授精の精度に直結する胚培養士の技術をAI・ロボットで自動化

株式会社アークスは、不妊治療実施医療機関向けにAIやロボット技術を活用したプロダクトを開発している。
そのうち、体外受精や顕微授精などを行う胚培養士の作業支援や自動化を担うソリューションを開発中だ。
目的は、AIやロボット技術により受精の成功ベースラインを向上させること。そして熟練度問わず、新人でも同様の仕事ができるようにすることにある。
同社の代表取締役社長 棚瀬将康氏に話を聞いた。
●開発のきっかけ
「友人が不妊治療で悩んでいることを知ったことがきっかけでした。
過去に培ってきたAIや制御(ロボティクス)のバックグラウンドを不妊治療の領域で活かせないか探っていたときに、現在弊社の顧問となっている順天堂大学や東京科学大学の先生方とのご縁をいただきました。
胚培養士の作業を支援することの重要性や技術シーズを教えていただき、先生方と連携し、アークス独自の技術として社会実装を進めています」
●胚培養士の授精成功率向上や負荷軽減などに貢献
「不妊治療クリニックでは課題として胚培養士不足、技能のばらつき、患者費用負担などがある中、弊社のAI技術が胚培養士の方の熟練者並みの精度を再現し、ロボット技術によって微細操作を自動化します。
成功率向上と治療機会の均等化、医療従事者の負荷軽減、コスト最適化を同時に実現します。本技術は世界初の技術であり、大きなインパクトを与える可能性があると考えています」
●今後の展望
「1年以内には国内で第一弾のAI製品をリリースし、2027年以降には自動化技術の社会実装に向けて準備を進めていく予定です。
海外展開にも積極的にチャレンジしてまいります。将来的にはワンストップで実現する生殖医療プラットフォームの構築を目指して業界の課題解決を進めていきます」