
2022年4月から不妊治療が保険適用となったことから、2022年度は年間37万人を超える人が不妊治療を受けていることが推計された。
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近年、晩婚化やライフスタイルの変化に伴い、不妊に悩むカップルが増加傾向にある。そんな不妊治療を後押しする最新テクノロジーや研究を駆使した不妊治療テックを3つ紹介。新たな可能性を探っていきたい。
子宮内の細菌叢を調査する「子宮内フローラ検査」

ゲノム(DNAのすべての遺伝情報)検査を手がけるスタートアップ、Varinos(バリノス)株式会社が提供している女性向けの「子宮内フローラ検査」は、文字通り、子宮内の細菌叢(フローラ)を調べるために子宮内から採取した検体に含まれる細菌のDNAを調査するもの。
不妊の原因を探り、治療の成功率を高める。2017年にサービス開始し、2022年6月、厚生労働省により「先進医療」に認定された。
また2024年には持続可能な社会の実現を目指し、社会課題に取り組む団体への助成を中心とした支援を行う公益財団法人PwC財団の助成事業に採択され、助成事業「不妊治療並びに妊娠中における子宮内フローラ検査」を2024年11月から推進している。
同社の広報 若林浩子氏に話を聞いた。
●開発のきっかけ
「2017年当時、体外受精の成功率は30%未満でした。原因の一つである胚(受精卵)側はある程度原因を把握できましたが、もう一つの子宮側は測定技術が限られていました。
そんな中、子宮内の菌叢に関する研究が発表され、不妊の鍵を握る重要な因子だと確信。
この技術を臨床検査として実用化することで、不妊に悩まれる多くの方の助けになると考え、開発を始めました」

●不妊治療の着床不全や流早産などの課題に貢献
「妊娠・出産においては、善玉菌『乳酸桿菌・ラクトバチルス』が子宮内に90%以上いる環境が良いとされています。
しかし、何かしらの要因により悪玉菌が増殖すると免疫が活性化され、胚(受精卵)も異物として攻撃されることで、着床を妨げる可能性があることがわかっています。
また、細菌性腟症を引き起こす悪玉菌は妊娠初期の流産を、ウレアプラズマ等の菌は早産を引き起こす可能性があることもわかってきています。
子宮内フローラ検査で子宮内の菌を網羅的に調べ、菌の種類や割合を医師にレポートし、菌環境が良くない場合は医師が治療にあたることで、妊娠や出産に貢献しています」
●今後の展望
「より多くの医療機関での導入を進めると共に、海外展開も進め、世界中の不妊・少子化問題の解決に貢献したいです。
子宮内フローラは慢性子宮内膜炎や子宮内膜症、子宮頸がん等と関わることもわかってきており、女性の健康にも貢献したいと考えています」