
2024年の首都圏の新築分譲マンション販売戸数は、23,003戸と3年連続で3万戸を割り込んだ(※1)。対して中古マンション成約件数は37,222戸(前年比3.4%増)(※2)と、新築を上回る状況が続き、その差は過去最高の14,219戸となった。

新築価格高騰の影響もあり、2025年1~3月の中古マンション成約件数は12,385件(前年同期比25.5%増)(※3)と急増。市場が急速に熱を帯びているといえる。
一方、リノベるでは、これまで増加していた「新築並行検討層」が減少し、「中古一択」で検討するユーザーが増加。中古マンションが住宅購入のスタンダードな選択肢となった。

こうした変化を受け、ワンストップリノベーションサービス「リノベる。」の直営エリアにおける、2024年度の実績を集計し、ユーザーの中古マンション選びの変化とトレンドをまとめたレポートを発表したので、詳細をお伝えしよう。
購入層:「新築並行検討層」が減少し「中古一択」のユーザーが増加
「検討している物件種別で『新築』が3位以内」にあった方の割合は、67%→40%(2023年→2024年)と減少。2023年は新築と中古を並行して検討する「新築並行検討層」が増加したが、2024年は「中古一択」で検討するユーザーが増加。
中古マンションがスタンダードな選択肢になっているようだ。
▼新築を検討種別3位までに入れているユーザー

築年数:最も増加したのは築21年~30年。一方、6割が築31年以上
成約物件の築年数において、最も増加したのは築21年~30年の物件であった。一方、6割は築31年以上の物件という結果に。首都圏に絞ると、築31年以上の割合は、REINSの32.5%(※4)と比べ、約2倍の64.4%であった。
築21年~30年の割合の増加は、2000年前後に建てられた「マンション大量供給時代」のストックが充実していることが背景にある。
新耐震基準でかつ、リノベーション適齢期のストックが増加することで、中古マンションはより多くの人に選ばれやすい選択肢となる。これからストックを活かした中古住宅流通はますます加速しそうだ。
▼「リノベる。」の直営エリアにおける成約物件の築年数

▼首都圏 築31年以上の割合の比較(※4)

年齢:若年化し、20代~30代前半が増加
ユーザーの6割は30代だが、20代~30代前半が占める割合が、33%→47%(2022年→2024年)に増加し、若年化が進んだ。
外部要因として、29歳以下の持ち家率が、35.2%→39.7%(2023年→2024年)に増加しており(※5)、賃貸価格高騰や値上げを背景に、住宅購入が初めての若年層に選択されるようになったことが挙げられる。
▼「リノベる。」の直営エリアにおける年代

家族構成:夫婦&パートナー世帯が増加し4割以上に
家族構成は、ファミリーが30%、単身が27%、夫婦&パートナー世帯が42%。2023年と比較すると「夫婦・パートナー世帯」が増加した。共働き夫婦や若いパートナー世帯が増加したことが背景にある。
▼「リノベる。」の直営エリアにおける家族構成割合

価格:平均リノベーション価格は1,570万円。2023年より15%増加
平均リノベーション価格は、1,290万円→1,570万円(2022年→2024年)と増加しており、2023年からは15%増加した。
資材や人件費の上昇を差し引いても上昇しており、間取り・住宅設備・内装・省エネ性能向上など「暮らしの体験価値」を向上させるリノベーションに予算をかけたい人が増え、平均単価を押し上げている。
▼「リノベる。」の直営エリアにおける平均リノベーション価格

エリア:首都圏ユーザーの65%が東京都の物件を選択
首都圏における物件購入エリアは、東京都が60%→65%(2023年→2024年)とやや増加した。
新築マンションの調査では、購入物件所在地が東京は37.6%、次いで神奈川は31.6%(※6)で、新築を希望する人は都外で購入しており、中古マンションは東京でもまだ購入しやすいといえる。
▼「リノベる。」の首都圏における物件購入エリア

平均面積:平均面積は68m²で、新築首都圏平均よりやや広い
平均面積は68m²と微増。首都圏に限定すると66.8m²で、首都圏マンションの平均面積が、新築は62.6m²、中古は61.2m²という結果(※7)と比較すると、やや広いことがわかった。
▼「リノベる。」の直営エリアにおける平均面積

▼首都圏マンションの専有部平均面積(※7)

まとめ
SNSやAIの普及が進み、結婚観や家族の形、働き方、趣味などの価値観が多様化する中、私たちは日々、膨大な情報と無数の選択肢の中に生きている。
こうした背景のもと「選択」することの難しさが増し、自分の原体験に基づく、自分だけの判断軸「自分軸」の重要性がこれまで以上に高まっているようだ。
一方で、誰もが様々な情報にアクセスできる時代だからこそ、住宅購入においては「何が自分に合っているのか分からない」という悩みも増えている。
2024年にリノベるが行った調査では、物件探しに苦労した人のうち約9割が「第三者に相談したい」と回答(※8)しており、ユーザーは相談相手を必要としていることがわかった。
実際にリノベるにおいても、「希望条件で探しているはずなのに、しっくりくる物件が見つからない」という相談が増えており、多くの人が、数ある選択肢の中で迷いを抱えている。
住宅購入では一般的に「何LDKか?」「何m²か?」「駅徒歩何分か?」といった条件から入ることが多いが、リノベるでは、条件だけではなく、「これからの暮らし」を見据えた“未来志向”のカウンセリングのニーズが高まっている。
実際、カウンセリングを受けた人が成約した割合は、2022年から2024年で1.7倍になったことから、住まい選びにおいても意思決定における「自分軸」の重要性が高まっているといえそうだ。
調査概要
対象サービス:中古マンション購入+リノベーションのワンストップサービス「リノベる。」
エリア:直営(首都圏・関西・東海の主要エリア)
期間:2022年4月~2025年3月
出典:リノベる(renoveru.jp)
※1 不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2024年のまとめ」(2025/1/23)
※2 東日本不動産流通機構(REINS)「首都圏不動産流通市場の動向(2024年)」(2025/1/22)
※3 東日本不動産流通機構(REINS)「季報 Market Watch サマリーレポート2025年1~3月期」(2025/4/18)
※4 公益財団法人 東日本不動産流通機構(REINS)「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024)」(2025/2/25)
※5 総務省 統計局「家計調査 / 家計収支編 二人以上の世帯 世帯主の年齢階級別」2023(2024/2/6)2024(2025/2/7)
※6 SUUMOリサーチセンター「2024年首都圏新築マンション契約者動向調査」(2025/3/18)
※7 東京カンテイ「マンション・一戸建て住宅データ白書 2024」(2025/1/30)
※8 リノベる「Webの物件探しに苦労した方の91%が「第三者に相談したい」と回答」(2024/12/19)
構成/Ara