声対話が遅延なく自然にできる点や画像生成のクオリティーなどが高く評価されている。
ChatGPTとGeminiどっちがいい?AIの選び方
どちらも優れた機能を持つ生成AIだが、それ故にどちらが自分にとって最適なのか悩むユーザーも多いだろう。ここからは、自分に合ったAIの選び方、AIの使い方について解説する。
■目的や用途に応じて選ぶ
ChatGPTとGeminiでは、基本的にこなせる業務に大きな差はないが、成果物のクオリティーや傾向に違いがある。例えば、短編小説などストーリー性のあるもの、創造性の高いものについては表現力に定評のあるChatGPTの得意分野。正確な情報のリサーチや、最新情報を確認したい場合、Googleのサービスとの連携をスムーズにしたいのであれば、Geminiの方が有用性が高い。
生成AIの進化は著しいので、利用できるモデル、それによって可能な業務は目まぐるしく変化する。無料で使える範囲で、より充実した機能が使える方を選ぶのも良いだろう。
■両方を使い分ける
目的によって両方を使い分けるのもおすすめ。例えば、アイデア出しやコーディングにはChatGPTを利用したり、Geminiで最新情報のリサーチをした上で、そのデータを基にChatGPTで文章生成をしたり、それぞれの強みを活かした使い方をすればAIの強みを最大限に引き出せる。両者の特性を理解し、シーンごとに最適なAIを活用することで、ビジネスの生産性向上につながるだろう。
ChatGPTやGeminiだけじゃない!その他のAIとの比較

近年は多くのAIが開発されており、さまざまな機能を有したAIを手軽に使えるようになった。ChatGPTやGeminiの他にも、私たちの生活や業務を効率化してくれるAIが数多くある。最後に、今後さらに活躍の場を広げていくAIをいくつか紹介しよう。
■Claude
Claude はAnthropic社が開発した大規模言語モデル(LLM)のAIだ。大規模コンテキスト処理やハイブリッド推論など、複雑な問題解決や高度なレポート作成に強みを持つ。特に文章生成能力が高く、ChatGPTよりも自然な文章が生成できるとの評価もある。
■Microsoft Copilot
Microsoftの提供するMicrosoft Copilotは、WordやExcel、OutlookなどのOfficeソフトとの連携が特徴の生成AIだ。資料作成やデータ分析、メール作成など、日常の業務をサポートしてくれる。ChatGPTを利用したサービスなので、基本的な性能はChatGPTと同等。
■Perplexity
Perplexityは、AIスタートアップ企業Perplexity AI, Inc.が提供するAI検索エンジンで、自然な対話で最新情報が得られる。出典付きで回答を出してくれるため、ビジネスのリサーチや情報収集に最適。ChatGPTやGeminiの補助ツールとして併用しているユーザーも多い。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部