
夏休み前に配られる通知表。子どもがどれだけテストを頑張ったかはひと目で分かるが、“努力”や“思いやり”など非認知能力を知ることはできない。
そこでイー・ラーニング研究所は、小学生の子どもがいる親世代を対象に「夏休み前・通知表に関する意識調査」を実施したので、結果をお伝えしよう。
通知表に「満足している」と回答した親はわずか3割! “努力”や“思いやり”など非認知能力からの視点を評価に求める親が多数
子どもがいる親世代に「子どもの学校で通知表に、どの程度満足していますか?」と尋ねたところ、「非常に満足している」、「ある程度満足している」を合わせた回答は約3割にとどまった。
一方で、「わからない」と回答した人が全体の4割以上、「あまり満足していない」は約2割という結果に。
この結果から、学校側の意図や評価基準が保護者との間で差が生じている可能性が高く、評価方法の見直しが求められていることが考えられる。

「通知表の評価に、どのような内容がもっと反映されると良いと思いますか?」の問いには、「好奇心や主体的な学びの姿勢」、「勉強への取り組み姿勢や努力のプロセス」、「他者との関わり方や思いやり」など、 “非認知能力”に関する回答が多い結果となった。
また、「子どもの通知表では『成長』や『頑張り』など、点数では測れない部分は十分に反映されていると思いますか?」の質問には、「あまりそう思わない」(219)、「全くそう思わない」と答えた人が全体の7割に達している。
このような結果から “子どもの努力や取り組む姿勢をきちんと見てほしい”、“評価に反映してほしい”と考える親が多いということが示唆された。


社会に必要な力「非認知能力」を“可視化”する評価制度への期待が高まる
「あなたは、子どもの非認知能力(知能・学力以外の人間性、社会性に関するスキル)は重要だと感じますか?」の質問に対して、「非常に重要だと思う」、「ある程度重要だと思う」と9割以上が回答し、“学力以外の力”に注目が集まっていることがわかる。
前述の結果とあわせると、非認知能力の注目が集まりつつある中、その力が評価として可視化されていない現状とのギャップに多くの保護者が課題感を感じていることが明らかとなった。

また、「昔と比べて、成績や点数よりも『過程』や『人間性』を重視する教育観に変わってきていると思いますか?」という問いに対しては、「とてもそう思う」、「少しそう思う」を合わせた回答が6割以上という結果に。
通知表に反映してほしい項目や、非認知能力に注目が集まっているという調査結果を踏まえると、教育の変化に対して通知表や学校での評価制度も変わるべきであると考えている親が一定数いるということが示唆された。

非認知能力を育むために家庭で意識していることとして、「子どもが興味を持つことや、新しい挑戦に対する応援の姿勢」、「結果よりも努力や工夫を褒めること」、「子どもの話をよく聞き、共感すること」など、それぞれの取り組みに意見が分かれた。
また、「夏休み前に子どもの成長を振り返る上で、何を重視すべきだと考えますか?」に対しては、「成績や学力の成果」は最も低く、「新しいことへ挑戦する意欲」が最も多い回答数であることから、“夏休み期間の非認知能力の向上”を期待している親が多いことが考えられる。


こうした関心の高さを背景に、「『非認知能力』に関するスキルの成長が通知表や学校からのフィードバックで可視化して評価されると良いと思いますか?」という質問には、約9割の親が「そう思う」と回答した。

まとめ
テストの点数から評価する成績だけではなく、非認知能力といった内面的な力についても、“子どもの成長のプロセス”を見える形で知りたいという保護者のニーズから、通知表や学校のフィードバックに対する新たな評価指標として期待されていることが明らかになった。
このような結果から、今後、非認知能力を客観的に測定・評価できる指標の確立や、子ども一人ひとりの“見えない力”を丁寧に伝える新たな評価のかたちが、ますます求められていくと考えられる。
調査概要
「夏休み前・通知表に関する意識調査」
調査方法:紙回答
調査期間:2025年5月3日(土)~2025年5月23日(金)
調査対象:子どもを持つ親、親族に子どもがいる方 計373人
※イー・ラーニング研究所調べ
構成/Ara